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【ハイライト動画あり】秋の再戦が待ち遠しくなる大熱戦。2点差決着の「慶應義塾大学×筑波大学」。第13回関東大学春季交流大会Bグループ
ラグビーレポート by 多羅 正崇慶應義塾大学 vs. 筑波大学
春季大会Bグループの首位を争う大一番は、2点差決着の熱戦になった。
筑波大は開始2分だ。
相手反則(ハイタックル)で得た敵陣ラインアウトからCTB大内田陽冬が突進。さらに2連続のペナルティが起きたところでルーキーSH井上達木(佐賀工業)が速攻。同じく18歳の同期NO8浜浦幸太郎にパスを送ると、巧みな体捌きでトライラインを越えた。
この日筑波大の先発は二十歳以下の選手が11人。若手主体の編制で、2人のルーキーが先制トライに絡んだ。
筑波大の勢いはトライ直後も持続する。
再開後にボールを保持すると、自陣22m内からワイド攻撃。LO白丸智乃祐が数的優位を作ると、パスからキック「50:22」。あっという間に敵陣22m内へ入った。
ここで筑波大は、今度はモールで勝負。パイルアップとなったがインゴールまで雪崩れ込み、モールでも早々に手応えを掴んだ。
一方の慶大は前半7分にこの日初めて敵陣22mに入るものの、ラインアウトで2連続ミス。2度目のミス(オーバー・ボール)を拾ったSH井上達木が、落ち着き払ったステップからチーム2連続トライを奪取。
開始10分で2トライ(14得点)の筑波大。かたや慶大は防戦一方という対照的な立ち上がりとなった。
が、ここから慶大が反撃に転じる。
その一翼を担ったのが、こちらも1年生、慶大のルーキーFB小野澤謙真だ。
前半10分過ぎ。失トライ後キックオフからの相手キックがノータッチに。カウンターからFB小野澤が振り幅のあるステップで突破。敵陣深くに入った。
勢いが出てきた慶大は前半13分、WTB伊吹央が中盤の混戦から突破。豊富なフォロワーでパスを繋ぎ、最後はHO中山大暉主将が仕留めて反撃の1トライ目を奪った。
さらに前半の慶大はここから3連続トライを奪う。
ラグビー 関東大学春季交流大会2024 Bグループ
【ハイライト動画】慶應義塾大学 vs. 筑波大学
まずチーム文化のディフェンスで反撃の足場を築いた。先発を勝ち取った18歳FL中野誠章の的確なタックル。WTB渡邉匠のジャッカル。筑波大は堅守に阻まれ、序盤同様のモメンタムが生まれてこない。
そして前半18分頃にようやくファーストがあったスクラム。ペナルティはなかったが、慶大が強烈ヒットで体勢を崩し、優勢になった。
反転攻勢に出る慶大は、CTB今野椋平がファーストレシーバーとなりWTB渡邉匠の突破を演出。攻守が機能して前半23分に2連続トライを奪った。
さらに慶大はLO中矢健太が前半28分にジャッカル。ここからモールを組むと約30mの電車道。HO中山主将が前半31分にチーム3本目。
前半33分には慶大がスクラムでついに初ペナルティ。筑波大は挽回を狙ったブレイクダウンワークが反則になる悪循環。慶大がさらにモールで4本目。
序盤の劣勢をディフェンス、スクラム、モールを中心に跳ね返して4連続トライを返した慶大が、12点リード(26-14)で前半を終えた。
後半の開始20分間も慶大が主導権を握った。
大きな理由はスクラムの優勢。PR成田薫、HO中山主将、PR吉村隆志をフロントローとする慶大スクラムが再三ペナルティを奪い、エリアを前進した。
ラインアウトは安定性を欠く一方で、後半7分はスクラムからの展開でWTB依吹が左大外で後半1本目。後半17分にはスクラムPKの敵陣侵入から、NO8冨永万作が片手トライを決めた。
さらに1トライずつを取り合い、慶大のリードは後半25分時点で22点(43-21)だった。試合時間は残り約15分。慶大の開幕4連勝が見えてきた状況だったが――。
ウォーターブレイク後、筑波大の強力バックスが躍動した。
これで15点差。まだ2トライ2ゴールでも届かない。
若手中心の筑波大は明らかにモメンタムが出て、雰囲気が変わった。慶大は手堅くプレーを切りながら、敵陣でスローペースにしたい状況だったが、反則を犯してしまい速攻を許す。
ここから下級生から主力の途中出場、副将の堀日向太がエリア中盤から突破。フォローのFB増山が伸びやかに加速してチーム5本目。後半32分にゴール成功。
これで8点差。
その後慶大は敵陣22m内でボールを保持。勝利を狙うなら、敵陣に居座るために近場のFW戦という選択肢もあった。が、ここでバックス展開した慶大。狙っていた筑波大にターンオーバーを許し、笛の直後にふたたび速攻を許す。
ここでフィニッシャーWTB大畑亮太が自陣からロングゲイン。パスダミーやショートステップを駆使したランをみせ、最後は高橋佑太朗にパスを送ってトライ(ゴール)。
ついに1点差(42-43)となった。
さらに筑波大は敵陣スクラムで会心のペナルティ。湯浅大心、前川陽来、岩重晴大がフロントローのFW陣が雄叫びをあげた。
後半39分。ここで筑波大はショットを選択したが、ここでコンバージョン6本全成功だった楢本幹志朗のキックがHポールを反れてしまう。
だが筑波大の敵陣22mチャンスは続いた。慶大もモールやラインDFでも粘り強く戦った。しかし終盤2度目のハイタックルで、万事休す。
ここでSO楢本が逆転PGを沈め、直後にノーサイドの笛。
終盤の3連続トライとPGで筑波大が45-43でフィニッシュ。22点差をひっくり返してみせ、慶大に今大会初めて黒星をつけた。
最終戦で劇的勝利した筑波大は、4勝1敗で暫定1位(勝点18)に躍り出た。勝点15の2位慶大はもう1試合を残しており、6月23日(日)の大東文化大学戦に勝てば逆転優勝が決まる状況となった。
両軍が持ち味を発揮した。慶大はスクラム、モール、決定力あるバックスリーらが魅せた。筑波大も実力者の上級生と才気溢れる若手が噛み合い、迫力あるバックスが躍動。終盤はスクラムペナルティもあった。
これから夏を越え、両軍がさらにどんな成長を遂げるのか。秋(関東大学対抗戦A)の再戦が待ち遠しくなる大熱戦となった。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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