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「アサヒスーパードライ パシフィックネーションズカップ2025」(PNC)は、いよいよファイナルを迎える。日本代表はプールBでカナダ代表、アメリカ代表を下して1位通過。先週の準決勝ではトンガ代表を62-24で下し、チームの成長を証明してみせた。決勝戦は昨年と同様、フィジー代表と対戦する(日本時間、9月21日、10:35キックオフ)。
フィジー代表は、プールAでトンガ代表を32-10、サモア代表を29-15で下し、準決勝ではカナダ代表に63-10で下した。世界ランキングは9位(日本代表は13位)。変幻自在のパスワークは健在で、フィジカル、スピード面でもサモア、トンガの上を行く。日本の東芝ブレイブルーパス東京でプレーするCTBセタ・タマニバル、三重ホンダヒート入りが発表されたHOテヴィタ・イカニヴェレら経験豊富な選手がおり、大半の選手がスーパーラグビーに参戦するフィジアン・ドゥルアでプレーしていてコンビネーションも良い。国際舞台の経験の少ない選手が多い日本代表にとっては、大きなチャレンジになる。
9月19日に発表された日本代表のメンバーを見ると、トンガ代表戦から先発で3名の変更がある。大活躍だったFLベン・ガンターは練習中の負傷、WTB石田吉平、FBサム・グリーンも怪我で欠場する。代わってFLファウルア・マキシ、WTB木田晴斗、FB中楠一期が出場する。木田は11番のWTBに入り、11番だった長田智希が14番に回ることになった。木田にはパワフルで勢いのあるプレー、長田には堅実なプレーが求められるが、両選手ともハイボールキャッチでも安定感を見せてほしいところ。
エディー・ジョーンズヘッドコーチは、「怪我があって少しメンバーを変更しますが、層の深さが出てきたと感じています。強いメンバーを組むことができました。目標は優勝なのでフィジーに勝ちたいです」と話した。試合のキーポイントについては次のように話した。「プレッシャーをかけ続けることが求められます。フィジーに100%の力を出させず、ジャパンが100%の力を出す。そうすれば勝機が出てきます。チームはリーダー陣の成長、若手の成長によって、状況判断がよくなっています」。リーダーとは、LOワーナー・ディアンズ、SO李承信、CTBディラン・ライリーのことを指している。
会見の中で何度も話したのが「選手個々の判断を尊重する」ということ。ジョーンズHCは判断の一定の枠は作っているが、いつ蹴るか、どのように蹴るかの判断は選手に任せている。それが世界で戦えるチームを作るために必要なことだからだ。その判断を選手たちが楽しんでいることを歓迎する。「昨年から再び日本代表の指揮を執り、誰が日本代表でプレーする意欲を持っているのか見てきました。日本ラグビーが成功するためには、(他にはない)ずば抜けたことをする必要があります。それができるのは誰なのか、ということです。若い選手がステップアップしているのは素晴らしいことです」。
昨年の決勝戦では、17-41で敗れた日本代表だが、キャプテンを務めるワーナー・ディアンズは、「フィジーは自由にアタックしてくるチームなので、ディフェンスが大事になってきます」とコメント。広いスペースを走り回るのはフィジーの選手たちが得意とするところだ。ディフェンスを押し上げて彼ら窮屈な状況に追い込み、キックを蹴り込んだときにも追いかける選手を分厚くし、快適に走るスペースを与えない。それが勝利のカギになる。キャプテンはこうも話した。「PNCの各試合でタフな時間があり、それを乗り越えて3勝しました。フィジー戦もつらい時間が来ると思いますが、そのなかでどれだけ自分たちのラグビーができるかを楽しみにしています」。大一番のプレッシャーを楽しみ、成長する姿を見せることができれば、6年ぶりの優勝が成し遂げられるということだ。
文: 村上晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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