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【ハイライト動画あり】強力スクラム炸裂!フロントローも躍動の東京サントリーサンゴリアスが横浜キヤノンイーグルスに雪辱。NTTジャパンラグビーリーグワン2023-24プレーオフ3位決定戦
ラグビーレポート by 多羅 正崇堀越康介(東京サンゴリアス)
要所で力を発揮したのは、東京サントリーサンゴリアスのフロントロー(FW第1列)、そしてスクラムだった。
「今日はスクラム・トライが2本。今週は『スクラムでペナルティを獲る』『モールで獲る』と言ってきたので、それが結果に繋がったので良かった。めちゃくちゃ嬉しかったです」(サンゴリアスHO堀越康介主将)
5月25日(土)に東京・秩父宮で行われた3位決定戦「横浜キヤノンイーグルス×東京サントリーサンゴリアス」。
昨季の3位決定戦、そして今季レギュラーシーズンと同カード2連敗中のサンゴリアスは、この一戦にプライドを懸けていた。
「今年は『3位を獲りにいく』『勝つんだ』というところが去年と違う部分でした」(サンゴリアス田中澄憲監督)
しかし後半序盤まで主導権を握り、最大19点のリードを奪ったのはイーグルスだった。
松井千士(横浜キヤノンイーグルス)
まずは開始4分で元サンゴリアスのWTB松井千士が右隅でフィニッシュ。高速&複層的なワイド展開で右隅を陥れた。
共に高速で攻めまくるアタッキングチーム。サンゴリアスもエリア中盤から攻め続け、前半13分にはFB松島幸太朗がピックからの2連続キャリーでトライ。同点(7-7)に追いついた。
しかしサンゴリアスは「キックの精度が出なかった上にペナルティで自陣に入られ」(サンゴリアス田中監督)、2連続トライを許して12点ビハインド(19-7)を背負う。
さらに前半29分。快足で魅せたのは2023年W杯日本代表、イーグルスFB小倉順平だ。
自陣スクラムから、ショートサイドで桐蔭学園(神奈川)後輩の相手SH齋藤直人を弾いて突破。続いて高校同期・松島との1対1をフェイント&加速で振り切り、“同期フルバック対決”を制して左隅へ。
FB小倉はこの一連のプレーで負傷交替となったが、大歓声を呼ぶ独走トライを決め、イーグルスは26-7とリードを広げた。
が、ここからサンゴリアスのフロントロー、フォワード陣の奮闘が光る。
垣永真之介(東京サンゴリアス)
まずはサンゴリアスが敵陣22mで力強いFW戦。先発PR垣永真之介がキャリーで抜け出し、反撃のチーム2本目。2023年W杯日本代表で出場がなかった2人(イーグルスFB小倉、サンゴリアスPR垣永)がそれぞれ存在感を示した。
ジャパンラグビー リーグワン2023-24 D1 プレーオフトーナメント
【3位決定戦ハイライト動画】横浜キヤノンイーグルス vs. 東京サンゴリアス
イーグルス12点リード(14-26)で迎えた後半、最初のトライはイーグルス。
これで19点リード(33-14)。
昨季に続いてイーグルスが3位決定戦を制するのか――。そんなムードを、サンゴリアスの機動力溢れるフロントローが掻き消す。
後半4分。
前半の垣永に続いて両プロップがフィールドプレーで2連続トライ。ビハインドを12点(21-33)に縮めると、さらに強力スクラムで流れを変える。
WTB尾崎晟也のロングキックでキャリーバックを引き出したサンゴリアスは後半11分。
敵陣ゴール前スクラムで1番側から押し込んで、そのままタマティ・イオアネがグラウンディングするスクラム・トライ。5点差(28-33)に迫った。
さらに5点を追う終盤34分。
チームの反則繰り返しでイーグルスFLミッチェル・ブラウンがシンビン。サンゴリアスは優勢のスクラムを選ぶと、今度は3番側から押し込み、2連続のST(スクラム・トライ)を決めた。
が、勝ち越しをかけたコンバージョンが外れ、スコアは同点(33-33)。
どちらが勝ち越し、3位の座を手にするのか――。リスタートのキックオフは76分42秒。ここでサンゴリアスは背番号17山本敦輝が途中出場からリーグデビューを飾った。
イーグルスはシンビンで一人少ない状況。しかし「スローラックを作るのはイーグルスのラグビーではない」(イーグルス沢木敬介監督)と、敵陣22mで積極的に展開攻撃。
しかしアクシデント。
順目にライン参加した普久原琉が、ボールを受ける直前にスリップ。「急に(視界から)消えました」(イーグルスSO田村)。こぼれ球を拾ったのは、32歳の江見翔太だった。
「江見のトライは奇跡」とサンゴリアスの田中監督は一度冗談めかしたが、「今季やってきたことを出し切ろうという思い、スピリッツが、ああいうプレー、逆転の結果に繋がったと思う」と選手のハードワークを讃えた。
WTB江見が約60mの独走トライを決め、WTBチェスリン・コルビのコンバージョンは成功。そしてノーサイド。
サンゴリアスが40-33で昨季3位決定戦のリベンジを達成した。
敗れたものの最終盤まで勝敗の分からない好ゲームを展開したイーグルス。沢木監督は「負けたのは自分の責任ですし、チームを勝たせられなかったのも監督の責任」と語った。
そして14人になっても最後まで攻めの姿勢を変えなかった選手を讃えた。
「選手たちが、同点ではなく、トライを取りにいったことが大事。もちろん負けたのは悔しいですが、最後まで(SO田村)優を先頭に勝ちを狙いにいった結果。最後までスタイルを信じて戦い抜いてくれたことは感謝しています」
また勝ち越しトライの端緒となった、日本大学の後輩でもある普久原のスリップについては「プロとして良い勉強になったはず。人間なのでミスはある。でも成長をしてくれないと」と来季の成長に期待を込めた。
一方で、リベンジ達成での3位を決めたサンゴリアスのHO堀越主将。
「久々の勝利なので本当に良かったです。敵陣22mでの決定力など、今日の試合も課題はたくさんあると思いますが、未来に繋がるゲームになったかなと。勝ち切れたことはすごく良かったです」
指揮官も「苦しいながらも僅差で3位という結果。そういう意味では持てる力を出し切りました」と話し、チームとして成長したと意義を実感していた。
「堀越も言いましたが、未来に続くゲームが出来ました。良い部分を築きながら、課題をどう来季で克服していくかを考えたいと思います」(サンゴリアス田中監督)。因縁のライバル対決は2024-25シーズンへと続いてゆく。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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