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ラグビー コラム 2024年6月18日

超速ラグビーでイングランド代表を倒す! 生ける伝説・リーチ マイケルの熱い魂

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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日本のラグビー界で、世界のスター選手と肩を並べられる選手といえば、リーチ マイケルである。ラグビーワールドカップ(RWC)には2011年から出場。2015年大会での南アフリカ戦勝利、2019年大会での史上初のベスト8、日本代表の歴史的快挙の中心にはいつもリーチ マイケルがいた。流暢な日本語とユーモアのセンスで誰からも愛され慕われる。リーグワン2023-2024では東芝ブレイブルーパス東京のキャプテンとして自身初の日本一に輝き、当然のごとく新生エディー・ジャパンにも選出された。5度目のRWC出場を目指すレジェンドに現在の心境を聞いた。

――宮崎合宿の日本代表メンバーに選ばれたときの気持ちから聞かせてください。
「嬉しかったですね。リーグワンのパフォーマンスも一貫性があって良かったと思っていましたから。ベテランだから呼んだというわけではなくて、パフォーマンスから良かったから呼んでいるのだと、エディーさんからも話がありました」

――日本代表ではどんなプレーを求められているのですか。
アーディー・サヴェアみたいに、もっとボールを持って前に出てほしいと言われました。チームに勢いを与えてほしいということですが、リーグワンのシーズン中から言われていました」

――リーグワンは初優勝でした。タフなシーズンで疲れはありませんか。
「日本代表合宿があるのはわかっていたので、決勝戦後も休まずトレーニングしていました。ずっとオンのままで、オフシーズンを楽しんではいません。まあ、飲み会はしっかりやりましたけどね(笑)。あとは挨拶まわりが多かったです。社長、市役所、各スポンサーと、お世話になったみなさんのところを回りました。すると、全員がイングランド戦のチケットを買って見に来てくださるそうです。ラグビー熱が年々高くなるのを感じています。リーグワン決勝戦の前も、応援に行くと言ってくれる人が多くて、以前にはなかったことです」

――リーグワンのシーズンを通して、どんなところが成長できましたか。
「キャプテンとして成長できたと思います。自信を取り戻しました。トップリーグ(現リーグワン)でも2013年に初めてキャプテンになったシーズンは勝てなかったので」

――宮崎の合宿でフォーカスしたいことはありますか。
「自分にフォーカスします。そして、イングランド代表に勝つための準備をします」

――今回は、エディーさんからロック(LO)に挑戦するように言われているようですね。
「LOは大学1年生の時以来です。最初の練習のときは、LOができる可能性は0%だと思いましたが、少し可能性が見えてきました。頑張ります」

――「超速ラグビー」という言葉を聞いたときはどう思いましたか。
「誰が監督になっても日本代表はスピードで勝負しなければいけないです。それをさらに変えていくということだから、すごく楽しみです。ボールの動かし方は、決まったポッドのシステムで動くというよりもナチュラルにアタックしています。相手スペースにどんどん走り込むイメージですね」

――ブレイブルーパスとも違うのですね。
「違います。多くのリーグワンのチームは、9番のパスでドーン、10番のパスでドーンと突進して、その裏があってという形ですが、今回の日本代表のスタイルは判断力を求めます。すごく楽しいです。エディーさんはレボリューション(革命)と言っています。南アフリカ代表がパワーラグビーでRWCを2回制しました。次はスピードラグビーだということです」

――これからの世界のラグビーがそうなるくらい、日本代表が素晴らしいラグビーを見せるということですね。
「そういうことです。すごく楽しみです」

――日本代表のコーチングスタッフに元南アフリカ代表LOヴィクター・マットフィールドさん、元ニュージーランド代表のPRオーウェン・フランクスさんが加わりました。彼らに期待することはどんなことですか。
「マットフィールドは、ラインアウトのスキルがすごく細かいです。イメージでは南アフリカは大きいからボールが取れると思っていましたが賢く考えています。サインが100くらいあって覚えるのが大変ですけど、システムを覚えればやれるし、超速ラグビーにつながると思います」

――ブレイブルーパスだとサインは何個くらいあるのですか。
「1試合に覚える数が10くらい。それくらいあれば余裕で獲得できます。今回の日本代表だと1試合に30くらい覚えることになるのかな。バリエーションがすごく多くて、立ち方、姿勢、飛び方など細かくて面白いです。フランクスはフロントローによくアドバイスしてくれるし、何より一緒にスクラムを組んでくれます。経験を体で教えられるのがすごく良いと思います」

――今回選ばれた選手で個人的に注目している選手はいますか。
「同じチームの原田衛、高校が同じ北海道の小山大輝根塚洸雅も入ってきてくれて嬉しいです。それと、ティエナン・コストリーですね。リーダーシップもあるし、とても楽しみです。日本語も上手い、スペイン語、フランス語を話せる。すごく賢い選手です。なぜ来日したのか、なぜ環太平洋大学だったのか、彼のストーリーをいろいろ聞きたいと思っています」

――チーム最年長選手としてどんな役割を果たしたいですか。
「年齢とは関係なく、いつも通り振る舞います。特別なことはしないし、壁も作りません。年上の選手だけ集まって話すこともありません」

――ワーナー・ディアンズ選手がリーチさんのように5回のRWCに出場したいと言っていましたよ。
「彼は年齢的に可能です。僕は次のRWCに出たら5回目です。その頃は38歳だから、難しいかもしれないです」

――行けるでしょう。
「リザーブのLOだったら(笑)」

――6月22日のイングランド代表戦に出たいという気持ちは強いですか。
「すごく出たいです。エディーさんの日本代表に対する熱がすごくて、しゃべるたびにチームのムードが上がってワクワクしてきます」

――それは最初に日本代表ヘッドコーチに就任した頃(2012年)とも違うのですね。
「さらに熱くなっていますよ。もっと勝ちたいという意欲があります。勝ちたいだけではなく、日本のラグビーを変えたいと思っている。ついていきたいし、最後まで一緒にやりたい。すごいヘッドコーチだと改めて思っています」

――前回は怖いイメージがありましたよね。それも変わりましたか。
「いえ、変わらず怖いです。いつやられるか、待っています(笑)」

――ウォームアップマッチがなく、イングランド代表と戦うのは難しいのでは。
「言い訳はしません。イングランド代表にまだ勝ったことがない、初戦だから、まだチームが完璧じゃない、言えばいろいろあるけど、大事なことはタックル、ボールキャリー、スピード、そこさえ日本らしさが出せれば十分にプレッシャーを与えられると思います。『イングランド代表に対して最高の準備をして臨む』とエディーさんも言っています。チームとして勝ちたい意欲もあふれてきています。超速ラグビーでイングランドを倒します」

――2023年のRWCでイングランド代表と戦い、惜しくも敗れています。手ごたえはありましたか。
「彼らの焦った目を見ました。同じようにプレッシャーをかけていければ勝つチャンスはあると思います」

リーチ マイケルはいつだって自然体だ。このインタビューも包み隠さず、今の気持ちを話してくれた。エディー・ジョーンズヘッドコーチの言葉にワクワクするのは、リーチもまた日本ラグビーを盛り上げ、日本代表の注目度をさらに上げたいと思っているからである。超速ラグビーでラグビー発祥の母国イングランドを倒す。そうすれば、再び世界が日本代表に注目し、日本のファンも今まで以上にサポートしてくれるだろう。そのために全力を出し切る覚悟だ。

文:村上 晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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