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ラグビー コラム 2023年8月23日

【RWC2023出場国紹介:トンガ】フェキトア、ピウタウら元オールブラックス擁し、「死のプール」で上位崩しを狙う

ラグビーW杯2023出場国紹介 by 村上 晃一
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7月~8月に開催されたパシフィックネーションズシリーズで、日本代表が唯一勝ったのはトンガ代表だった。しかし、主力の数名が来日しておらず、ラグビーワールドカップ(RWC)2023フランス大会ではレベルアップした姿を見せるだろう。今大会は「死のプール」と呼ばれるプールBに入った。世界ランキング1位のアイルランドを筆頭に、4位の南アフリカ、5位のスコットランドというトップ5の国が並ぶ。3強を崩すことができるのか。そのチャレンジが楽しみだ。

トンガ代表と言えば、海外の代表のなかで日本人がもっとも身近に感じるチームかもしれない。日本の高校、大学、社会人クラブ、リーグワンなど多くのチームでトンガ出身選手がプレーし、日本の選手達と深い絆を結んでいる。2022年1月、トンガが海底火山の噴火による被害を受けたときは、日本のラグビー関係者がいち早く行動してトンガをサポートする気持ちを示し、募金などを行った。6月には秩父宮ラグビー場でエマージング・ブロッサムズと、トンガ・サムライXVのチャリティーマッチも行われている。

日本に初めてトンガ出身選手がやってきたのは1980年のこと。大東文化大学にノフォムリ・タウモエフォラウさん、ホポイ・タイオネさんがそろばん留学生として来日し、彼らが優れたラグビー選手であり、人格者であったことから、その後、次々にトンガ出身選手が日本でプレーすることになった。屈強な肉体でタックラーを弾き飛ばすパワフルな走りは彼らの大きな特徴。それはそのままトンガ代表チームの特徴でもある。

南太平洋のポリネシアに位置するトンガ王国のラグビー協会創立は1923年(大正12年)。代表チームのエンブレムは鳩とオリーブの葉。チームの愛称は「イカレ・タヒ(海鷲)」。RWCには1987年の第1回から出場。この大会は参加チームが招待されたが、1991年の第2回大会から地域予選が導入され、トンガ代表はアジア・オセアニア予選で日本、西サモア(現・サモア)に敗れて出場を逃した。以降は連続出場しているが、すべてプール戦で敗退している。

しかし、トンガ出身選手は日本以外にもニュージーランド、オーストラリア、イングランドなど強豪国で代表に選ばれており、個人能力の高さは誰もが知るところ。今大会は国代表規定の変更で2カ国目の代表になることが可能になり、元ニュージーランド代表CTBマラカイ・フェキトア、FBチャールズ・ピウタウ、元オーストラリア代表で身長207cmのアダム・コールマンらトンガにルーツを持つ選手が加入し、過去最強とも言えるメンバーになっている。

ソナタネ・タクルア

元ーストラリア代表で日本の浦安D-RocksのFBイズラエル・フォラウが怪我でRWCを欠場することになったのは痛いが層は厚い。キャプテンは7月29日、花園ラグビー場で日本代表と戦ったときもチームを引っ張ったSHソナタネ・タクルア。フランスのクラブ、アジャンでプレーし、日本代表戦でトンガ史上初の50キャップに到達した。ヘッドコーチは日本のクボタ(現・クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)でプレーし、ヘッドコーチも務めた元オーストラリア代表のレジェンド、トウタイ・ケフ(49歳)。2016年からチームを率いており、身体能力の高い選手たちの能力を引き出すチームを作り上げている。試合前のウォークライは勇壮な「シピタウ」。プール戦の初戦は9月16日のアイルランド戦(日本時間17日4:00)。まずは世界ランキング1位のチームにどんな戦いを挑むか、注目である。

文:村上 晃一
村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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