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三菱重工相模原ダイナボアーズvs.リコーブラックラムズ東京
入替戦回避を決める争いはお互いが意地を見せた。「NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24」のディビジョン1、リーグ戦も残り2試合となった。
すでにプレーオフに進出するベスト4のチームは、埼玉パナソニックワイルドナイツ、東芝ブレイブルーパス東京、東京サントリーサンゴリアス、横浜キヤノンイーグルスに決まった。
4月27日(土)は第15節の6試合が行われ、神奈川県・相模原ギオンスタジアムでは、9位につけるホストの三菱重工相模原ダイナボアーズが、10位のリコーブラックラムズ東京を迎えた。
今季すでに5勝を挙げている昇格2年目のダイナボアーズ。ただ、4月に入ってからは勝ち星に恵まれず、5勝9敗の勝ち点22で9位につけている。
一方、今季は接戦も多いものの、なかなか勝ちきれないブラックラムズ。前節も花園近鉄ライナーズに、34-23と接戦の末に敗れて5連敗。2勝12敗の勝ち点13の10位で入替戦圏内に入っている。
残り2試合で、両チームの勝ち点差は9。ただし、勝利数でダイナボーズが勝っているため、ダイナボアーズは同じ勝ち点でも上位になる。ブラックラムズは3トライ差以上で勝ち点5を得て、さらに8点差以上で勝利して相手を勝ち点0に抑えれば、最終節に望みを残すことができる状況だった。
両チームのスターティングメンバー
昨季は1勝1敗、今季は第2節で対戦し、25-17でダイナボアーズがアウェイでブラックラムズを下している。9位と10位の直接対決は5159人のファンが集い、ダイナボアーズのホスト、相模原ギオンスタジアムで午後0:00にキックオフされた。
序盤から主導権を握ったのは、入替戦回避のために勝ち点5が必須だった黒羊軍団だった。キックオフ直後、10番を背負ったSO(スタンドオフ)中楠一期(慶應義塾大学出身)がグラバーキックでチャンスメイクし、2分に右オープンサイドへキックパス。ワンバウンドでWTB(ウィング)西川大輔がキャッチし、そのまま抑えて5点を先制する。
さらにブラックラムズが畳みかける。13分にはモールを起点に攻め込み、最後はCTB(センター)ロトアヘア アマナキ大洋が切れ込み、右中間にトライ。21分にはモールを押し込み、キャプテンHO武井日向が押さえて、19-0と大きくリードする。
27分、ダイナボーズもようやく反撃。モールを押し込み、FL(フランカー)吉田杏が押さえて、SO相模原ジェームス・グレイソンがゴールを決めて、7-19とする。
しかし、集中力の高かった黒衣軍団は、SO中楠の好タッチキックからチャンスを迎え、34分には再びモールを押し込み、日本代表FLアマト・ファカタヴァが押さえ、24-7と大きくリードして前半を終えた。
後半、ともにスコアボードに得点を刻めない状況が続く。後半9分、ブラックラムズのトライはTMOの末、スローフォワードとなり、追加点を挙げられなかった。
ゲームが動いたのは17分だった。ダイナボアーズがアタックしていたが、ラックからボールがこぼれてブラックラムズがターンオーバー。WTB栗原由太からCTBロトアヘアとつなぎ、40mほど走りきって右端にトライ。SO中楠がゴールを決め、31-7とさらにリードを広げた。
しかし、ホストのファンの前でダイナボアーズが攻めの姿勢を貫く。21分、WTBベン・ポルトリッジがラインブレイクし、チャンスメイク。ボールを継続して最後は39歳のHO(フッカー)安江祥光がねじ込んで左中間にトライ。28分にはモールを起点にLO(ロック)ウォルト・スティーンカンプがトライを挙げ、21-31と10点差に迫った。
さらにダイナボアーズは39分、ボールを動かして相手の反則を誘い、中央からSOグレイソンがPG(ペナルティゴール)を沈めて、24-31とついに、負けても勝ち点1を得ることができる7点差に迫った。
ロスタイム、トライ差が5本と3本で2本差だったため、ブラックラムズは1トライを取ることができれば、勝ち点5を得られるため、自陣から攻め込んだが、最後はFB(フルバック)アイザック・ルーカスのチップキックが相手に入り、そのまま24-31でノーサイドを迎えた。
ジャパンラグビー リーグワン2023-24
【ハイライト動画】第15節 三菱重工相模原ダイナボアーズ vs. ブラックラムズ東京|入替戦回避をかけた両チームの激突
ブラックラムズは今季3勝目を挙げたものの、勝ち点は4にとどまり、ダイナボーズが7点差以内の敗戦で勝ち点1を獲得したため、ダイナボアーズがディビジョン1に残留の9位、ブラックラムズが入替戦に回る10位が決まった。POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)にはブラックラムズのFBルーカスが選出された。
勝利したものの10位となり、入替戦が決まったブラックラムズのピーター・ヒューワットHCは「勝ったことはうれしい。特に前半のパフォーマンスは、具体的なゲームプランを遂行してくれたことはすごく誇りに思う」。
「後半はそこから離れてしまうようなところも出てきてしまった。勝ち点5が取れればベストだったが、この試合だけではなくて、その前の14節までやってきたことの結果だと思う」。
「毎週、とにかくレベルアップし続けていくことが、自分たちのプライオリティ。主将のHO武井と副将のFL松橋周平は、しっかりとチームをリードしてくれた」とリーダー陣を称えつつ前を向いた。
キャプテンHO武井は「勝ったことはチームとして成長できたところだと思う。前半のは、しっかり自分たちのやるべきことを遂行できた。全員それぞれの役割をわかって、それを遂行できた結果だと思う」。
「しかし、後半はそこから逸れてしまった。シンプルなことをやり続けるのが大事だと思うが、次のレベルに行く必要がある。ただ、やることが明確になって、やってきたことは間違ってないと言うことが証明できた試合になった」と話した。
敗れたものの、後半は持ち直してディビジョン1の残留を決めたダイナボアーズのグレン・ディレーニーHCは「前半は自分たちがいろいろミスをして、そこから勢いを取り戻すことができなかった」。
「でも、後半はそれを変えて、自分たちで努力して7点差以内に戻ることができた。昨季より上の順位で入れ替え戦も回避できたが、(負けてしまったので)ちょっと複雑な気持ちではある」と悔しそうに語った。
キャプテンのSH(スクラムハーフ)岩村昴太は、「前半は非常に情けない試合をしてしまって残念。1年前までだったら、僕らはディビジョン2から昇格したてで、ハングリー精神を持って常に上の相手と戦った。ただ、今日の試合に関しては、そのハングリーさが全く見えなかった。それは非常に情けなくリードできなかった自分にもすごく悔しい」。
「ただ、後半喝を入れられたわけではないが、マインドセットを変えて、我々のスタンダードが徐々に出てきたのは良かった。ただ、それをやっぱり前半から出さなければいけない」と反省を口にした。
3勝12敗の勝ち点17で10位が確定し、ディビジョン2の3位チームと入替戦を戦うことになったブラックラムズ。その前に、リーグ戦の最終戦となる次節は、5月5日(日)に東京都・秩父宮ラグビー場で、開幕戦で8-15と惜敗した7位のトヨタヴェルブリッツと対戦する。勝利して入替戦に勢いをもたらすことができるか。
5勝10敗の勝ち点23で9位が確定したダイナボアーズは、シーズン最終戦となる次節は5月5日(日)、大阪府・東大阪市花園ラグビー場で、最下位の花園近鉄ライナーズと戦う。勝利で今季を締めくくることができるか。
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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