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ラグビー コラム 2025年12月26日

今季初勝利に燃える「横浜キヤノンイーグルス」。一体感重視で2連勝へ「東芝ブレイブルーパス東京」!ジャパンラグビーリーグワン2025-26

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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ジャパンラグビーリーグワンのD1は年内最後の開催となる第3節。12月28日(日)は秩父宮ラグビー場で、2敗(11位)の横浜キヤノンイーグルスが、1勝1敗(9位)の2連覇王者・東芝ブレイブルーパス東京を迎え撃つ。

イーグルスは新体制初勝利が欲しい状況だ。

昨季、イーグルスをプレーオフ常連に育てた沢木敬介HCが退任し、今季はSRトランスタスマンでブルーズを優勝させた実力派、レオン・マクドナルド(元NZ代表、元クルセイダーズ)が指揮官となった。

今節の相手となるブレイブルーパスのトッド・ブラックアダーHCは、クルセイダーズ(NZ)で共にプレーした盟友でもある。

指揮官は代わったが、イーグルスの基本スタイルは「アタッキングラグビー」(WTB石田吉平)で変わらない。ただ就任1年目で浸透度が低いためか、ここまでの37得点はD1で順位同様に11位となっている。

前節は、ハードワークがDNAである三菱重工相模原ダイナボアーズから2トライ10得点しか奪えず、7点差をつけられて開幕2連敗を喫した。

マクドナルドHCは「2週連続で試合終盤にスコアを狙い勝利に挑戦する機会がありながら、それをモノにすることができませんでした。今週の反省点は、トライを取り切るという部分です。多くのチャンスを作っていながら、トライラインを越える能力が欠けていました。フィニッシュの精度を上げていく必要があります」と決定力を課題に挙げた。

タックル成功37回でD1トップ(第2節終了時)にいるFL古川聖人バイスキャプテン。イーグルスの決定力について、ピッチ上の実感をこう明かした。

「僕たちは“ボールファースト”なチームカルチャーがある中で、トライを1本取りたいという気持ちが先行しすぎて、ボールを大事にするディテールの部分が欠けてしまったのかなと思います」

「もう少しフェーズを重ねていけばチャンスは絶対に来るチームだと思っていますが、今日は、少し遠い先のスコアや、試合に勝つという結果を意識し過ぎてしまったのかもしれません。目の前のプロセス、目の前のプレーをしっかりやり続けることに、来週はフォーカスしたいです」

 

注目点はズバリ決定力。ボールのセキュリティ意識を高めてフェーズ数を伸ばし、敵陣で確実にスコアできるか。イーグルスの文化であるアタッキングラグビーの炸裂に期待したい。先発メンバーは先週から変更はなく、CTB森勇登 は昨季まで所属していた古巣との対決となる。

2025年度のリーグワン(D1)は、2連覇王者の衝撃敗戦から始まったと言っても過言ではない。「0-46」というスコアにはそれだけの衝撃度があっただろう。

リーチマイケル主将が不在のなか、ゲームキャプテンを担ったFB松永拓朗は「絶対的キャプテンのマイケルさんに頼っていた部分がありましたこの試合で一番感じたのは、僕を含めてマイケルさんに頼り過ぎていた、という点です」と率直に話した。

その場の一体感を生み出していたリーダーがいなくなった途端、参加者がそれぞれ別の方向をむいて動き始める――。これはビジネスの現場からプライベートの飲み会に至るまで、大勢が集まる場でしばしば見られる現象ではないだろうか。

たとえ2連覇を遂げた成熟したチームであっても、一体感を失い、個人個人で戦い始めれば無得点で敗れることがある。このブレイブルーパスの“衝撃敗戦”は、組織論を考える上で多くの示唆を含んでいるだろう。

そして迎えた第2節。ブレイブルーパスの相手は幾度も番狂わせを起こしてきた難敵・静岡ブルーレヴズ。しかも会場は敵地ヤマハスタジアム。筆者は連敗も十分にあり得ると思っていた。

しかし、ブレイブルーパスは負けなかった。

前半33分時点で19-7と突き放したが、その後に雨の中で「2T2G1PG」で逆転に成功したのは流石ブルーレヴズだった。だが後半24分のCTBセタ・タマニバルのトライで逆転。26-22で辛くも逃げ切った。

天理大の初優勝メンバーでもあるブレイブルーパスのFB松永主将。2試合連続でゲームキャプテンを託され、第2節も「リーチ不在」の課題と向き合い、そして見事に今季初勝利を手にした。

「リーダーシップというところで特別何か変化を加えること、すぐできるようなことはないですが『一体感』はすごく大切にしました」

「ハドルになったときに『これがどう、これがどう』とたくさんしゃべりたい選手もいますし、しゃべっている人に対して聞いてない選手もいます。そういうのをなくしたくて『ハドルを組んだらしゃべっている人の目を見よう』『しゃべる人は明確なことを言って、次に挑もう』と話していました」(BL東京・FB松永)

静岡BR戦後の記者会見では指揮官のブラックアダーHCへ、大敗後の一週間のフォーカスについての質問も飛んだ。

もしもあなたがブレイブルーパスの指揮官だったら、開幕戦で大敗を喫した直後、チームに対してどんなアプローチを取るだろうか? 記者会見でブラックアダーHCが語った内容は、いつも通り、だった。

「非常にシンプルで、いつも通りです。負けたからといって特にここを変えようということはしていません」

「負けたことは過去のことであって、いつまでもその負けを見ていてもしょうがありません。(中略)負けを見ているより次の試合に向けてやるというところが大切でした」

「まだ1敗ということで、1敗したから自分たちが悪いチームになるわけでもないですし、弱いチームになるわけでもないというところをチームで確認しながら、しっかりいつも通りの準備をしました。その部分を試合での実際のパフォーマンスとしてグラウンド上で表現できたことが大きいのかなと思っています」

 

ブレイブルーパスの先発も変更はない。ゲームキャプテンは三度FB松永だ。

決定力向上を期して今季初勝利に燃えるイーグルスと、一体感重視で今季初の連勝を狙うブレイブルーパス。キックオフは日曜日の午後2時30分だ。

文: 多羅 正崇

多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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