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ラグビー コラム 2025年10月20日

【ハイライト動画あり】FB矢崎由高、一矢報いるも、 JAPAN XV、オーストラリアAに11トライ奪われる完敗。

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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「アサヒスーパードライCHALLENGE MATCH 2025」JAPAN XV(ジャパン・フィフティーン)対オーストラリアA代表は、JAPAN XVが圧倒される展開となり、大阪のヨドコウ桜スタジアムの観客席からは落胆のため息が漏れた。

10月18日(土)、JAPAN XVは、午後1時のキックオフ直後から右に左にテンポよくボールを動かし、オーストラリアA陣内で攻め続けた。相手の反則を誘い、PKからのタッチキックでラインアウトを得たが、ここでオーストラリア代表LOダーシー・スワインにボールを奪われる。これ以降、不安定なラインアウトはJAPAN XVを苦しめることになった。

その後も攻めるJAPAN XVはSO中楠一期が相手陣深くハイパントを蹴り上げたが、これを確保できず、逆に攻め込まれる。前半6分、トライラインを背にしたスクラムからの攻撃で、オーストラリア代表17キャップのスワインにトライを奪われてしまう。JAPAN XVはテンポの速い攻撃でチャンスを作るのだが、オーストラリアAのディフェンスは粘り強かった。

前半8分、オーストラリアA陣内深く攻め込んだところで、中楠がグラバーキック(地面を転がるキック)で味方を走らせたが、オーストラリアAのSHテディ・ウィルソンが身を挺してボールを確保。キックのタイミングは完璧に見えたが、それを上回る素早いカバーディフェンスだった。10分、JAPAN XVのNO8サウマキ アマナキがトライラインに迫ったときには、サウマキの上体を抱えてボールを押さえさせなかった。

トライエリアに入ってボールを押さえられない場合は、相手ボールのトライラインドロップアウト(トライエリアからボールをワンバウンドさせて蹴る)になる。それを狙うようなディフェンスはこの一度だけではなかった。JAPAN XVは、PGを狙えるシーンでもアグレッシブに攻めては切り返される繰り返し。チャンスを作りながらスコアできないもどかしい展開が続いた。

ラグビー日本代表強化試合2025

【ハイライト】JAPAN XV vs. オーストラリアA(10月18日)

前半14分、オーストラリアAは、激しく前に出てくるディフェンスを中でぎりぎりのパスをつなぎ、FBマック・グリーリーが左コーナーにトライ。12-0とすると、JAPAN XVのWTB植田和磨のショートパントを自陣22mライン内から切り返し、一気にボールを繋いでスワインがトライ。攻守の切り替えが早いオーストラリアAに対して、JAPAN XVは足が止まっているシーンが多かった。その後もJAPAN XVはトライを重ねられてしまう。

JAPAN XVの唯一のトライは前半22分だった。オーストラリアA陣10mライン右のラインアウトから左オープンに展開。フィールド中央でラックを2つ作ったあと、左に展開し、中楠から植田、そしてFB矢崎由高が植田のパスに走り込む。ディフェンスラインを突破した矢崎はオーストラリア代表20キャップのSOベン・ドナルドソンをステップで抜き去り、追いすがるグリーリーも振り切ってトライをあげた。1万105人の観衆がもっとも盛り上がったシーンだった。

後半10分にはWTBオリー・サプスフードが危険なタックルでレッドカードを受け、オーストラリアAが14人となる。JAPAN XVは、1人少ない相手のディフェンスを何度も崩しながら、ミスなどでフィニッシュまで持っていけないという、もどかしい展開が続いた。JAPAN XVは、「全面勝負」を掲げていたが、あらゆる面で上回ったのはオーストラリアAだった。最終スコアは、71-7。怪我などでメンバーが頻繁に入れ替わり、組織プレーが未整備のままのチームにとっては、難しい相手だった。

キャプテンを務めたFL奥井章仁は、「トランジション(攻守の切り替え)のところに差を感じました。ルーズボールの反応もオーストラリアのほうが速かったです。アタックは通じていたところもあったし、ディフェンスでミスを誘うこともできたのに、いろいろな面で遂行力が足りなかったです」と話した。

JAPAN XVは、来週(10月24日、日本本時間20:00キックオフ)、香港で、ホンコン・チャイナ代表との対戦がある。2027年のラグビーワールドカップに出場を決めているチームだ。ニール・ハットリーヘッドコーチは、国際舞台の経験が少ない選手たちが短い準備期間で戦い抜いた姿勢は評価した。「相手はオーストラリア代表経験者を多数含むチームです。このギャップをどう埋めるか。この経験を次のホンコン・チャイナ戦にどう生かすかが大切です」。来週だけの話ではなく、オーストラリア代表、スーパーラグビーのトップ選手との差を体感し、必要な努力を重ねて急成長するなら、この大敗は意義深いものになる。

文: 村上晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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