世界ランキング8位イタリアへの挑戦。リーチの第二の故郷・札幌で、夏の日本代表活動の集大成を見せる

　

エディー・ジョーンズヘッドコーチ率いる日本代表は、7月21日、北海道の札幌ドームで「リポビタンDチャレンジカップ2024」のイタリア戦を迎える。リーチ マイケルキャプテンが高校時代を過ごした第二の故郷で観客を喜ばせるパフォーマンスを披露してほしいところだ。

先週の日本代表は、フィジカル最強のジョージアと戦い、レッドカード、イエローカード各1枚を受けるなど規律が乱れて23－25という悔しい負けを喫した。世界ランキングは12位から14位に後退。ジョージアは13位から12位に浮上した。イタリアは現在8位。オーストラリア、フィジー、ウェールズの上にいる。「超速ラグビー」を掲げてスタートしたエディー・ジャパンにとってはチャレンジしがいのある相手だ。

近年めきめきと力をつけるイタリアは、2023年のラグビーワールドカップ（RWC）で期待されたものの、ニュージーランド、フランスに大敗してプール戦2勝2敗で大会から姿を消した。しかし、今年のシックスネーションズ（欧州6カ国対抗）では、スコットランド、ウェールズに勝ち、フランスとは引き分け。9年ぶりに最下位を脱して5位という成績を残した。

　

大会のMVPを獲得したCTBトンマーゾ・メノンチェッロ（21歳）ほか、若い選手が頭角を現し、スピーディーな攻撃でディフェンスを崩すスタイルも魅力的だ。ハードタックラーのFLミケーレ・ラマロキャプテンはじめ、不動のSOパオロ・ガルビージらシックスネーションズで活躍した選手が並ぶ。果たして日本代表はフィジカルの強さだけではないイタリアとスピード勝負をしてトライを奪えるのか。現在の実力を試される戦いになる。

　

日本代表は、ジョージア戦から先発15人でなかで4名の変更があった。LOだったリーチ マイケルは本来のFL（7番）に下がり、LO（4番）にはマオリ・オールブラックスに勝利した試合で活躍した桑野詠真が入った。7番だった下川甲嗣はレッドカードを受けて出場停止処分。6番にはサウマキアマナキ、8番には6番だったファウルア・マキシが入る。スクラムをリードする第一列は、茂原隆由、原田衛、竹内柊平とイングランド戦、ジョージア戦と変わらず。「テストマッチはベストメンバーで行く」と話していたジョーンズHCの信頼と期待の表れだろう。テビタ・タタフはリザーブ席からの出場になるが、世界トップクラスの突進力をインパクトプレーヤーとして発揮してもらいたい。

BKの11番から15番まではジョージア戦と変わらず。攻守に仕事量豊富なWTB長田智希、決定力のあるWTBジョネ・ナイカブラ、成長著しいFB矢崎由高、そして、パワーとスピードを兼ね備えたサミソニ・トゥア、ディラン・ライリーの両CTBである。先発していたSH齋藤直人は試合後、危険なプレー（後半18分のヘッドコンタクト）を問題視されて、ワールドラグビーの独立規律委員会はレッドカードと判断した。今回は9番小山大輝、10番松田力也の埼玉ワイルドナイツコンビがハーフ団を形成する。松田は6月、7月の日本代表シリーズでは初の先発となる。リーグワンで息の合ったプレーを披露し続けた2人による、テンポアップしたゲームリードを期待したい。

両者の過去の対戦成績は、日本代表の2勝7敗で、昨年のRWC直前の試合でも、イタリアが42－21で勝っている。また、イタリアは、7月5日にサモアに敗れ、12日のトンガ戦は勝利した。日本代表との戦いはテストマッチ3連戦の最後になる。イタリアとしては世界ランキングの下位チームに負けられないが、日本代表もホームで連敗は避けたいし、生まれ変わったチームとして最初の番狂わせを起こしたい。

文：村上 晃一