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ラグビー コラム 2023年9月23日

プールCを抜け出すのは? 崖っぷちのオーストラリアは 万能BKベン・ドナルドソンをSOに勝負を賭ける

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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ウェールズ×オーストラリア

 

順位争いが混とんとするプールCの大一番が、現地時間の9月24日午後9時(日本時間:25日朝4時)に行われる。大会前は決勝トーナメント進出濃厚とされた両チームだが、オーストラリアフィジーに敗れて1勝1敗。もしここで、連勝のウェールズに敗れることがあれば、1位ウェールズ、2位フィジーになる可能性が高くなり、10回目のラグビーワールドカップ(RWC)出場で初めてプール戦敗退になるかもしれない。ウェールズはここで勝って決勝トーナメント進出を確かなものにしたい。互いに負けられない戦いなのだ。

スタメン_オーストラリア_900x1100

 

オーストラリアのエディー・ジョーンズヘッドコーチは、15-22で敗れたフィジー戦から大きなメンバー変更を行わなかった。キャプテンのHOデイヴィッド・ポレクキほか、1番から5番のタイトファイブは同じメンバー。3番のジェームズ・スリッパーはラグビーワールドカップ(RWC)20試合目となり、レジェンドのSHジョージ・グレーガンと並んでオーストラリアのRWC最多出場記録となる。メンバーが変わるのはFW第三列とHB団だ。

6番にロバート・レオタが入り、身長199cm、体重122kgの大型FLトム・フーパーは7番へ移動。SHは25歳のテイト・マクダーモットが先発し、33歳のニック・ホワイトはリザーブに回る。そして、SOにはフィジー戦でFBだったベン・ドナルドソンが上がり、FBにはアンドリュー・ケラウェイが入り、カーター・ゴードンはベンチからのスタートだ。HB団の変更がどうゲームに影響を与えるのか興味深い。

スタメン_ウェールズ_900x1101

 

対するウェールズは、9月11日の初戦でフィジーに32-16と苦しみながらも勝利。17日のポルトガル戦ではメンバーを大幅に変更して苦戦したが、最後はNO8タウルペ・ファレタウが4トライ目をあげ、ボーナス点を獲得して勝った。そして今回はポルトガル戦で温存した12人のメンバーが先発する。ポルトガル戦から引き続き出場するのは、トライゲッターのWTBルイス・リース=ザミットタウルぺ・ファレタウ、キャプテンのFLジャック・モーガンのみだ。モーガンは昨年2月に代表デビューしたばかりの23歳だが、攻守によく働く。

プレーメイカーのSOダン・ビガーは正確なキック、パスで味方を走らせるだけではなく、RWCにおけるプレースキックの成功率が87%という高率で、僅差勝負では抜群の存在感がある。オーストラリアのSOドナルドソンは専門職ではなく、ゲームリードで差が出るのかどうか興味深い。また、ファレタウと、オーストラリアのロブ・ヴァレティニのNO8対決も面白い。ともにチームきってのボールキャリアーである。タックル数も多く、攻守でインパクトある活躍を続けており、この試合でも勝敗のカギを握る選手だ。

両チームは過去45度対戦し、オーストラリアが31勝、ウェールズが13勝、引き分け1という記録が残る。直近は2022年11月26日、ウェールズのカーディフで対戦し、39-34でオーストラリアが勝っている。RWCでは7度対戦し、オーストラリアが5勝2敗でリード。しかし、どの試合も接戦で今回もスコアに大きな差は出ないだろう。

今大会に入ってからの両者の戦いを比較すると、顕著なのがタックル数、成功率の違いだ。ウェールズは、2試合で参加チーム中1位の365回のタックルを繰り出し、成功率も88.4%と3位の数字を出している。一方、オーストラリアは、参加チーム最下位の156タックルで、成功率も2番目に悪い77.6%だ。タックルが少ないのは、キックを使って陣地をうまく進めている面もあるのだが成功率が悪いのは気になるところ。激闘必至。このカードは見逃せない。

文:村上 晃一
村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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