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ラグビー コラム 2024年10月24日

歴史を変えるチャンス。 ラグビー日本代表が全力でオールブラックスに挑む

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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日本ラグビーの歴史を変えるチャンスが訪れた。日本代表は1987年の初対決以来、ニュージーランド(NZ)代表オールブラックスに一度も勝ったことがない。だが、その差は着実に小さくなっている。直近の対戦は2022年10月29日(国立競技場)で、31-38で敗れたものの、1トライ1ゴール差で最後まで勝つ可能性のある戦いを繰り広げた。2023年のラグビーワールドカップ(RWC)に向けてチームがまとまっていた当時と比べ、現状は2027年RWCを目標にチームを作り直している段階。日本ラグビーの地力と、試合への準備の確かさが試される戦いになる。

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リポビタンDチャンレンジカップ2024日本代表対NZ代表は、10月26日(土)、神奈川県の日産スタジアムで行われる。「試合の最初からファンを魅了し、本物の日本代表のプレーを見せることが私たちの仕事。スピード、賢さを活かしたプレーをして私たちのペースに持ち込みたい」。エディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチは、オーストラリア代表、イングランド代表を率いてNZ代表に勝った経験がある。「NZと対戦するときは、常にプレッシャーを与え続けることができるかという戦術的な規律を試される」。

攻めてはボールをキープして動かし続け、ディフェンスではNZのスピードランナーを走らせるスペースを与えない。攻守に全員が動き回ってプレッシャーをかけ続ける。それを精度高くできるかどうか。不用意なキックでカウンターアタックを許し、ミスしたボールを拾われて走られてしまえば、あっというまに大量失点となる。一瞬たりとも集中力を切らさない戦いが求められるのだ。

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NZ代表は試合の4日前にメンバーを発表。今回のツアーメンバーのキャプテンであるLOスコット・バレットはじめ、ジョーディー、ボーデンのバレット兄弟、FLアーディー・サヴェア、WTBウィル・ジョーダンらの主力が抜け、代表キャップ数の少ない選手が多いが、ラグビー王国の精鋭軍団であることに変わりはない。キャプテンは46キャップのLOスコット・トゥイプロトゥで、サモアにルーツと持つ選手では7人目のNZ代表キャプテンとなる。バイスキャプテンは安定感抜群のCTBアントン・レイナートブラウン、東京サントリーサンゴリアスに所属するサム・ケインが務める。ケインは元NZ代表キャプテン。ピンチを未然に防ぐタックル、献身的なサポートプレーなどで動き続ける。日本でのプレー経験があるダミアン・マッケンジーは変幻自在のステップワークを持ち、プレースキック時の微笑みでもおなじみ。マーク・テレア、セヴ・リースのWTBコンビの瞬時の加速、長い距離を走り切る決定力は日本代表にとっての脅威だ。リザーブのピーターラカイ、ルーベン・ラヴは出場すれば代表デビューとなる。

対する日本代表は、プレーメイカーのSOに60キャップの立川理道を起用。NO8ファウルア・マキシ、SH藤原忍という天理大OBがフォーメーションの中枢に並んだ。HO坂手淳史、FL姫野和樹という国際舞台の経験豊富な選手が怪我から復帰したのは心強い。2023年のRWCで活躍したファカタヴァ アマトもFLで先発。LOは202cmのサナイラ・ワクァ、201cmのワーナー・ディアンズがコンビを組み、ラインアウトの軸になる。BKでは、WTBジョネ・ナイカブラが怪我から復帰。パシフィックネーションズカップで代表デビューし、決定力を見せつけたWTBマロ・ツイタマとのWTBコンビはNZ代表にとっても脅威になる。CTBは絶好調のディラン・ライリーと、安定感が光るニコラス・マクカラン。そして、最後尾のFBは早大2年の矢崎由高だ。持ち前のスピードがNZ代表にも通用するかどうか。貴重な経験になる。

焦点のひとつであるスクラムの最前列は、岡部崇人、坂手淳史、竹内柊平が先発トリオ。リザーブ(控え)は、茂原隆由原田衛オペティ・ヘル。190cm、127kgのヘルは待望の代表デビューのチャンスをつかんだ。突進力はリーグワンで証明済みで、インパクトプレーヤーとして期待がかかる。BKのリザーブでは、SO、FBをこなす松永拓朗が出場すれば代表デビューだ。タックルのタイミングを巧みに外すランで観客席を沸かせたい。エディー・ジャパンが掲げる「超速ラグビー」のキーマン藤原忍は、試合で心がけることについて「やるべきことを整理することが大切です。多くを考えすぎず、やることを絞ること」と話した。各選手がやるべきことをシンプルに整理して、NZ代表に圧力をかけ続ける。その先に歴史的勝利が見えてくる。

文:村上 晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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