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ラグビー コラム 2023年12月15日

『超速のラグビー』を目指す『エディー・ジャパン』の第2章。ラグビー日本代表新ヘッドコーチ就任会見

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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ラグビー日本代表エディー・ジョーンズ新HC

12月13日(水)、日本ラグビー協会は理事会を開き、次期男子15人制日本代表HC(ヘッドコーチ)に、2023ワールドカップで、オーストラリア代表を率いていたエディー・ジョーンズ氏(63歳)が決定したことを発表した。

契約期間は、2024年1月1日から2027年ワールドカップ終了までだという。ジョーンズHCは、2012~15年まで日本代表を率いて、2015年ワールドカップでは南アフリカ代表撃破を含む、3勝を挙げた実績を持つ。今回で2度目の日本代表指揮官となり、再び「エディー・ジャパン」としてワールドカップに挑むことになった。

そして翌14日(木)夕方、都内でエディー・ジョーンズ新HC、日本ラグビー協会の土田雅人会長、岩渕健輔専務理事も参加して、会見が開かれた。

日本ラグビー協会の土田雅人会長

冒頭、土田会長は「80名にも及ぶ候補の中から、最終的な候補者を絞っていくことができました。ワールドカップ終了後の12月に実施した面接を経て、2015年大会で日本代表を新たな地平に引き上げたエディー氏をこの度、再びHCとして採用することに決定いたしました」。

「今後の日本代表の強化、発展に向けてベストな指導者はエディー・ショーンズであると考えております。昨日、引き受けていただきましたエディー氏に敬意を表して、感謝をしております」と挨拶した。

日本ラグビー協会の岩渕健輔専務理事

岩渕専務理事は「来年、既にいつかのハイパフォーマンスユニオン、トップ10やトップ15に入るようなチームと試合が組めています。今後、2027年のワールドカップに向かって、いかにいいプログラムを組んでいくか、それがラグビー協会にとっては大きな仕事になる。しっかりと進めながら、いいチームが作れるようなプログラムを作っていきたい」と話した。

そして、やや緊張した面持ちで、桜のエンブレムが入ったネクタイ姿で現れたジョーンズ次期HCはこう話した。「日本代表HCに就任することが発表され、大変光栄に思います。2015年に日本を離れ、日本のラグビーの発展を目の当たりにして、とてもエキサイティングなことだと思う」。

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「日本に戻ってきて、リーグワンの発展、日本の大学の健在ぶりを見ている。そして、日本社会にとって、ラグビーがいかに重要であるかということを、改めて実感している。2015年に私が日本代表の監督を務めたとき、私たちはワールドカップで、24年間勝ったことのないチームで、日本の国民に愛されるチームではなかった」。

「そして今、日本の国民に愛されるチームになった。日本代表が世界のトップ8、トップ4に入るために、私がその後押しの一翼を担っているというのは、エキサイティングな機会であり、光栄であり名誉なこと。この仕事に没頭し、日本代表に貢献することを楽しみにしている」。

エディー・ジョーンズ次期HC

どんなラグビーをしたいか、と聞かれてジョーンズ次期HCは「私の仕事は、日本の代表チームに、真のアイデンティティを持たせることで、非常にワクワクしている。アイデンティティが違いを作る。私たちは身体が小さいので、日本代表には相手よりも速く、足で速く、頭で速く、『超速のラグビー』をプレーする必要がある」。

「ラグビーはモメンタムのゲーム。そして、モメンタムは重さにスピードをかけたものに等しくなる。日本には小柄な選手が多いので、質量を大きく上げることはできないが、動くスピード、アクションのスピードは改善できる。相手より少しでも早くプレーできる選手を育てる必要があるし、それは実現可能」。

「私たちは相手より速くプレーすることに重点を置く必要があるし、私たちと対戦するチームは、私たちのスピードに怖じ気づくだろう。私がスピードについて語るとき、それは単に走るスピードのことではなく、私たちが考えるスピードのこと」。

「ラグビーは複雑な競技であり、15人の選手が参加する、スポーツとしては大人数の競技。だから、迅速に考えを合わせ、決断を下し、その決断を実行に移せるようにならなければならない。そして、それを相手よりも早くできるようにする必要がある」。

「だから、そういうラグビーを発展させ、日本のすべての選手がそういうラグビーができるように、日本代表としてプレーできるすべての選手が、そういうラグビーができるようにすることが、私たちの最初のチャレンジ」と説明した。

左から岩渕専務理事、ジョーンズ次期HC、土田会長

さらに、ジョーンズHCが会見で強調したのは大学年代の育成だった。「もう1つは、日本で才能ある選手を育てるために懸命に努力しなければならない。日本のラグビーを見てみると、大学が日本のラグビーのベースになっている。大学の若い選手たちを見て、どうすれば彼らをより早く成長させることができるか、どうすれば彼らをより早く世に送り出せるかを考える必要がある」。

「そして、どの選手も彼らが今持っているポテンシャルを最大限に発揮できるようにしたい。日本にいる才能を最大限に伸ばし、松島幸太朗のように日本の外にも探すべき才能はあるかもしれないが、最高の才能を見つけ、成長するための最高の環境を与える必要がある。そして、日本の人たちが誇りに思えるようなチームを作るために、私が知っている限り、あらゆることをするつもり」。

「私は長い間コーチを務めてきたが、若い才能を発掘し、育て、それを最大限に生かせるようなシステムを作る必要がある。アイルランドは競技人口の少ない国でありながら、人材発掘と育成に力を注いでいる素晴らしい例。日本では今、そのチャンスがある」。

「若い選手に注目し、第三者を通して彼らを育てなければならない、というのが今の日本の考え方。私たちは常に歴史的な関係を築いてきた。日本代表との関係です。それは常に分断されてきた。大学もあれば、企業チームもあれば、代表チームもある。全員が協力し合う必要がある」。

「だからこそ、プレー哲学を明確に定義する必要がある。全員が正確にそのようなプレーをする必要はないが、そのようなフィロソフィーでプレーできる選手を育てる必要がある。そして、全員がひとつのエコシステムで協力するようにしなければならない」と語気を強めた。

2027年ワールドカップオーストラリア大会の目標を聞かれて、ジョーンズ新HCは「ベスト8に入るのはもちろんだと思う。2019年はベスト8、2023年はベスト8に入れなかったので、それは明らかなターゲット。しかし、それよりももっと重要なことがある。自分たちのプレーで、安定した成果を上げられるチームを確立すること。それが、私にとっての大きな目標」と先を見据えた。

新HCの任期は来年1月1日から。ジョーンズ次期HCは高校、大学、リーグワンなど様々な試合を視察しつつ、コーチなどの人事をしながら、来年6月の代表期間に向けて準備を進めていくはずだ。

大学やリーグワンの強度、日本ラグビー協会がハイパフォーマンスユニオンになるなど、ジョーンズ氏が日本を離れた2015年から日本代表、日本ラグビーの置かれている状況がかなり変わった中で、「エディー・ジャパン」の第2章が始まる。

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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