【ハイライト動画あり】早大、伝統の早慶戦を制して首位に立つ。 矢崎由高が躍動し、清水健伸は4トライ

服部亮太（早稲田大学）

第102回早慶戦は11月23日、秩父宮ラグビー場（東京都港区）に1万5164人の観衆を集めて行われた。関東大学対抗戦Aの順位争いの鍵を握る試合でもあったが、早大が49－21で勝ち、勝ち点を32まで伸ばして首位に立った。

清水健伸（早稲田大学）

午後2時、伝統の一戦は早大SO服部亮太（2年）のキックオフで幕を開けた。慶大のキャッチミスでチャンスをつかんだ早大は一気呵成に攻め立てる。ハンドリングエラーで何度かトライチャンスを逃したが、慶大ボールのスクラムに圧力をかけて反則を誘うと、トライライン直前の左ラインアウトからモールを押し込み、清水健伸（2年）がトライ。CTB野中健吾キャプテン（4年）のゴールも決まって、7―0とリードする。

12分のトライはダイナミックだった。早大陣に10mほど入った左ラインアウトからの右オープン攻撃で、日本代表のFB矢崎由高（3年）が大幅ゲイン。慶大陣深く侵入したところで左オープンへ。服部から左タッチライン際のNO8粟飯原謙（4年）へロングパスが渡ると、粟飯原の内側に走り込んだCTB福島秀法（4年）とパスを交換して、最後は再びボールを持った粟飯原がトライ。野中のゴールも決まって、14―0とリードを広げた。

　

慶大がトライを返したのは、16分だった。CTB今野椋平キャプテン（4年）が2人のタックラーを引きつけるパスでFB田村優太郎（2年）が抜け出してトライラインに迫る。ここでできたラックサイドをSH橋本弾介（4年）が突き、NO8中野誠章（2年）へパスが渡ってトライエリアに走り込む。SO小林祐貴（1年）のゴールも決まって、14―7。

しかし、早大もすぐにトライを返す。20分、ラインアウトからの連続アタックを仕掛け、最後は服部からのパスを受けたLO栗田文介（4年）がポスト下にトライ。21―7とすると、27分にもラインアウトからのモールで清水がトライし、28―7と突き放した。慶大もチャンスは作るが、早大の激しいタックルの前にトライが取れない。前半終了間際にも、早大はラインアウトからのサインプレーで清水がこの日3本目のトライをあげ、35―7として、前半を折り返した。

後半に入っても早大の攻勢が続いたが、慶大も好タックルを連発して粘り、20分、交代出場の石垣慎之介（4年）がトライし、35ー14と差を詰めると、27分、FB田村が早大BKのパスをカットして約70mを足り切ってトライ。35―21と2トライ2ゴール差に迫った。しかし、反撃もここまで、2トライを追加した早大が、49―21で快勝した。プレーヤーオブザマッチは早大CTB野中健吾（4年）。モストインプレッシブプレーヤーは好タックルを何度も決めた慶大CTB安西良太郎（1年）が選出された。

「プライドの勝負だと思っていました。意地と意地のぶつかり合いです。後半は圧倒できなかったのですが、目標は日本一なので、チーム一丸となって日々精進します」と野中キャプテン。大田尾竜彦監督は「テンションの高い時間帯と低い時間帯があった。いかに80分間、自分たちの目指すパフォーマンスができるか」と、今後への課題を語った。

この結果、早大は対抗戦の最終節となる明大戦に勝てば優勝。負けるか引き分けた場合は、他チームの結果によるが2位から4位までどの順位も可能性がある。慶大は5位が確定。大学選手権の出場権は獲得した。目標は「日本一」であり、一戦一戦力を上げることに集中することになる。

文：村上 晃一