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ラグビー コラム 2024年6月20日

「超速ラグビー」がベールを脱ぐ。キャプテンはリーチ。期待の新星・矢崎由高、代表デビュー。ラグビーの母国イングランドに挑むエディー・ジャパン

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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「ラグビーに革命を起こす」。エディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチの言葉が選手、ファンを奮い立たせる。6月22日(土)、「リポビタンDチャレンジカップ」日本代表対イングランド代表戦は国立競技場で午後2時50分にキックオフされる。2023年のラグビーワールドカップ(RWC)フランス大会では2大会連続の決勝トーナメント進出を逃したが、再び世界を驚かせるため、ジョーンズHCは「超速ラグビー」を掲げた。

あらかじめ選手たちをフィールドに幅広く配置して、各ユニットにボールを動かしていく、ポッドラグビーから個々の判断で次々にスペースに走り込むスピーディーなスタイルへ。すべてを「超速」で行うためには、何度も加速できるスピードとスタミナ、瞬時の判断力が要求される。リーグワンのトップ4チームも加えた本格始動は6月6日。約2週間の準備は短く、戦い方の理解は進んでも精度高くプレーするのは難しいだろう。しかも、相手は世界ランキング5位のイングランド代表である。世界有数のフィジカルの強みを持ち、スクラム、ラインアウトなどのセットプレーも強い相手に、スタートしたばかりの「超速ラグビー」がどこまで通じるのか興味深い戦いになる。

 

6月20日午後、日本代表の試合登録メンバーが発表された。FWはテストマッチデビューとなるPR茂原隆由、HO原田衛、FLティエナン・コストリーを含み、LOワーナー・ディアンズ、FLリーチ マイケルのRWC経験組が引っ張る。BKの先発でテストマッチデビューは早大2年のFB矢崎由高。メンバー唯一の大学生だが、そのポテンシャルの高さは早くから注目されており、U20日本代表から飛び級の代表デビューとなる。持ち前のスピードでイングランドを驚かせてほしい。

注目のHB団はSH齋藤直人とSO李承信。両CTBは長田智希ディラン・ライリー埼玉ワイルドナイツコンビだ。WTBは根塚洸雅とリーグワン王者ブレイブルーパス東京のトライゲッター、ジョネ・ナイカブラが入る。俊足揃いで、スピーディーにボールを動かせる選手たちが並んだ印象だ。リザーブのHB団はSH藤原忍、SO松田力也

注目のキャプテンは、リーチ マイケルが務めることになった。「再びこのチームのキャプテンを務める機会を与えていただき本当に光栄です。私の勝利に対する情熱は非常に高く、日本のラグビーのポテンシャルを最大限に発揮できるよう、エディーヘッドコーチや選手たちと一生懸命働きます。私はこの責任を軽く考えていませんし、私自身も日々改善する必要があると認識しています。日本ラグビーの次なる旅への変わらぬご支援を心よりお待ちしております」

 

イングランド代表は、7月にニュージーランドで同国代表オールブラックスと2試合を予定しており、日本遠征でチームを結束させようとしている。来日メンバー36名はRWC2023のメンバーが15人。前キャプテンのSOオーウェン・ファレル、ジョージ・フォード、PRエリス・ゲンジは休養や怪我で参加していない。しかし、90キャップを持つキャプテンのHOジェイミー・ジョージほか、112キャップを誇るPRダン・コール、抜群の運動能力を誇るLOマロ・イトジェ、62キャップのCTBヘンリー・スレードなどイングランド代表を引っ張ってきた主力選手が揃う。

スティーヴ・ボーズウィックHCは、18日午後に日本代表戦のメンバーを発表。そこには前述の選手に加え、突破力抜群のNO8ベン・アール、今年のシックスネーションでデビューしたニュージーランド育ちのFLチャンドラー・カニンガムサウス、変幻自在のステップワークでタックラーを翻弄するSOマーカス・スミス、縦に防御を切り裂くCTBオリー・ローレンスらが名を連ねた。カニンガムサウスは、196cm、120kgのサイズを誇り、21歳と若い。両WTBもトミー・フリーマン(23歳)、イマニュエル・フェイワボソ(21歳)という将来を嘱望される選手だ。フリーマンはエディー・ジョーンズHC時代に代表入り。フェイワボソは爆発的な加速でディフェンスを突破する危険なランナーだ。

ボーズウィックHCは、元日本代表のアシスタントコーチだったこともあり、日本代表を警戒する。「プレーの精度、規律を保ち、キックオフの笛が鳴った瞬間から最後まで、パフォーマンスの強度を維持する必要がある」。今回の国代表同士の正式なテストマッチとして行われる。日本で両国のテストマッチが行われるのは史上初めてのこと。1971年、1979年の来日時の対戦では日本協会は選手にキャップを与えたが、イングランドはキャップを与えていない。主力選手が抜けていたこともあるが、日本ラグビーを格下とみていた時代だったこともある。日本での正式なテストマッチは歴史的にも意義深い。日本代表は過去イングランドに一度も勝ったことがなく、歴史を変える挑戦でもある。

ジョーンズHCは言う。「イングランド代表のプレースタイルはシンプルで、セットプレーで試合をコントロールします。前に出るディフェンスもキッキングゲームも強い。イングランドのサイクルを壊し、自分たちがゲームのテンポをコントロールすることが大事です。イングランドが非常にやりづらいという瞬間を作りたい」。タックルの届かないスペースにボールを動かし続け、捕まえるのが難しいと思わせられるかどうか。イングランドの選手たちを焦らせることができれば勝機は見えてくる。日本ラグビーの未来を託された選手たちが全力で戦うのは間違いない。ラグビーの母国から史上初の勝利を挙げ、2027年のRWCに向かって好スタートを切る瞬間を多くのファンと選手が共有する。そんなシーンを見てみたい。

文:村上 晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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