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シオネ・ポルテレ(京都産業大学)
「京産大らしさ」全開で8トライを奪った関西王者の快勝だった。12月23日(土)、大阪市長居にあるヨドコウ桜スタジアムには、東西の上位チームの対決を観戦しようと、8,582人の観客が集った。第1試合では関西大学Aリーグ2位の天理大が関東大学リーグ戦王者の東海大を破り、関西のレベルアップを証明した。続く第2試合は関東大学対抗戦A3位の早大を関西王者・京産大が迎え撃った。
午後2時25分、京産大ボールのキックオフで試合は始まった。前半5分、FB辻野隼大(3年)のPGで京産大が先制する。しかし、10分、京産大が自陣22m内でボールを落とし、早大ボールの左中間のスクラムとなる。京産大がプレッシャーをかけるが、早大NO8松沼寛治(1年)が右にボールを持ち出し、ここでできたラックの左サイドにWTB矢崎由高(1年)が走り込んで逆転トライをあげる。CTB野中健吾(2年)がゴールを決めて、3-7。
辻野隼大(京都産業大学)
序盤は互いに緊張感もあってミスが多かったが、京産大はPRヴェア・タモエフォラウ(4年)を中心にスクラムで前に出て、早大の反則を誘うなど徐々に主導権を握った。前半14分に辻野がPGを追加すると、22分、NO8シオネ・ポルテレ(2年)がディフェンダーを4人弾き飛ばしながら約30mを突進してトライ。辻野がゴールを決めて13-7として勢いに乗った。「早稲田の伊藤選手とか高校時代から有名な選手に負けたくなかった。ぜったいに自分でトライしようと思って走りました」(ポルテレ)。
早大もLO村田陣悟(4年)がジャッカルでピンチを防ぐなど対抗したが、前半30分、京産大はFWの縦突進の連続でゴールラインに迫ると、最後はBKラインに展開して、WTB西浩斗(3年)が左コーナーに飛び込む。タッチライン際からのゴールを辻野が決めて、20-7。さらにPGを追加して、23-7として前半を折り返した。
後半の流れを決定づけたのは、京産大SH土永旭(3年)の好タッチキックだった。自陣に攻め込まれるピンチでボールを奪い返した京産大は、土永が早大陣へ長いキック。これが転がって早大陣の22m内でタッチラインを割る。自陣から相手陣22mライン内にボールをバウンドさせて出すと、50:22(フィフティー・トゥウェンティトゥー)のルールが適用されて、マイボールのラインアウトとなる。ガッツポーズの土永。このラインアウトから、京産大はモール、縦突進でゴールラインに迫り、最後はHO李淳弘(3年)がトライ。辻野がゴールを決めて、30-7とする。
ラグビー 全国大学選手権 23/24 準々決勝
【ハイライト動画】京都産業大学 vs. 早稲田大学
宮尾昌典(早稲田大学)
その後、早大は交代出場のSH宮尾昌典(3年)がPKからの速攻でトライするなど、3トライを奪ったが届かず。この日11本のプレースキックをすべて成功させた辻野のトライでダメを押された。最終スコアは65-28。辻野は1トライ、8ゴール、3PGを決め、一人で30得点の活躍だった。「アタックの早稲田、ディフェンスの京産で、3-0でも勝つイメージでした。キックは丁寧に蹴りました」(辻野)。
部史上に輝く早大からの大勝にも廣瀬佳司監督は謙虚だった。「タレントが揃っている早大に対し、京産大らしくひたむきに戦うことがポイントでした。選手は立派に戦ってくれました」。一方の早大・大田尾竜彦監督は「準備してきたものを出し切れなかった。京産大が非常に強かった」と完敗を認めた。
この結果、2024年1月2日に行われる準決勝(東京・国立競技場)のカードは、明大(関東対抗戦2位)対京産大(関西1位)、帝京大(関東対抗戦1位)対天理大(関西2位)となった。ベスト4に関西勢2校が進んだのは2016年度第53回大会の天理大、同志社大以来7大会ぶり8度目。京産大は10度目の準決勝だが、まだ決勝に進出したことない。三木皓正キャプテンは「キャプテンをしていて、しんどいと思った事は何度もあります。それでも続けて来られたのはたくさんの人の支えがあったからです。みんなを、一番の場所に連れていってあげたい」と話した。明大との試合は、1月2日、午後12時25分キックオフだ。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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