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ジョージア vs. ポルトガル
4年に一度の世界一決定戦は面白い。すべてのチームがこの大会にターゲットを絞り、それぞれの目標を達成しようと懸命に戦うからだ。混戦のプールCは、ウェールズ、オーストラリア、フィジーが決勝トーナメント進出をかけて勝ち点争いを繰り広げているが、4、5位争いをするジョージアとポルトガルの戦いもプール戦屈指の好ゲームとなった。
ラグビーワールドカップ2023 特集ページ
9月23日(土)、スタジアム・ド・トールーズは真夏のような強い日差しが降り注いでいた。16年ぶりのラグビーワールドカップ(RWC)出場となったポルトガルは、現在、プール戦で5連敗中。悲願の初勝利を狙っていた。今年のラグビーヨーロッパチャンピオンシップ決勝(3月19日)ではジョージアに11-38で敗れ、直近の18試合で一度も勝っていない。それでも、9月17日、格上のウェールズに健闘したことで自信を持ってこの試合を迎えていた。
現地時間の午後2時キックオフ。早々にトライを挙げたのはジョージアだった。チーム随一のラインブレーカーであるFBダヴィド・ニニアシヴィリがステップ、ハンドオフで1人、2人とかわしながら、片手でオフロードパス。チームNO1のトライゲッター、WTBアカキ・タブツゼのトライを生み出した。SOテド・アブジャンダゼがゴールを決めて、7-0とする。その後は、ジョージアがボールを支配してポルトガル陣で戦う時間が長かった。ポルトガルも粘りのディフェンスで耐えたが、ジョージアがPGを追加して、13-0とする。
ポルトガルが反撃を開始したのは前半32分のことだった。自陣からパスをつなぐと、右タッチライン際でボールを受けたWTBハファエリ・ストルチが、ディフェンダー4人をカットインでまとめて抜き去り、そのまま俊足を飛ばして右コーナーにトライ。13-5と8点差に迫る。前半、持ち前の展開力が影を潜めていたポルトガルのパトリス・ラジスケヘッドコーチは、「我々のラグビーをしよう」と選手を鼓舞した。後半に入ると、トリッキーなステップワークでタックラーを抜き去るなど個人技をからめた攻撃でボールを動かすシーンが増える。
ラグビーワールドカップ2023 フランス大会 プールC
【ハイライト動画】ジョージア vsポルトガル
後半8分、SHサミュエル・マルキがPGを決めると、その後も連続攻撃で反則を誘い、PGを追加して13-11。17分には相手陣10mライン付近の中央ラックからの展開で、SOジェローニモ・ポルテーラが左にパスをすると見せて、右へオフロードパス。これに走り込んでハファエリ・ストルチが約30mを走り切って逆転トライをあげる。マルキスがゴールを決めて、スコアは13-18。その後、ジョージアのNO8ベガ・ゴルガゼにインゴールに走り込まれるシーンがあったが、2人がかりのタックルでボールを押さえさせず、初勝利に向かって一丸となって戦った。
ジョージア vs. ポルトガル
しかし、残り10分は逆転を目指すジョージアの猛攻に防戦一方。反則をしないように守るポルトガルだったが、相手ボールのラックで痛恨のオフサイドを犯す。このPKからのタッチキックで得たラインアウトからジョージアはBKに入ってモールを押し、同点トライ。観客席では悲鳴と歓声が交錯した。ゴールは決まらず、18-18。直後のキックオフでは、後半9人に投入されたポルトガルのFLディヴィジ・ウォレスが値千金のジャッカルでPGチャンスをつかむ。力のこもった好試合の結末は、ポルトガルFBヌーノ・ソウザ・ゲージスのキックに委ねられた。3万人超の視線が注がれる中、蹴り上げられたボールはゴールをそれた。白熱の激闘だった。
引き分けた場合、両チームに勝ち点2ずつが与えられる。複雑な表情を浮かべる両チームのコーチ、選手、サポーターの表情とは裏腹に、ポルトガルのキャプテン、CTBトーマズ・アプレトンは笑顔だった。「この結果を喜んでいます。未来のポルトガルラグビーのための礎を築くことができました。子どもたちに夢を与えることもできたと思います」。両チームのプール戦はまだ続く。ポルトガルは10月1日にオーストラリア、ジョージアは9月30日、フィジーに挑む。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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