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ラグビー コラム 2025年12月29日

【ハイライト動画あり】埼玉ワイルドナイツ3連勝で年納め。相模原ダイナボアーズをノートライに抑え込む

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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埼玉ワイルドナイツ(埼玉WK)の懐の深さを感じさせる戦いだった。12月28日(日)、三菱重工相模原ダイナボアーズ(相模原DB)の本拠地である相模原ギオンスタジアムには、4,845人の観衆が集った。「さがみはらラグビーカーニバル」と題し、スタジアム内遊園地が設置され、キッチンカーや飲食売店も数多く並んだ。自治体と連携したBMXショーでは国内有数のライダーたちが妙技を披露した。地域に根付く相模原DBの努力が垣間見えるイベントの数々だった。これでホストチームの相模原DBが勝てばさらに盛り上がったのだが、そうはいかなかった。

午後2時30分、埼玉WKのキックオフで試合は始まった。序盤は相模原DBがテンポよく攻め込み、埼玉WKのFLベン・ガンターがハイタックルでイエローカードを受ける。ここで得たPGをFBジェイムス・グレイソンが決めて、3-0とリード。13分には、キャプテンのFL吉田杏が埼玉WKの巨漢PRヴァル アサエリ愛を押し返すハードタックルで観客席を沸かせた。しかし、その後は相模原DBの反則が多くなり、徐々に埼玉WKペースとなっていく。

前半26分にはグレイソンがガンターの突進を止めようとしてハイタックルのPKを埼玉WKに与えてしまう。ここから埼玉WKはWTB竹山晃暉がタッチキック。ラインアウトからモールを組むと、相模原DBが反則を犯し、再びラインアウトを得た埼玉WKがモールを押し込み、28分にHO坂手淳史がトライ。SO齊藤誉哉が難しいゴールを決めて、7-3と逆転した。

前半35分にも同じように相模原DBの反則、埼玉WKのラインアウト、モールから坂手がトライというパターンが繰り返されたが、埼玉WKの真骨頂が発揮されたのは前半終了間際だった。相模原DBが中盤でディフェンスラインのオフサイドを犯すと、このPKから竹山が好タッチキックで相模原陣深く入ったラインアウトを獲得。モールからガンターがトライして、21-3とした。すでに40分を過ぎており、PGを狙って終わるのが多くのチームの選択だが、反則からトライを奪うことで相模原DBにダメージを与え、精神的にも優位に立った。

ジャパンラグビー リーグワン2025-26(12月28日)

【D1 第3節-6 ハイライト動画】三菱重工相模原ダイナボアーズ vs. 埼玉ワイルドナイツ

後半開始直後、坂手がハイタックルでイエローカードを受け、7分にはCTBディラン・ライリーが左手を痛めて負傷交替。相模原DBが攻勢に出るが、トライチャンスでハンドリングエラーや反則でスコアできず、逆に埼玉WKは15分、ラインアウトからのサインプレーでWTBマリカ・コロインベテがトライし、28-3と突き放す。モールで3トライをあげ、相模原DBがモールディフェンスに集中するとみるや、交替HO佐藤健次とコロインベテをからめたサインプレーであっさりとトライを奪ったのだ。埼玉WKの試合運びの上手さが際立つプレー選択だった。そして後半21分、交替出場のFL福井翔大がトライしてダメを押した。

今季初出場となったNO8ジャック・コーネルセンは得意のラインアウトで非凡な能力を発揮したほか攻守に動きまわり、FB野口竜司もハイパントをジャンプしてキャッチしながらパスをするアクロバティックなプレーも披露。そのほか安定したフィールディングで最後尾を守った。初先発となったSH李錦寿は金沢篤ヘッドコーチが「期待通り」という堂々たるプレーぶり。後半22分には、SH本堂杏虎が27歳にしてリーグワンデビューを飾り、ディフェンス面で能力を発揮。ライリーと交替の長田智希も活躍するなど、選手層の厚さを感じさせる埼玉WKの快勝だった。

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試合後の記者会見。いつもならPGを狙うところでも、タッチキックでラインアウトからトライを奪った攻撃について問われた坂手キャプテンは、「試合の流れで判断した」とコメント。「モールの手ごたえもありましたし、良いラインアウトジャンパーもいる。きょうは、ラインアウトでプレッシャーをかけたほうが良いと思いました」。また、ここまでの3試合で2試合をノートライに抑えたディフェンスについては、布巻峻介プレイング・コーチの名をあげて、相手によってディフェンスを変えるコーチングの良さを語った。

 

一方、敗れた相模原DBのグレン・ディレーニーヘッドコーチは次のように語った。「とてもタフなゲームでした。埼玉WKは素晴らしいプレーをしました。22mライン内に入ると確実に得点していて、我々はそれができませんでした。学びの多い試合でした。きょう、鶴谷昌隆が100試合を迎えました。いつも良いプレーでチームに貢献してくれている。おめでとうと言いたいです」。相模原DBは次節(2026年1月10日)、神奈川県のUvanceとどろきスタジアムby Fujitsuで、東芝ブレイブルーパス東京と対戦。3連勝で首位に立った埼玉WKは同日、本拠地の熊谷ラグビー場で静岡ブルーレヴズを迎え撃つ。

文:村上 晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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