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佐藤健次(早稲田大学)
「スケジュールが決まった時点で筑波大戦は難易度が高いと予想していました。序盤は激しく体を当ててきて、さすがに筑波大だと感じながら見ていました」。試合直後、早大の大田尾竜彦監督は淡々と振り返った。前節は王者・帝京大に快勝したが、全力で勝ちに行った翌週に実力者の筑波大と戦うのは心身ともに準備が難しい。11月10日(日)、埼玉県の熊谷ラグビー場で行われた一戦に早大は帝京大戦と変更なしのメンバーで臨んだ。
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福島秀法(早稲田大学)
午後2時、試合は早大SO服部亮太(1年)のキックオフで始まった。筑波大が蹴り返したボールを服部が確保して連続攻撃を仕掛ける。右に左にフィールドを横幅いっぱいに使ってボールを動かし、PR杉本安伊朗(2年)が抜け出してチャンスを作り、その後の攻撃でFB矢崎由高(2年)のタイミングの良いパスに走り込んだFL城央祐(1年)がディフェンスを破り、FL田中勇成(3年)にパスが渡ってゴールライン直前へ。最後はCTB福島秀法(3年)のパスを受けたWTB池本晴人(2年)がインゴール左端にトライをあげた。CTB野中健吾(3年)がゴールを決めて、7-0とする。
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筑波大もすぐにトライを返す。5分、早大陣10メートルライン右のラインアウトから、WTB増山将(2年)が、早大のFWとBKの間に走り込み、そのままインゴールまで駆け抜ける。SO楢本幹志朗(3年)のゴールも決まって7-7の同点となる。その後も筑波大は接点で激しくプレッシャーをかけた。早大は13分、筑波大陣中盤右のラインアウトから攻め、22mライン中央のラックからHO佐藤健次キャプテンが、2人、3人とタックラーをはじきながら前進し、最後はSH細矢聖樹(4年)からパスを受けたNO8鈴木風詩(4年)がトライを奪う。
筑波大に圧力を受けながらも、早大は野中が前半31分までに2本のPGを決めて、20-7とする。その後、筑波大の連続攻撃を受けるが、タックルした選手がいち早く立ち上がってディフェンスラインを整え、トライを許さなかった。前半終了間際には、筑波大ゴール前のスクラムを得て、野中がトライ。25-7とする。「ディフェンスから流れを作ってくれた」と大田尾監督も称える前半だった。
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【ハイライト動画】早稲田大学 vs. 筑波大学
帝京大戦でキック、パス、ランと非凡なスキルを披露した服部は、この日もロングキックと滞空時間の長いハイパントで地域獲得に貢献した。筑波大の嶋崎達也監督は、早大のキック戦略に対し、今季対抗戦初出場のFB永山丞(3年)がミスなくキャッチし、カウンターアタックを仕掛けるなど期待に応えてくれたことを称えた。しかし、早大がタッチに出したときのラインアウトが安定しなかった。「早大にボールを持たせないようにラインアウトでプレッシャーをかけたかったのですが、上手く行きませんでした」
後半9分、筑波大陣深い位置でPKを得た早大は、服部がタッチキックを蹴ろうしたが、味方の声を聞いてキックの方向を変更し、右タッチライン際の広いスペースにキックパス。これをキャッチしたWTB田中健想(1年)がトライし、30-7とリードを広げた。17分には佐藤キャプテンがモールから今季初トライ。終始主導権を握った早大が44-7で勝利した。3トライ以上差をつけるボーナス点も獲得し、同じく5戦全勝の明大と勝ち点30で並び首位に立った。12月1日、早明戦の全勝対決が現実味を帯びる快勝だった。
佐藤健次(早稲田大学)
難しい試合を制した佐藤健次キャプテンは、プレーヤー・オブ・ザ・マッチを受賞。「きょうの試合のテーマはディテールでした。細かいところにこだわり、自分たちにフォーカスした結果です。(帝京に勝っても)慢心はせず、切り替えることができました」。佐藤、矢崎の日本代表コンビが軸になり、城、服部、田中といった1年生が活躍。いま対抗戦で最も勢いのあるチームといえるだろう。今後は、11月23日の早慶戦、12月1日の早明戦という伝統の一戦が待ち受ける。次の早慶戦に向け大田尾監督は言った。「自分たちの今年の戦い方を示す必要があります。慶応は激しくプレッシャーをかけてくるでしょう。自分たちにフォーカスして成長しないと選手権の優勝はないと思っています」。
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ラグビー 関東大学対抗戦2024 慶應義塾大学 vs. 早稲田大学
放送日:2024年11月23日(土)放送時間:午後 1時50分~
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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