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ラグビー コラム 2025年10月31日

佐藤健次、矢崎由高が先発。 ラグビー日本代表は、若い力で世界王者・南アフリカに挑む

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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「リポビタンDツアー2025」日本代表vs南アフリカ代表は、11月1日(日本時間は2日、午前1時10分)、ロンドンのウェンブリー・スタジアムでキックオフされる。世界ランキング13位の日本代表にとっては、現在ランキング1位で2019年、2023年のラグビーワールドカップ(RWC)を連覇した世界王者への貴重な挑戦の機会となる。エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)はメンバー発表後の会見で言った。「ウェンブリーで南アフリカと対戦するという歴史的な一戦を楽しみにしています。世界のベストチームと対戦する大きなチャレンジです。よい準備ができており、委縮することなく挑みたいと思います」。

 

発表されたメンバーは10月25日のオーストラリア代表戦の23名のメンバーから2名の変更のみ。HO江良颯、CTB中野将伍が負傷で離脱したため、リザーブからHO佐藤健次、CTBチャーリー・ローレンスが先発に上がり、リザーブにはHO平生翔大、NO8マキシ ファウルアが入った。東京サントリーサンゴリアスの平生翔大は23歳。出場すれば初キャップ獲得となる。

報道陣から「江良の負傷離脱で経験豊富な選手を呼ぶ考えはなかったか」という主旨の質問があったが、ジョーンズHCは「選んでいない選手の話はしたくありません。これは我々の意向であり、若い選手でチームを前進させていきます」ときっぱり答えた。最年少は早大3年の矢崎由高(21歳)。昨年のヨーロッパツアーには参加しなかったが、今年は参加。世界トップレベルでも通用するスピード、ステップを世界王者に試す機会がやってきた。

キャプテンは引き続きLOワーナー・ディアンズが務め、バイスキャプテンのSO李承信、CTBディラン・ライリーが補佐する。オーストラリア代表戦で両チーム最多のタックルでディフェンスの中心になった江良の離脱は痛手だが、ディアンズ、LOジャック・コーネルセン、NO8リーチ マイケルら仕事人に加えて、ハードタックラーのFLベン・ガンターもおり、オーストラリア戦で見せたような粘りのディフェンスを見せたい。佐藤健次は優れたボールキャリアーであり、攻撃面で世界を驚かせることができるか。課題のスクラム、ラインアウトで成長した姿を見せてほしい。BKラインは堅実派のWTB長田智希とCTBローレンス、スピードあるライリー、矢崎、そして、忍者ステップの石田吉平がいる。世界王者の圧力は試練だが、それを楽しんでもらいたい。

また、リザーブの23番にティエナン・コストリーを入れたことについてジョーンズHCは次のように説明した。「(8人のリザーブ中)FWを6人にしたということ。また、コストリーはBKのユニット練習にも参加しており、いまのスコッドのWTBの75%の素早さは持っています。コンタクト、空中戦にも強く、WTBとしても活躍してくれるという手ごたえがあります。HIA(脳震盪のチェック)が出たときなど、複数のポジションをカバーできる選手が必要で貴重な選手です」

対する南アフリカのメンバーも強力な編成だ。南アフリカは今年、ニュージーランド、オーストラリア、アルゼンチンとの4か国で争うザ・ラグビーチャンピオンシップでも連覇を果たした。その優勝を決めた最終戦(10月4日、対アルゼンチン)のメンバーを16人含んでいる。日本のリーグワンでプレーする選手も多い。HOマルコム・マークスS東京ベイ)、LOルード・デヤハー埼玉WK)、FLフランコ・モスタート三重H)、NO8ヤスパー・ヴィーセ浦安D)、CTBダミアン・デアレンデ(埼玉WK)、ジェシー・クリエル横浜E)、FBチェスリン・コルビ東京SG)。日本選手の特徴を知っている選手が多いということでもあるが、日本のファンにとっても楽しみな試合になる。

キャプテンのFLシヤ・コリシはこれが99キャップ目。ジェシー・クリエルはあと5点で代表100得点に到達する。初キャップは、PRザック・ポーセン。U20南アフリカ代表のキャプテンを経験し、3番のプロップとしては南アフリカ史上最年少のテストマッチデビューとなる。また、現在売り出し中のSOサシャ・ファインバーグ・ムゴメズルも先発。天才的なキック、ランは日本代表にとって脅威だ。

両国は2015年RWCのプール戦、2019年のRWC直前、準々決勝で3度対戦し、南アフリカの2勝1敗。ジョーンズHCは「2015年に南アフリカに勝ってから、日本代表は上位国と対戦できるようになった。作り上げてきたレガシーを引き継ぐことが大切で、選手たちはその責務を果たしたいと思っています」と話す。ディアンズキャプテンは幼い頃、テレビでオールブラックスと南アフリカの試合を見ていたとい言う。「世界のトップチームにチャレンジできるチャンスです。チームとしては特別なことをするのではなく、よい準備をすることが大切です。キャプテンとしては、世界で一番フィジカルがあると言われているチームを止めるだけではなく、ドミネートしたいと思っています」。南アフリカ代表の先発15人の総キャップ数は、781。日本代表は322。テストマッチの経験値は半分にも満たないが、思い切ったチャレンジで再び世界を驚かせてほしい。

文: 村上晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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