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ラグビー コラム 2025年11月4日

【ハイライト動画あり】ラグビー日本代表、世界王者・南アフリカに完敗。 矢崎由高、強気に攻めて一矢報いる

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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日本代表の「リポビタンDツアー」第1戦は世界王者に挑み、厳しい現実を突きつけられる結果になった。11月1日(日本時間:2日午前1時10分)、日本代表対南アフリカ代表は、ロンドンのウェンブリー・スタジアムに23,243人の観衆を集めて行われた。試合は、南アフリカのSOサシャ・ファインバーグ=ムンゴメズルのキックオフで始まった。

 

立ち上がりから南アフリカはアグレッシブに攻めた。キックオフのボールを確保した日本代表は、SO李承信がタッチキックを蹴る。これを南アフリカWTBチェスリン・コルビがクイックスローで仕掛け、ムンゴメズルが突進。リーチ マイケルのハイタックルの反則を誘う。このPKからのタッチキックで攻め込むと、ラインアウトからモールを押し込み、FLシヤ・コリシキャプテンが先制トライをあげた。

攻勢に転じる日本代表だが、マイボールのラインアウトでボールを奪われ、HOマルコム・マークスクボタスピアーズ船橋・東京ベイ)に持ち込んだボールをスティールされるなどチャンスを生かせない。13分にはSH藤原忍のキックをキャッチしたムンゴメズルが日本代表のトライライン前にハイパントを蹴り上げ、驚異的なスピードで追いついてジャンプ、待ち受ける李との競り合いでこぼれたボールを自ら拾ってトライ。自らゴールも決めて、14-0とリードを広げた。

直後の日本代表の攻撃では、リーチの突進を待ち受けていたマークスと、NO8ヤスパー・ヴィーセ浦安D-Rocks)がスティール(ジャッカル)。日本陣内のスクラムからの攻撃で、ムンゴメズルがわずかなギャップを見逃がさず、LOジャック・コーネルセンをかわして、トライエリアに走り込む。目の覚めるようなスピードでトライをあげ、スコアは、19-0。ムンゴメズル一人にかき回されたような書き方になったが、ボール争奪戦に徹底して圧力をかけられたことが攻撃を継続できない大きな要因だった。

リポビタンDチャレンジカップ2025 ラグビー日本代表テストマッチ(11月1日)

【ハイライト動画】南アフリカ vs. 日本

26分には矢崎由高の強気なカウンターアタック、HO佐藤健次の突破で攻め込み、ラインアウトからのサインプレーでトライラインに迫るが、佐藤からリーチへのラストパスをムンゴメズルに奪われてしまう。パスがリーチに渡ればトライという惜しいシーンだった。その後もCTBチャーリー・ローレンスの突進などで攻撃を仕掛けるが、ディフェンスを崩し切ることができない。38分には日本代表トライライン直前のラインアウトからモールを押し込まれ、PR竹内柊平がモールを崩したとしてペナルテイートライを献上。竹内はイエローカードを受け、26-0と引き離された上に、14人での戦いを余儀なくされた。

後半2分には、頭と頭がぶつかる危険なタックルがあったとして、FLベン・ガンターがイエローカードを受け、一時13人となる。すぐに竹内が戻ったが、挑戦者が14人で戦う時間が長くなれば勝つのは難しい。後半12分、日本代表はトライライン前で得たPKから矢崎が速攻を仕掛けてトライ。ようやく一矢報いる。しかし、その後も流れは変わらず、47-7で迎えた27分には李の防御背後へのキックをコルビに切り返され、コルビのキックを追ったWTBカート・リー=アレンゼがトライエリアに滑り込むようにトライ。54-7と点差は開いた。

後半28分に交代でベンチに下がった南アフリカ代表LOルード・デヤハー埼玉パナソニックワイルドナイツ)は68分で20タックルを記録。彼に代表されるように、フィジカル最強の南アフリカFWのハードワークが光った。最終スコアは、61-7。フィジカル面だけではなく、キックの精度など細かなスキル、雨の中でのゲーム運びなど、現時点での実力差を見せつけられる完敗だった。エディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチは次のように語った。「スクラム、ラインアウト、ブレイクダウンなどキーエリアで劣勢に立たされ、ボールを持ってもネガティブな状況になりました。空中戦も完敗でした。この差を自覚して、前進するしかありません」

 

ワーナー・ディアンズキャプテンは「相手のフィジカルは強かった。強い相手に対して、対抗出来たところもあったけど、スクラム、ラインアウトはもっと成長しないといけないです」とコメントした。1トライをあげた矢崎は、率直に感じたことを言葉にした。「強豪国に勝つためには、ロースコアのゲームを制するしかないと思いますが、強くなればなるほどスキはありません。わずかなスキを、チーム全体が同じ絵を見て攻めることができるか。そこを研ぎ澄まさないといけない。試合前、ウォーミングアップをしているときは、いつもテレビで見ているような選手を見て本当にすごいと思いました。でも、すごいと思っているうちは勝負できません。勇気をもってやるしかない。そういう経験ができたことは良かったです。後々の糧になると思います。この敗戦、この相手とやった感覚を忘れずに、ワールドカップではしっかり僕たちが勝てるまで成長していきたいと思います」

11月は数多くのテストマッチが行われている。日本代表は11月8日、アイルランド共和国のダブリンで、アイルランド代表と戦い、南アフリカ代表は11月8日(日本時間9日)、パリでフランス代表と対戦する。

文: 村上晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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