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大学ラグビー秋のリーグ戦もいよいよ大詰め。11月26日に全日程を終了した関東大学リーグ戦に続いて、今週末には関東大学対抗戦も最終節を迎える。今節行われる4試合の中で優勝をかけた一戦となるのが、12月2日土曜日に秩父宮で行われる帝京大対慶應義塾大だ(14時キックオフ)。
現在の順位を確認すると、6戦全勝の帝京大が勝ち点29で首位に立ち、同25の明治大が2位、同24の早稲田大が3位と続く。帝京大は直接対決で明治大に43-11、早稲田大に36-21と勝利しており、今節の慶應義塾大戦で勝ち点1でも取れば優勝が決まる状況だ。なおこの3校はすでに大学選手権出場が確定しており、最終節の結果次第で帝京大は1位か2位、明治大は1位から3位、早稲田大は2位か3位になる可能性を残している。
一方、5位までが手にできる残り2つの選手権出場枠を巡る争いは、勝ち点15の4位筑波大と同14の慶應義塾大を、同10の6位立教大が追いかける状況。同日の同時刻に行われる筑波大対立教大戦で立教大が勝ち点5を挙げれば、3校の順位が複雑に入れ替わる可能性がある。慶應義塾大としても特別な緊張感をともなう最終節となりそうだ。
ここまでの両校の戦いぶりを振り返ると、帝京大は大学選手権を連覇した過去2年を上回る内容で危なげなく白星を重ねてきた。11月5日の早稲田大戦は焦点を絞って準備してきた相手への対応に手こずり、残り10分まで3点差と苦しんだものの(最終スコアは36-21)、続く19日の明治大戦ではその教訓を生かして序盤から厳しくプレッシャーをかけ続け、43-11と快勝。修正力の高さを示すと同時に、チームがまたひとつ上のステージにレベルアップしたことを証明した。
対する慶應義塾大は初戦で筑波大に18-21と惜敗した後、立教大に28-21、青山学院大に31-20、成蹊大に46-16としぶとく接戦をものにして3勝を挙げたが、11月5日の明治大戦は10トライを喫し40-66で完敗。今年が100回目の対戦でシーズンを通してターゲットに掲げてきた23日の早稲田大戦も、6トライを奪われ19-43という結果に終わった。ひとつの集大成として臨んだ大一番に敗れたショックからいかに立ち直り、気持ちを切り替えて次へ向かえるかが、この最終節の焦点になるだろう。
2日前に発表された登録メンバーを見ると、帝京大の前節明治大戦からの先発変更は2人。左LOが本橋拓馬から4年生の岡大翔に替わり、BKではU20日本代表でキャプテンを務めた大町佳生が久木野太一に替わって12番に入った。FWは津村大志、江良颯、上杉太郎のFW第一列にLO尹礼温、青木恵斗、奥井章仁、延原秀飛の不動のバックローというおなじみの顔ぶれで、BKも李錦寿と井上陽公のHBコンビが6試合目のスタメン出場。13番は2戦連続で戒田慶都が務め、バックスリーは高本とむ、小村真也、山口泰輝の決定力ある3人だ。
一方の慶應義塾大は、9日前の早稲田大戦でケガ人が重なったこともあり、スターター6人が入れ替わった。FWでは左PR井上皓介と右PR吉村隆志の2人がリザーブから繰り上がり、7番では本郷海志が今季初先発。HO中山大暉とシュモックオライオン、中矢健太の両LO、FL樋口豪、NO8冨永万作は前節に続きスタートからの出場となる。BKはSO磯上凌が今季初スタメンで、11番に伊吹央、13番に村田紘輔がイン。その他の4人は早稲田大戦と同じで、リザーブに下がったPR 岡広将に代わり12番の三木海芽がゲームキャプテンを務める。
過去10年の両校の対抗戦での対戦成績を振り返ると、帝京大が8勝、慶應義塾大は2勝。2017年から2020年までの4年間はすべて5点差以内の僅差決着で、2019年、2020年と慶應義塾大が連勝しているものの、それ以外の6年のうち5年は40点差以上で帝京大が大勝している。
今季ここまでの6戦を比較しても、帝京大の1試合平均得点が72.0、同失点が6.2であるのに対し、慶應義塾大は同得点30.3、同失点が31.2と大幅に劣勢だ。真っ向からぶつかって地力の勝負になれば、帝京大の優位は動かない。相手の力を存分には発揮させない試合運びを80分間続けることが、慶應義塾大の善戦の条件となる。
帝京大にとってこの試合のテーマは、内容をともなう引き締まった勝利で最終節を締めくくり、大学選手権へさらに弾みをつけることだ。一戦一戦着実に課題をクリアし、堅牢な土台を積み上げてきたここまでの足取りに、まったく隙は見当たらない。ここでもう一段加速できれば、その背中は追走者の視界からいっそう遠ざかるだろう。
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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