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コンラッド・セブンスター(東海大学)
東海大学が関東大学リーグ戦1部での優勝回数を14回とし、同リーグ歴代最多優勝校となった(これまでは13回で法大と並んでいた)。
初優勝が2007年度シーズンだから近年の充実が伝わる。
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新たな歴史を刻んだのは11月30日の秩父宮ラグビー場。対峙した流通経済大(以下、流経大)にとっては、全国大学選手権出場権が懸かった試合だった。
そんな相手の気迫に飲まれることはなかった。7トライを奪い、46-31と勝利した。
結果的に勝者となる青いジャージーは、10点を先行される展開にも慌てなかった。
試合序盤、流経大の勢いあるアタックに攻め込まれた。同大学が掲げるのはダイナミックラグビー。NO8ティシレリ・ロケティのパワフルなタテへのラン+積極的にボールを動かす展開を受け、自陣で戦う時間が長くなる。前半3分にSO紺井大士にPGを決められた。
21分には流経大のLO、キャプテンを務める福田拓人にトライラインを越えられた。
その時はオフサイドからPKで攻め込まれ、ラインアウト後のモールから抜け出したHO土井雄斗にゴール前に迫られる。FWの小刻みなピック・ゴーなど12フェーズを重ねられた末、背番号4に加点を許した。
キックオフから20分超。東海大が敵陣に入った時間は短かった。しかし、その間もコミュニケーションを取り続けていたのだろう。差を広げられた直後から東海大の時間が訪れた。
反撃の第一の矢、前半24分のトライは見事だった。
ハーフウェイライン付近、左サイドのラインアウトから、BKが5つのパスで右端まで攻める。そして折り返しのアタックは7つのパス。そのうち最後の4つのパスはFWがつないだもので、LO中村太士朗がインゴールに入った(必見の攻撃!)。
その3分後のトライは猛タックルから生まれた。
流経大の攻撃中に起こったハンドリングエラーにLOトゥポウ・ランギが襲いかかる。こぼれ球を拾った選手に刺さり、ボールを失わせた。そこに好反応を見せたのがSO北村光基。楕円球を足に掛けて前進し、ドリブルでインゴールに進めたボールを押さえた。ボールを持つ時間は圧倒的に流経大が長かったのに、14-10と逆転した。
ラグビー 関東大学リーグ戦2025(11月30日)
【ハイライト動画】流通経済大学 vs. 東海大学
流経大の闘志も衰えず、赤いジャージーのアタッカーたちは前半34分にボールを動かし続け、つなぎ、PR土屋英慈が再逆転のトライを挙げたのだが、ハーフタイムまでの僅かな時間に見せた東海大の集中力が素晴らしかった。
前半38分のトライでは、CTBコンラッド・セブンスターの実力が輝いた。グラウンド中盤で自ら持ち込んだラックで相手反則を誘い、自身のPKで前進。その後のラインアウトから出たパスを受け、一人で防御網を切り裂いて走り切った。
そしてハーフタイム直前にはスクラムで相手反則を誘発。PK→ラインアウト→モールの流れからSH川久保瑛斗が前進、そこからFWたちがピック・ゴーで攻め立ててFL細川聖がトライスコアラーとなった。
26-17として前半を終えた。
後半7分のトライ(FKからの攻撃で、オフロードパスを連続させたシーンも必見!)、ゴールで33-17とした東海大は、流経大の意地の反撃に33-31(後半27分)と迫られるも、そこから2トライ、1PGを追加してファイナルスコアの46-31を刻む。2年ぶりにリーグ戦王者となった。
試合2日前、自分たちのグラウンドでのジャージー授与式。全部員の前で「明後日の試合は、俺らが1年間やってきたことを正しかったと証明しよう。(全国大学)選手権とリーグ戦の優勝、目指しているうちのひとつをまず達成しよう。相手も必死だろうけど、それ以上の必死さで圧倒しよう」と話した薄田周希主将は試合後の記者会見で、「昨年思うような結果を得られず連覇が途切れてしまいましたが、自分たちの手でまた一歩踏み出せたことを嬉しく思います。春からの体作りなど、積み上げてきたことが結果に結びついたと思います」とした。
流れが相手に傾きそうになった時にそれを引き戻したスクラム。モメンタムを生んだオフロードパス。それらも一朝一夕で得たものではなく、時間をかけて自分たちのものにしたから大一番で武器として使えた。
そして、木村季由監督が「キャプテンの薄田のリーダーシップもあり、頭の一致がチームの強み。同じ絵を見てプレーできている」と評価していた力が、特にトライシーンに詰まっていた。
キックオフ直後からの流経大のチャレンジ、粘りもあり、お互いが自分たちの強みを出し合う80分だった。
文: 田村 一博
田村一博
前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。
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