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伊藤光希主将(立教大学)
タッチフラッグが強風でバタバタと棚引く。
2024年も埼玉・熊谷ラグビー場が舞台となった関東大学対抗戦A・B入替戦。12月14日(土)第1試合の「立教大学」(対抗戦A7位)×「明治学院大学」(対抗戦B2位)」は、北関東らしい強風が吹いた。
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前半風下に立ったのは、勝てば2014年度以来の対抗戦Aとなる明治学院大。序盤はエリアマネジメントを重視し、自陣から強攻せずSO後藤朝霧の的確なキックで中盤に居座った。
一方で風上に立ったのが2020年以来対抗戦Aに居座る立教大。序盤は相手が望むキックゲームに付き合う形をとり、思うように前進できず。ルーキーLO中山英琥のジャッカル後もミスキックで後退するなど、なかなかリズムに乗れなかった。
チャレンジャーの明治学院大は自陣ディフェンスでも粘った。
立教大のフェーズアタックをバックロー(FL小野寺涼太、FL吉田隼輔主将、NO8櫻井瑛太)を筆頭に止め、最後は相手をグラバーキック選択に追い込む。
ただ直後のラインアウト、上背で勝る立教大は前半8分、前で張っていたFL日野幹太がジャンパーとなりカット成功。こぼれ球を拾ったPR八代デビット太郎が先制トライを奪った。
明治学院大の旗色が悪くなったのが、この被トライのあと。
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佐藤侃太朗(立教大学)
序盤に均衡をもたらしていたキックリターンがダイレクトになり後退。自陣でディフェンスに回ると、立教大はCTB佐藤侃太朗、CTB江田優太がゲインを奪い、最後はFL日野幹太が好キャリーで2本目(前半12分)。コリジョン(衝突)での劣勢が垣間見え、明治学院大の前途が危ぶまれた。
だが、すぐに希望の光が射した。
相手のキックミスで敵陣10m付近ラインアウト。後方ジャンパーで勝負し確保すると、ライン参加のFL小野寺涼太が一次ゲイン。
豊富なデコイ(おとり)ランナーを駆使しながらSH国原碧東が鋭いパスで相手守備をかく乱。3フェーズ目でノックオンとなったが、ゴールラインに迫る攻撃を披露。攻撃機会さえ用意できれば、との光明が射し込んだ。
ラグビー 関東大学対抗戦2024 入替戦(12月14日)
【ハイライト動画】立教大学 vs. 明治学院大学
さらにキックカウンターでPR浦辺将大が独走でトライラインに迫る。が、立教大WTB村上有志(関RS→東福岡)が2連続タックルでトライセーブ。さらに相手の高速ピック&ゴーもPR佐久間翔梧らが止める。息をつかせぬ攻防にスタンドから歓声が起こる。
だがゲームの土台となるセットプレー、スクラムに明確な差があった。
立教大は前半21分、ゴール前の自陣投入スクラムでペナルティ奪取。自陣での失点危機から脱出した。
立教大は序盤こそキックゲームに付き合っていたが、積極的にボールを保持すると強みを発揮。前進直後のラインアウトからCTB佐藤侃太朗が突破。フォローのSH伊藤光希主将が走りきった。
伊藤 光希主将(立教大学)
一発で3本目を奪ってみせると、トライ直後、立教大のFB大畑咲太の突破からSH伊藤主将が連続トライ。スコアは24-0に広がった。
明治学院大、待望のトライは前半33分だった。
自陣スクラムからSH国原がショートサイドを急襲。狙い通りにWTB黒木智博がロングゲインを切ると、NO8櫻井瑛太がルーズボールに飛び込む殊勲プレーで攻撃継続。
ワイド展開でさらにゲイン。2度のFWキャリーから右大外でWTB黒木がフリーでトライ。自陣スクラムからの攻撃を、鮮やかなトライで締めてみせた。
しかしFWで優勢の立教大が敵陣ゴール前スクラムから1本(前半39分)、CTB江田優太の突破を起点にWTB村上が2本(前半41分)を追加。A残留に懸ける立教大リード(36-7)で前半が終了した。
セットプレーとコリジョン(衝突)での優勢は大きかった。実力上位の立教大は後半に得点を重ねた。
後半開始直後には相手ゴール前でLO中山英琥のロータックルからターンオーバー発生。直後にPR八代デビット太郎がキャリーで後半1本目。さらに2トライを追加した立教大は50分経過時点で55-7。A残留を視界に捉えた。
だが、明治学院大も執念を見せる。
小林良太朗(明治学院大学)
必見のプレーは後半14分。ピッチ幅のほぼ半分に相手DFを集めると、逆サイドへ意表を突くクロスキック。捕球のWTB小林がワンハンドトライ。実力上位の相手からトライを創出するクリエイティビティ、スキルを一発勝負の舞台でみせた。
しかし終盤でもアジリティが落ちない立教大バックスが、その後に3連続でフィニッシュ(CTB江田優太、SO中優人、FB大畑咲太)。さらに後半34分に途中出場の大上翔がチーム13トライ目。スコアは83-14と大きく開いた
ただ明治学院大も集大成の今季ラストゲームだ。
最終盤、敵陣22m内ラインアウトで勝負のバックス展開。SO後藤朝霧がキャリーに切り替えてゲインを切る。素早くポジショニングしたCTB上羽健が間隙を破り、チーム3本目を切り取る。生み出したモメンタムを得点に変える集中力を終盤に発揮してみせた。
しかし最後はミスを誘った立教大が、敵陣アタックからSO中優人がフィニッシュ。14トライ目を挙げ、88-21のビッグスコアで対抗戦A残留。大きな潜在力、来シーズンの飛躍も感じさせる内容で見事に勝ち切った。
創造性豊かなアタック、展開力をみせた明治学院大は対抗戦B残留。一定の成果を挙げながらも、2014年以来の対抗戦A参戦は次のシーズンへ託されることとなった。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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