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ラグビー コラム 2025年12月29日

【ハイライト動画あり】東芝ブレイブルーパス東京が見せた風格。怪我人続出の横浜キヤノンイーグルスは苦境。ジャパンラグビーリーグワン2025-26第3節

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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ジャパンラグビーリーグワンのD1第3節。2敗(11位)の横浜キヤノンイーグルスが1勝1敗(9位)の東芝ブレイブルーパス東京を迎えた一戦は、開始21秒の先制トライから始まった。

「開始10数秒でトライを取られたことが懸念材料になりました」(イーグルス、レオン・マクドナルドHC)

開始直後、昨季までBL東京だったイーグルスCTB森勇登のキックを、リーチ主将の穴を埋めているNO8山本浩輝がチャージ。勤勉に上がっていたLOジェイコブ・ピアスが捕球し、21秒でのスコアを成功させた。

いきなり7点を失ったホストのイーグルス。

前節に続いてCTBジェシー・クリエル主将、SHファフ・デクラークの南アフリカ代表コンビ、そしてCTB梶村祐介が不在。「怪我人が多い状況」(マクドナルドHC)だが、前半6分にスペシャルプレーを炸裂させる。

4人参加の敵陣右10mラインアウトから左展開。接点近くで3本のパス。ユニット背後のCTB森がボールを受けると、フルバック起用のFB武藤ゆらぎがラン勝負。

最後はWTBヴィリアメ・タカヤワが左隅を疾走。ブレイブルーパスのSOリッチー・モウンガが順ヘッドの模範的なタックルで仕留めるが、すぐに起き上がった28歳がフィニッシュした。(5-7)

この日イーグルスは出足鋭い守備で圧力をかけた。相手キーマンのSOリッチー・モウンガを囲み、パスコースを封じられたモウンガがランに切り替える場面もあった。

「試合全体を通して自分たちのアタックにプレッシャーを掛けられていた中で、自分たちのエクスキューション(遂行力)の部分でエラーが起きていました」(ブレイブルーパス、FB松永拓朗バイスキャプテン)

しかし前半11分。

ブレイブルーパスはスクラムでのペナルティから敵陣に入ると、イーグルスの鋭い守備をロングパスでいなすと、左隅で2本のオフロードパスを繋いで2トライ目。高い対応力を発揮する。

さらにシンビン(インテンショナル・ノックオン)で前半17分に14人になったものの、すぐに攻撃にピック&ゴーを織り交ぜてゲインを重ねると、前半23分、オフロードパスをWTBネタニ・ヴァカヤリアに通して3本目。逆にリードを広げてしまった。(5-17)

ジャパンラグビー リーグワン2025-26(12月28日)

【D1 第3節-5 ハイライト動画】横浜キヤノンイーグルス vs. 東芝ブレイブルーパス東京

「今日は目の前のチャンスをスコアに結び付けることができました。相手はプレッシャーを掛けてきましたが、選手たちはスコアという形でチームとしての成熟度を発揮してくれました」(ブレイブルーパス、ブラックアダーHC)

だがイーグルスも反撃。2人の若きスピードスターが躍動した。

石田吉平(キヤノンイーグルス)

前半26分。東海大学時代から司令塔としては異色のスピードを誇ったFB武藤が、敵陣右の広大なスペースで勝負。コンタクト直前のオフロードパスを通したのは元7人制代表主将のWTB石田吉平

ここでWTB石田が守備2人を掻い潜って突破。最後も相手を腰砕けにするステップでチーム2本目を奪取。5点差に迫った。(12-17)

だがブレイブルーパスはHO酒木凜平の移籍後初トライなど2トライを加え、24-12で前半を終える。なかなか12点差が縮まらないイーグルス。すると後半20分だった。

相手のペナルティから敵陣侵入。ラインアウトからエリア右で左右に振る。短いパスでサウマキアマナキ、FLビリー・ハーモンを突進役としながら攻め続ける。しかし15フェーズ目でノックフォワード。

ここはブレイブルーパスの粘り勝ち。このまま押し切られるのか――と、思われた後半22分だった。

ノックフォワード直後の相手ボールスクラム。途中出場のフロントロー(HO中村駿太、PR南友紀、PR祝原涼介)を最前列に相手パックを破壊するビッグスクラム。このターンオーバーから一気にトライまで持っていくスーパープレーが飛び出した。

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このトライで5点差(19-24)としたイーグルス。このまま逆転したいところだったが――。

「アームレスリングのような我慢比べの時間帯に我慢し切れず、自分たちで自分たちの首を絞めるような展開になり、一気に相手に流れをもっていかれてしまいました」(イーグルス、FL古川聖人バイスキャプテン)

5点差とした直後の後半23分。

イーグルスは自陣でのオフサイドから、モメンタムを一気に失っていった。勝負所で躍動したのは相手のブレイブルーパス。その一人は専修大学出身のSH高橋昴平。後半25分、長崎南山出身の29歳は、エリア前進後のゴール前で配球からランで勝負。強気の選択でトライを奪った。(31-19)

さらに敵陣ゴール前で、イーグルスが自軍投入スクラムで反則。ここから速攻したブレイブルーパスは、FWの近場勝負からふたたびSH高橋。相手FWのタックルを浴びながらも豪快にグラウンディングして2連続トライ。

ティージェイ・クラーク(東芝ブレイブルーパス)

最後は今季新加入のティージェイ・クラークの初トライが生まれ、勝負は決した。相手のラストアタックもFB松永が好タックルで防ぎ切り、ハンドリングエラーを誘ってノーサイド。ブレイブルーパスが41-19で2連勝。勝ち負けを2勝1敗とした。

「ボーナスポイントを含めた勝点5を持ち帰られることも嬉しいです。開幕戦は負けましたが、学びと実りの多い開幕3試合となりました」(ブレイブルーパス、ブラックアダーHC)

9位から5位に浮上した2連覇王者の次戦は、年末年始の休養週を挟んで1月10日(土)だ。ホスト今季初勝利を目指し、1勝2敗(8位)の三菱重工相模原ダイナボアーズを迎え撃つ。

一方開幕3連敗で最下位(12位)に転落してしまったのがイーグルスだ。

「今日はブレイブルーパスさんを厳しい状況に追い込みましたが、モメンタム(勢い)で後手に回りました。現状は勝利する習慣がついていません。ただ客観的に見るとわれわれはけが人が多い状況で、バイウィークでは代表選手やカジ(CTB梶村)といった離脱者が戻ってきます」(イーグルス、マクドナルドHC)

まずは自信を深める今季初勝利がほしい。

最下位脱出をかけたイーグルスは1月10日(土)に浦安D-Rocksと激突。浦安D-Rocksは昨季第2節で大敗した静岡ブルーレヴズから初勝利を奪うなど、すでに2勝を挙げている今季の注目株。こちらも注目の一戦だ。

文: 多羅 正崇

多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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