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山崎洋之(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)
レギュラーシーズン最終戦。昨季の王者がようやく本領を発揮した。5月4日(土)、秩父宮ラグビー場(東京都港区)には、13,829人の観衆が集った。試合はクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(S東京ベイ)SOバーナード・フォーリーのキックオフで始まる。先手を取ったのは、プレーオフに向けて勢いをつけたい東京サントリーサンゴリアス(東京SG)だった。
尾崎泰雅(東京サンゴリアス)
前半10分、CTB中村亮土からのロングパスを受けた右タッチライン際に走り込んだWTB尾崎晟也がトライ。高本幹也のゴールは決まらず、5-0。続く14分、今度は弟のCTB尾崎泰雅が個人技で抜け出してトライ。高本のゴールが決まって、12-0とする。16分にS東京ベイFL末永健雄にトライを返されたが、23分、再び尾崎泰雅がディフェンスを抜け出してトライ。高本がゴール決めて、19-7とした。
しかし、S東京ベイも一歩も引かない。30分、東京SGゴール前のラインアウトからモールを押し、最後はラックサイドを突いてPR為房慶次朗がインゴールへ。為房は5試合で3トライ目の活躍ぶりだ。フォーリーがゴールを決めて、19-14。このあたりから流れはS東京ベイに傾いていた。
後半も東京SGが先にトライをとって26-14とリードを広げたが、ここからS東京ベイが怒涛の攻勢に出る。8分、S東京ベイは自陣で相手のミスボールを拾って攻め、最後はWTB山崎洋之が東京SGのFBニコラス・サンチェスを抜き去ってトライ。26-19と差を詰める。直後、S東京ベイはFW前5人のうち、4名を交代させ、PRオペティ・ヘル、LOのJD・シカリングらインパクトプレーヤーを投入。FWの縦突進を軸に一気呵成に攻め始める。
立川理道(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)
後半12分、S東京ベイは相手陣10mライン付近右のラインアウトから攻めて、まずはCTB立川理道キャプテンが縦突進。連続してボールをつなぎ、ヘルがゴールラインまであと5mに迫る。その後、シカリング、LOルアン・ボタがタックルされながらパスをつないで、最後はフォーリー、NO8ファウルア・マキシ、FB島田悠平、山崎とボールが渡ってトライ。フォーリーのゴールも決まって、26-26と同点に追いつき観客席を大いに沸かせた。
ジャパンラグビー リーグワン2023-24 D1
【第16節ハイライト動画】東京サンゴリアス vs. クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
流れをつかんだS東京ベイは、27分にCTBテアウパ・シオネ、38分、交代出場のHOスカルク・エラスマスがトライを追加して26-38と12点差とし、終了間際には山崎が自らのキックを追いかけてインゴールに走り込むも押さえられなかったのだが、東京SGのWTB江見翔太にボールを触る直前にノーボールタックルがあったとして、ペナルティートライの判定。さらに7点を追加して26-45と差をつけて勝利した。マン・オブ・ザ・マッチは、素晴らしいランニングを披露して2トライを挙げた山崎洋之。
S東京ベイのフラン・ルディケ ヘッドコーチは選手たちを称えた。「自分たちがやりたかった、ストロングフィニッシュという形でシーズンを終えることができた。後半はベンチスタートのインパクトプレーヤーたちもしっかりと仕事をしてくれました」。立川理道キャプテンは、不本意なシーズンをこんな言葉で締めた。「今季がこれで終わってしまうのは寂しいと思えるような手ごたえでした。こういったプレーをシーズン最初からできるようなチームになっていければと思います」
東京SGは横浜キヤノンイーグルスが敗れたために3位が確定。田中澄憲監督は後半受けに回った試合内容は残念としながらも前向きだった。「後半の30分間、S東京ベイさんが強いフィジカルで、われわれの前に立ちはだかったことが敗因の一つだと思います。ただ、今日でシーズンが終わるわけではなく、幸いにしてプレーオフトーナメントがあります。ファンの皆さまに喜んでもらえるような結果を出せるよう、一日一日成長させていくしかないと思っています」。S東京ベイはこれでシーズンを終了。東京SGは、プレーオフ準決勝(5月19日)で東芝ブレイブルーパス東京と戦う。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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