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ラグビー コラム 2024年9月22日

【ハイライト動画あり】フィジー代表に力負けした日本代表。圧力に屈した経験が成長の糧になるか。

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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立川理道

実力差を見せつけられる敗戦だった。アサヒスーパードライ パシフィックネーションズカップ2024決勝戦は、9月21日(土)、東大阪市花園ラグビー場で行われ、フィジー代表が41-17という快勝で同大会6度目の優勝を飾った。日本代表は、カナダ、アメリカ、サモアに3連勝で決勝に進出したが、世界ランキング10位の壁に跳ね返された。エディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチ(HC)は、試合後の会見で「セットピース(スクラム、ラインアウト)、ブレイクダウンでのコンテスト、空中戦、いずれもフィジーに勝ることができませんでした」と力不足を認めた。

ディラン・ライリー

花園に集って観客は、14,437人。準決勝でサモア代表を破った日本代表の好パフォーマンスを見て、観戦を決めた人も多かっただろう。午後7時9分、世界のトップレフリーの一人、ニック・ベリーの笛で試合は始まった。そのボールを日本代表FB李承信がフェアキャッチ。キックオフのボールをフェアキャッチできるルールは、パシフィックネーションズカップ(PNC)で試験的に導入されているものだ。3連勝の戦いと同様に日本代表は序盤からスピーディーにボールを動かし、ディフェンスで圧力をかけた。前半7分、フィジーの反則を誘い、李が先制PGに成功。3分後にフィジーSOケレブ・マンツにPGを返されたが、その後もボールを素早く動かし、20分にはCTBディラン・ライリーが圧巻の個人技を披露した。

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今大会絶好調のライリーは、フィジー陣に数メートル入った右中間のスクラムからの攻撃でパスを受けると、ハーフウェイライン付近から右に左にステップを切りながらタックラーをかわし、防御背後にショートパントを蹴って追いかけ、そのボールを確保してトライをあげた。フィジー代表をも翻弄する個人技にスタンドは大いに沸いた。今大会100%のゴール成功率を誇る李がゴールを決めて、10-3。その後は、ほんの少しでもタックルが甘くなれば、スピードランナー揃いのフィジーにトライを奪われる緊張感のなかで我慢のディフェンスが続いた。

アサヒスーパードライ ラグビーパシフィックネーションズカップ 2024 決勝戦

【ハイライト動画】フィジー vs. 日本

痛恨のトライを奪われたのは前半32分だ。相手のパスをWTBマロ・ツイタマがインターセプトして前進し、フィジー陣中盤でチャンスを得る。一気にフィジー陣深く入ろうと、SO立川理道が防御裏へ地面を這うキックを蹴ったところ、タックラーの足に当たってボールは日本代表陣方向へ。転々とするボールをWTBヴアテ・カラワレヴが確保してそのままトライ。マンツのゴールも決まって10-10の同点となる。37分、HO原田衛が相手の顔に肩がヒットする危険なタックルでシンビン(10分間の一時退場)となり、さらに我慢の展開が続く。ここは、PR竹内柊平が急きょスローイングの代役を務めるなどしてしのぎハーフタイムを迎えた。

ワーナー・ディアンズ

前半の日本代表は、フィジー代表の強力スクラムに対して低く結束した姿勢で耐え、ラインアウトもワーナー・ディアンズが2度のスチールに成功するなど健闘していたが、後半はフィジカルバトルでフィジーに圧力を受け、徐々に体力を削られた。後半16分、マンツにPGを決められて13-10でリード出されると、自陣からの攻撃にハンドリングエラー。19分、フィジー代表の交代出場のWTBポニパテ・ロンガニマシにトライを奪われる。その後もフィジー代表の出足鋭いディフェンスに圧力を受け、パスを後逸するようなミスが続いた。強いランナーが次々に走り込んでくるフィジー代表の攻撃にディフェンスを集めらてて、外のスペースを攻略されるなど、次第に足がついていかなくなり、次々にトライを奪われる。あっというまにスコアは、41-10になった。

ケレブ・マンツ

大差になって席を立つ観客も多かったが、後半38分、ツイタマがトライし、最後まで見守ってくれた観客を喜ばせた。プレーヤー・オブ・ザ・マッチは、陣地を大きく返すロングタッチキックほか、卓越したスキルで日本代表を苦しめたケレブ・マンツが受賞した。

試合終了の笛が鳴り響くと、フィジー代表の多くの選手が芝生にあおむけに倒れ込んだ。その姿は、国の誇りを背負って戦うテストマッチのタフさを示していた。フィジカルも個々のスキルも高いフィジーの選手たちが、まさに「ぶっ倒れるまで」走り続けて日本代表に勝ったのである。彼らを上回るために日本代表は、途方もない努力を続けなければならない。それを選手が体感したことは大きな価値があった。唯一のトライをあげたライリーは言った。「残念ですが、力不足です。(強くなるためには)年間を通じて強い相手と戦っていかなくてはいくしかない」。秋には、ニュージーランド、フランス、ウルグアイ、イングランドとの戦いが待っている。強い相手に力を出し切る試合を続けることで強くなるしかない。ジョーンズHCは「次はいかにニュージーランドに勝つかを考えたい。戦術もスマートに戦う。史上初めてニュージーランドに勝つ日本代表になりたい」と一戦一戦全力で戦うことを誓った。

文:村上 晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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