人気ランキング
コラム一覧
楢本幹志朗(筑波大学)
「接点」というテーマで臨んだ筑波大が、最後まで接点でのファイトを繰り返し、2015年の対抗戦以来、10年ぶりの帝京大戦勝利をたぐり寄せた。10月26日(日)、栃木県の足利ガスグラウンド(足利市総合運動場陸上競技場)では、ときおり小雨の降る曇り空の下、80分間、最後まで緊張感ある戦いが繰り広げられた。
J SPORTS オンデマンド番組情報
上田倭士(帝京大学)
午後2時キックオフ。前半3分、筑波大陣のスクラムで帝京大がボールを投げ入れる際、フッキングしない反則を犯し、FK(フリーキック)から筑波大が速攻を仕掛ける。しかし、BKラインにボールを展開したところで、帝京大CTB上田倭士(3年)がインターセプトしてそのまま先制トライ。CTB大町佳生キャプテンがゴールを決めて、7-0とする。筑波大のアグレッシブな姿勢が失点につながったが、その後も、筑波大はキックを使って帝京大陣に入り、12分、トライライン直前のラインアウトからのモールでHO前川陽来(4年)がトライ。SO楢本幹志朗(4年)のゴールは外れて、7-5となる。
前半15分、筑波大のアーリータックルの反則から、帝京大が筑波大のトライライン5m前でラインアウトを得るが、ここでは筑波大がボールを奪い、ピンチを脱する。帝京大は今季初登場のNO8カイサ・ダイナカマカマ(3年)の強烈なタックル、FL河村ノエル(4年)の献身的なディフェンスを軸に粘るが、主導権は筑波大が握っていた。32分には、楢本のハイパントをLO磯部俊太朗(3年)が帝京大中盤でキャッチし、その後の展開で、CTB東島和哉(4年)、WTB内田慎之甫(1年)にパスがわたり、内田が細かなステップでディフェンダー2人を引き付けて、左タッチライン際のFL中森真翔(2年)にパス。中森が俊足を飛ばして左コーナーに飛び込み、逆転トライをあげる。スコアは、7-10とひっくり返った。
このトライで非凡なプレーを見せた内田は、35分、帝京大の防御背後のキックに身をひるがえして素早く反応し、ロングタッチキックで地域をばん回するなど、攻守にハイレベルなプレーを続けた。対する帝京大もワンチャンスをものにする。ハーフウェイライン付近のスクラムから連続攻撃し、最後はPR森山飛翔(3年)がトライ。前半の大半の時間を自陣に押し込まれながら、スコアは14-10とリード。チームの強みのひとつである、あきらめないディフェンスで対抗した。
ラグビー 関東大学対抗戦2025(10月26日)
【ハイライト動画】帝京大学 vs. 筑波大学
筑波大は後半3分、楢本のPGで14-13とすると、なおも波状攻撃。しかし、帝京大も河村のスティール(ジャッカル)などで切り返す。14分、筑波大の内田が左タッチライン際でショートパントをあげてトライラインに迫った際、進路妨害があったとして帝京大WTB青柳潤之介(3年)がイエローカードを受ける。14人になった帝京大だがディフェンスは崩れない。筑波大が逆転トライをあげたのは後半29分だった。トライライン直前の左側ラインアウトからモールを押し込み、帝京大のディフェンダーが集まったところで、CTB大内田陽冬(4年)に代わって投入されたばかりの深田衣良(1年)が左タッチライン際に走り込み、パスを受けてトライ。18-14とスコアをひっくり返した。その後も緊張ある攻防が続き、終了間際には帝京大が31フェイズにも及ぶ連続攻撃を仕掛けたが、筑波大が反則せずに守り切った。
高橋佑太朗(筑波大学)
筑波大のSH高橋佑太朗キャプテンは、「帝京はFWが前に出て勢いを作ってくる。0から1を作らせないように、ファーストタックラーが低く入ろうと言い続けました」と、粘りのディフェンスを語った。最後まで体力が残っていたことについては、「アタックでは早めにボールを手放し、ディフェンスの体力を残すことを考えていました」とも話し、帝京の強みであるディフェンスで体力を削られるよりも、キックで手放し、帝京の強みを消す戦いをしたと明かした。「(2週間前の)早大戦の反省を生かして臨みました。早大戦に出た23人しかあの強度を経験していなかったので、そのメンバーが伝えるしかないと、練習の強度を上げて行きました」(高橋キャプテン)
敗れたチームから選ばれる最も印象的な選手(MIP)はPR森山飛翔(3年)が選ばれた。激闘からは想像できないさわやかな声で、「僕たちが弱かったです。強くなって帰ってきます」とコメント。勝者から選ばれるプレーヤー・オブ・ザ・マッチは、SO楢本幹志朗(4年)が選ばれ「このメダルは全員のもの」と、こちらも謙虚に語った。
敗れた帝京大の相馬朋和監督は自らに矢印を向けた。「きょうは今年一番のハードワークをしてくれました。勝たせてやれなくて責任を感じています。筑波大のプレーは素晴らしかったです。ここで終わりではないし、成長していきたい。勝敗だけがこのゲームの価値ではないと思います」。大町佳生キャプテンも「最後まであきらめずにプレーできたのは良かった」と話した上で、「小さなミスが勝敗を分ける。プレーの精度を見つめ直していきたい」と次を見据えた。11月2日、帝京大は早大との大一番を迎える。筑波大は日体大と対戦(11月9日)。昨季4位までのチームとの対戦で3勝1敗。上位陣が星をつぶし合う可能性もあり、勝ち点争いは予断を許さない。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
あわせて読みたい
J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題
ジャンル一覧
人気ランキング(オンデマンド番組)
-
ラグビー 関東大学対抗戦2025 明治大学 vs. 早稲田大学
12月7日 午後1:50〜
-
【限定】ラグビーワールドカップ2027 オーストラリア大会 プール組分け抽選会
12月3日 午後6:00〜
-
【限定】ジャパンラグビー リーグワン2025-26 メディアカンファレンス
12月2日 午後1:55〜
-
【限定】ラグビー 関東大学対抗戦2025 筑波大学 vs. 青山学院大学
12月6日 午後1:50〜
-
ラグビー 関東大学対抗戦2025 帝京大学 vs. 慶應義塾大学
11月30日 午後12:50〜
-
ラグビー 関西大学リーグ2025 京都産業大学 vs. 天理大学
11月30日 午後1:50〜
-
【先行】ジャパンラグビー リーグワン2025-26 プレシーズンマッチ 埼玉ワイルドナイツ vs. 東京サンゴリアス
11月29日 午後12:50〜
-
【先行】ジャパンラグビー リーグワン2025-26 プレシーズンマッチ トヨタヴェルブリッツ vs. コベルコ神戸スティーラーズ
11月29日 午後12:50〜
J SPORTSで
ラグビーを応援しよう!

