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CTB梶村(左)とSH小山
10月26日(土)に「オールブラックス」こと、ニュージーランド代表戦を控えるラグビー日本代表。エディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)や、BK(バックス)陣は13日から宮崎に入って、スキル練習に精を出していた。
宮崎合宿に参加したのは、FW合宿に帯同したSH(スクラムハーフ)藤原忍(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)を除いたBK16名と、FW(フォワード)から、FLアイザイア・マプスア(トヨタヴェルブリッツ)、NO8(ナンバーエイト)ファウルア・マキシ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)の18名だった。
10月15日、今夏に初キャップを得たSH小山大輝(埼玉パナソニックワイルドナイツ)と、PNC(パシフィックネーションズカップ)からチームに加わったCTB(センター)梶村祐介(横浜キヤノンイーグルス)の2人がオンラインでメディアに対応した。
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小山によると、BK陣の合宿のテーマは「お互いにプレッシャーを掛け合い質の高い練習をすること」だったという。また、PNCでは決勝のフィジー代表戦での8回など、BKのハンドリングエラーが多かったため、キャッチ、パスといったファンダメンタルスキル面の練習に多くの時間を割いたとのこと。
小山は「プレッシャーの中でどこまでできるか、というところでは成長段階。ハンドリングエラーで、ボールをロスすると、ティア1のチームにはやっぱり勝てないと思うので、そういうところを意識して練習をしている」と話した。
また、3年ぶりの代表活動への参加となった梶村は「今まではボールに対して外側の手を出す選手が多くて、外側の手を出してしまうと、どうしてもボールの勢いに負けて、キャッチのタイミングが自分の身体の中心から外になってしまうというデータがあった」。
「それをなくすためにボールが来る方向の内側の手をあげることで、自然とキャッチを内側に矯正するというトレーニングをやっていた。キャッチするタイミングが早くなると、ディフェンスとの時間ができるので、良い判断ができる回数がすごく増えてきた」と具体的に説明してくれた。
ディフェンスでも強みを見せるSH小山
6月から日本代表に参加している小山は「パスの捌きの部分は結構自主練習をしている。アタックはSHが主導にやっていかないといけないので、エディー(・ジョーンズHC)には結構、厳しく言われている」とはにかんだ。
続けて、「所属するワイルドナイツでは、日本代表ほど早いテンポでどんどんパスを回すということはあまりやっていなかった。ワイルドナイツではコントロールしている部分もあったが、ジャパンに来て、パスの精度や情報を見ながら判断してスムーズに出せるところを意識している」と話した。
それでも超速ラグビーに「ちょっとずつ慣れてきた」という小山は、「日本代表のアタックは、早いテンポでディフェンスを置き去りにできるところはすごく強みだが、ハンドリングエラーやちょっとしたことでボールを失うと、ナショナルチームが相手だと、一気に取られたりしてしまう場面もあるので、エラーをもう少し減らせば、すごく良いレベルになっていく」と手応えを口にした。
ボールをテンポ良く動かし、相手ディフェンスがセットしない状態でアタックを仕掛けるためには、やはり味方選手の早いセットとコミュニケーションが欠かせない。
「もっと細かいコミュニケーションを取ることができれば、もっといいアタックができる。ブレイクダウンが起きる瞬間や起きる前から、次のフェイズについてコミュニケーションを取るような感じ。BKでよく話した方がいいと思うし、そのちょっとしたコミュニケーションが正確性を生むと思う」。
PNCサモア戦で3キャップ目を得たCTB梶村
今夏、高校時代以来、久々にエディー・ジャパンに参加した梶村は「今まで何度も呼んでいただいて、チャンスを掴めなかったことが何度もあったが、やはり日本代表は、一番魅力的なチームだと思っているし、呼ばれることはすごく光栄なことで、呼ばれたチャンスを活かしていきたい」。
「エディーさんと話してみて、あまり大きく変わっていなかった。選手はすごく緊張感があって、チーム全体がピリピリしている感じで、すごくいいことだなと思う」と話した。
梶村はPNCでは準決勝と決勝でベンチから出場を果たした。「日本代表の試合も久々で、時間は限られていたが、その中でインパクトを残そうと思ってプレーしたので、感触としては悪くなかった。(エディーさんは)アタックの印象の方が大きかったと思うが、ディフェンスの部分の変化は感じてもらえたと思う」と胸を張った。
また、実際に超速ラグビーを実際に体感して梶村は、「スタートからすごくギアを上げているので、60分以降のパフォーマンスの低下というのはすごく感じている。スピードラグビーをやっているので、どうしてもどこかでガス欠になってしまう」。
「そうならないために、しっかり80分のゲームの中でギアを上げるところと、少しコントロールする、テンポの強弱をつけないといけない。日本代表に入る前も思っていたし、実際にジャパンに合流してからもそう感じている」と話した。
今後、どういった点でコーチ陣にアピールしていきたいかを聞かれて、29歳とすでにベテランになりつつある梶村は、「代表の中で、そんな若い選手ではないので、特に意識しているのは、1回のチャンスの中でコリジョンエリアでのインパクトをしっかり残すこと」。
「ボールキャリーは自信があって必ず成果を残したいのと、ディフェンスではドミネイトタックルを狙うことをターゲットにしているので、今の自分の成長をしっかり試合の中で成果として出してみたい」と先を見据えた。
最後に2人にオールブラックス戦に対する意気込みを聞いた。小山は「オールラックスはカウンターアタックがすごく得意なチームだと思うので、アタックからディフェンスに変わった時の意識がすごく大事。自分たちがどこまで戦えるかはすごく楽しみだし、自分たちが今できる限りのことを出して勝ちにいきたい」と語気を強めた。
梶村は「昨季、リーグワンで長いシーズンを戦ってきて、オールブラックス戦に出られるだけのパフォーマンスは残してきたと思っているが、まずはチーム内の競争に勝たないといけない」。
実際、(先発には)調子のいいCTB陣が2人並んでいるので、そこに食い込むために練習の中で持てる力をすべて発揮することが大事だと思っているし、出たらやれる自信はある」と前を向いた。
10月16日からFWも宮崎に合流しており、日本代表はチーム一丸となってオールブラックス戦に向けてさらに強化を進めていく。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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