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ヴァレンス・テファレ(静岡ブルーレヴズ)
昨季の王者であり、首位を走っていた東芝ブレイブルーパス(BL東京)が思わぬ大敗を喫した。この日150試合出場(トップリーグ&リーグワン)を達成したBL東京のリーチ マイケルキャプテンは反省も込めて言った。「先週は圧勝して、今週は圧倒された。リーグワンはすごく面白いリーグです」。4月12日(土)、秩父宮ラグビー場には、10,097人の観衆が集った。晴れ、微風の好コンディションのなか、午後12時、静岡ブルーレヴズ(静岡BR)SOサム・グリーンのキックオフで激闘の幕は上がった。
開始2分、静岡BRがBL東京のトライライン直前のラインアウトのチャンスを得る。モールを組んで押し込もうとしたが、ここはBL東京が止め、その後のスクラムから展開し、FB松永拓朗、WTBジョネ・ナイカブラ、SOリッチー・モウンガで相手陣に入り、トライチャンスかと思われたが、モウンガからCTBロブ・トンプソンへのパスがつながらず、トライにはいたらなかった。
前半9分、BL東京の反則でPKを得た静岡BRはタッチキックで相手陣に入る。そのラインアウトから右オープンを攻め、右に左に大きく揺さぶったあと、CTBヴィリアミ・タヒトゥアがキックパス。右タッチライン際のWTBマロ・ツイタマがこれをキャッチしてトライエリアに走り込んだ。続く12分、再びBL東京陣深くのラインアウトを得た静岡BRは、モールは組まずに展開し、NO8マルジーン・イラウアがディフェンス網の間を切り裂いてトライ。グリーンのゴールも決まって、14-0とする。
奥村翔(静岡ブルーレヴズ)
続く19分、静岡BR陣に5mほど入ったラインアウトから左オープンに展開。FLヴェティ・トゥポウが中央で突進し、右に攻めた後、一気に左オープンへ。FL大戸裕矢、グリーン、CTBチャールズ・ピウタウとパスがつながり、最後のピウタウがタックラーの目の前でタップパス。そこに走り込んだFB奥村翔が抜け出し、そのままトライエリアまで走り抜けた。
ジャパンラグビー リーグワン2024-25 D1
【第15節 ハイライト動画】東芝ブレイブルーパス東京 vs. 静岡ブルーレヴズ
その後、BL東京のFLシャノン・フリゼル、PR木村星南らがトライラインに迫ったが、静岡BRのディフェンスが粘り、32分、ピウタウの好タッチキックで前進すると、ラインアウトからの攻撃でLOジャスティン・サングスターがトライ。26-0とリードを広げた。サングスターはその直前のプレーでもボール争奪戦でスティールしてチャンスの芽を摘んでおり、大黒柱のクワッガ・スミスがコンディション調整で欠場する中で献身的に働いていた。
前半は26-0と静岡BRが圧倒。後半の立ち上がりは、BL東京も思い切って攻め、ラインアウトのモールでトライラインに迫り、LOワーナー・ディアンズがトライ。反撃ムードを作ったが、後半11分、14分と静岡BRのグリーンに2本のPGを決められ、32-5。2本目のPGの直前にはBL東京の攻撃中に静岡BRのサングスターがパスをインターセプトして、BL東京の反撃ムードを断ち切った。
16分にはBL東京が自陣から攻めたが、右タッチライン際でナイカブラがタックルを受けてボールをこぼし、これを拾ったWTBヴァレンス・テファレが突進。好サポートのSH北村瞬太郎がモウンガのタックルを振り切ってトライ。39-5として、ほぼ勝敗を決した。BL東京もあきらめずに追いかけ、ジョネ・ナイカブラ、リーチ マイケル、ロブ・トンプソンがトライを返したが、静岡BRはさらに3トライを追加して、56-26で勝利。勝ち点を50に乗せ、リーグ戦6位以上が確定。優勝を争うプレーオフトーナメントへの出場が決定した。静岡BRがリーグワンのプレーオフに出場するのは初めてのことだ。
ダメ押しのトライをあげた北村はブレイクダウンを一つの勝因としてあげた。「ブレイクダウンはかならずクリーンアウトをしっかりしてボールを出す。東芝のブレイクダウンにも徹底してプレッシャーをかけました」。これにより、BL東京は勢いある攻撃ができず、ミスを連発することになった。また、パワフルな選手がフィールド中央を前進し、タッチライン際でもトゥポウや大戸が前進。スペースを作って、ツイタマやテファレを走らせることができた。プレーメーカーのサム・グリーンは、「BL東京が攻めてくることが分かっていた」と、キックでBL東京陣に入り、相手陣でディフェンスができるようにゲームをコントロール。PGチャンスは確実に決めて勝利を引き寄せた。
試合後、リーチの150試合を祝うセレモニーが行われたが、「150試合目は一生忘れられない試合になりました」と、リーチは自虐ともとれる言葉で会場を沸かせたが、プレーオフでのリベンジ宣言と受け止めた人も多かっただろう。「我々の準備は悪くなかったのですが、得意のマイボールラインアウトが少なく、ドミネートタックルをしたくても、できないシチュエーションを作られた。強みを消されていたと思います。振り返ると、すべての局面で(相手に)動かされていた試合でした」。リーチは静岡BRのパフォーマンスを称賛した。それは、プレーオフでのさらなる激闘を予感させるものだった。
文: 村上晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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