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ラグビー コラム 2025年12月15日

【ハイライト動画あり】埼玉ワイルドナイツ、王者・ブレイブルーパス東京に完勝。山沢拓也は100%のキック成功率で勝利に貢献

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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山沢拓也(埼玉ワイルドナイツ)

衝撃的な内容だった。王者・ブレイブルーパス東京(BL東京)がここまで苦しむ姿を誰が想像しただろうか。12月14日(日)、東京都調布市の味の素スタジアムには、3万2613人の観客が集った。午後3時5分、BL東京SOリッチー・モウンガのキックオフで両チームにとっての開幕ゲームが始まった。

リッチー・モウンガ(東芝ブレイブルーパス東京)

互いに攻め、反応よく守る展開が続く。開始7分、埼玉ワイルドナイツ(埼玉WK)のSO山沢拓也が先制PGを決める。その後も、埼玉WKの圧力に劣勢になったBL東京は、スクラム、モールを崩すコラプシングの反則を連続で犯す。前半14分、埼玉WKは、トライライン直前のラインアウトからモールを押し込み、HO坂手淳史キャプテンがトライ。埼玉WKが試合の主導権を握った。

前半18分、自陣から攻めた埼玉WKに対して、BL東京のWTB桑山聖生が危険なタックルでイエローカードを受ける。14人のBL東京に対してアグレッシブに攻める埼玉WKは山沢拓也がPGを決め、23分には右に左に大きくボールを動かし、埼玉WKの一員としてはリーグワン初出場となったNO8カイポウリ ヴィリアミアフがトライ、山沢がゴールを決めて、20-0と点差を広げた。その後も攻撃の手を緩めず、前半を終えた時点で33-0とする。

埼玉WKのプランはシンプルだった。「コンタクトエリアのところで負けないこと。ブレイブルーパスはアタックが得意なチームなのでそこでのディフェンスにフォーカスしました」(坂手キャプテン)。その言葉通り、BL東京の縦突進を的確なタックルで止め、ボールキャリアーも確実にゲインし、BL東京が得意とする上体を抱えてボールを出させないチョークタックルも決めさせなかった。

後半に入っても流れは変わらず、山沢が後半3分、9分と2本のPGを決めて、39-0とする。2本のPGはスクラムで反則を誘ったものだった。埼玉WKの経験豊富なFW第一列、PRクレイグ・ミラー(35歳)、HO坂手淳史(32歳)、PRヴァル アサエリ愛(36歳)は8人の押しをまとめて圧力をかけた。BL東京のFW陣、そして、リーグワンデビューとなったBL東京PRヴェア・タウモエフォラウには学びの時間になっただろう。

ジャパンラグビー リーグワン2025-26(12月14日)

【D1 第1節 ハイライト動画】東芝ブレイブルーパス東京 vs. 埼玉ワイルドナイツ

ラクラン・ボーシェー(埼玉ワイルドナイツ)

BL東京も後半に入ってボールを持つ時間が増え、前半7回だったディフェンス突破も後半は15回になるなど、アタックの数値は改善されたが、攻め込むたびにミス、反則が出て得点できなかった。後半36分、埼玉WKのFLラクラン・ボーシェーがPKから速攻でトライしたときには、落胆もあってかボールを見ていない選手も多くなっていた。最終スコアは、46-0。2シーズン連続で頂点に立った王者の完敗だった。

BL東京のトッド・ブラックアダーヘッドコーチ(HC)は、試合後の記者会見で、まずは埼玉WKを祝福した。「パナソニックをおめでとうと言いたい。要所を押さえる試合運びをし、我々はプレッシャーを感じて無理なプレーをしていました。パナソニックは、しっかりチームを仕上げ、80分間を通してフィジカルにプレーしました。(我々には)トライラインが遠い後半40分でした」。その言葉通り、「接点無双」を掲げるBL東京が、フィジカルバトルで後手を踏み、なんとかばん回しようと無理なプレーでミス、反則を重ねる悪循環だった。

ゲームキャプテンのFB松永拓朗は、「パナソニックはスキがないチームだということを再認識しました」と話し、悪い流れを変えられなかったのか、という報道陣の問いかけに、「これまで、(リーチ)マイケルさんに頼りすぎていたことを感じた試合でした。リーダーとして流れを変えるのが難しかったです」と、怪我で欠場したキャプテンについて語った。ただ、シーズンは始まったばかり。ブラックアダーHCは「東芝の強みは学ぶ力だと思います。また、チームが成長する機会をもらったと感じています」と前を向いた。

プレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いた埼玉WKの山沢拓也は、10本のプレースキックの機会(4ゴール、6PG)をすべて決めた。「ほっとしています。(キックは)試行錯誤しているところなので」と謙虚に話した。坂手キャプテンも「(ゼロ封は)誇りに思っていいし、自陣深くに攻められたときの集中力は良かったし、これをシーズンのスタンダードとして、さらに積み上げて行ければと思います」と、王座奪還に向けて志高く語った。

今季より就任した金沢篤HCは、「選手が自分たちのラグビーを示してくれたことが率直に嬉しいです」と話し、「レギュラーシーズンを戦い抜くには一貫性が大事だと思うので、坂手の話した通り、このスタンダードを下げないようにしたいです」と喜びを噛みしめながら今後を見据えた。好スタートを切った埼玉WKは、次節は浦安D-Rocksと対戦(12月21日、熊谷ラグビー場)。BL東京は静岡ブルーレヴズと対戦する(12月21日、ヤマハスタジアム)。

J SPORTS 放送情報

文:村上 晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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