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左から藤井NTD、ジョセフHC、土田会長
8月15日、東京都内のホテルで、9月に開幕するラグビーワールドカップに出場する日本代表の登録メンバー、FW(フォワード)15名、BK(バックス)15名の計30名が発表された。ワールドカップスコッドの期限は21日で33名が登録できる、残り3名はFWとなる見込みで、ケガ人を鑑みて今週末には決まるという。
登壇者は日本ラグビー協会の土田雅人会長、15人制日本代表NTD(ナショナル・チーム・ディレクター)の藤井雄一郎氏、ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)の3人。
ラグビーワールドカップ2023 特集ページ
土田会長は「日本協会がハイパフォーマンスユニオンとして認められるようになった現在、ワールドカップでの日本のプレーは日本国内だけでなく、世界からも注目が集まるようになった」。
「ワールドカップメンバーはラグビー日本代表としての自覚、桜のジャージへの誇りを持って世界の頂に挑戦してくれることと思います。そして、ジョセフHC率いる日本代表が。前回大会を上回る結果を残し、ジャパンラグビーの成長を示してくれることを信じて、協会一丸となって全力でチームをサポートしてまいります」と挨拶した。
藤井NTDは「前回のワールドカップが終わってから長い道のりだったが、コロナ禍など苦労を重ねながら、選手も本当に切磋琢磨して、ここまでたどり着いた。その中で、選ばれた選手は漏れた選手の分まで、日の丸を背負って戦ってくれると思う。それに見合う選手が選ばれている」と話した。
そして、ジョセフHCは「この2、3ヶ月、ワールドカップに出場する最終選考メンバーの準備のために、トレーニンググループのメンバーや、多くのハードワークをこなしてくれた選手たちに感謝したい。彼らの献身、貢献は間違いなくチームの姿勢と努力にもつながっている。私たちは今日ここにいることができなかっただろう」と挨拶した後、1人ずつ読み上げる形で公表された。
今回の選出はFWが15名、BKが15名の計30人になった理由に関して指揮官は「最後のフィジー代表とのテストマッチの前、負傷者が出て、またテストマッチを通して負傷者が出ていた。だから、33人全員の名前を挙げることはできない」と説明した。ケガ人の状況で最後の3名をFWから選ぶという。
選考理由を語るジェイミー・ジョセフHC
「LO(ロック)がいない。ワーナー・ディアンズは(浦安合宿で)肩を痛めており、その後足首を痛めた。ヘル・ウヴェはトンガ戦で肩を痛め、アマト・ファカタヴァはフィジーとの最終戦で足を負傷した」。
「ラピース(ピーター・ラブスカフニ)も最終選考の候補の1人で、まだわからないが、フィジー戦でレッドカードをもらって2週間は出場停止処分を受けている。選手たちは先週、休みを取った。彼らは戻ってきて話している。明日評価し、週明けには決断を下すつもりだ」。
会見に参加した(左から)流、リーチ、姫野、坂手淳史
また、キャプテンはFL(フランカー)姫野和樹、副キャプテンにはSH(スクラムハーフ)流大を選んだことも発表した。「姫野には多くの信頼を寄せているし、4度目の出場となるリーチ マイケルも戻ってきたし、堀江翔太もいる。最終的に選ばれる選手は33人いるが、彼らの半数はすでにワールドカップに出場しており、多くの経験を積んでいる。それは明らかに自信につながるし、彼らのリーダーシップにつながっている」。
選考ポリシーについて、ジョセフHCは「チームの半分はポジションの関係で選ばれている。少なくともバックローを務められるLOはいるし、LOの穴を埋められるバックローもいる。だが、1番や3番を務められる他のポジションの選手はいない」。
「同様の理由で9番と10番も同じように3人ずつ選んだ。だから、残りの最終的なセレクションで、その(カバーできるかという)オプションを取った。1つのポジションに専念しながらも、別のポジションでもプレーできる能力を持つ選手を選んだ」。つまり、専門ポジションのフロントロー、ハーフ団以外は複数ポジションができる選手を優先して選んだという訳だ。
2019年ワールドカップ以来、全くジェイミージャパンの試合に出場していないWTB(ウイング)レメキ ロマノラヴァ選手については、「グリーンロケッツではSO(スタンドオフ)、FB(フルバック)、CTB(センター)としてもプレーし、チームを支えた。彼がBKの(選手選考の)一例だ」。
まずはベスト8を目指す日本代表
「セミシ・マシレワはWTBだがFBもできるし、長田智希もWTB、CTBでプレーしている。ワールドカップで真価を発揮するのは彼らの高い万能性であり、その例は他にもたくさんある。ジャック・コーネルセンは「6」「7」「8」、そしてLOとしてテストマッチをプレーしてきた。私たちが求めているのはそういう選手」と説明した。
また、2019年ワールドカップでも中軸としてプレーし、7月のサモア代表でも15番を背負い先発したFB山中亮平の落選については「山中のような素晴らしい選手がセレクションから外れた。彼は15番のスペシャリストですが、リーグワンの神戸の試合の時に10番でプレーするのを見たかったが、その機会がなかった」。
「FBのファーストチョイスは松島幸太朗。もし、チームが勝ち上がって、毎週負傷者が出るようなことがあれば、そのポジションをカバーする必要があるし、その場合、マシレワとレメキがいればそれができると思う」と話した。
ただ、バックアップメンバー数人は、ワールドカップ開催と重なる9月にバーリアンズに参加し、もしもの場合に備えるという。
ワールドカップでどんなラグビーをしたいか?と聞かれて指揮官は「日本のラグビーは、誰がコーチを務めているかは関係なく、本当に速いプレー、ボールを持って戦うプレー、真のアタッキング・マインドを常にアイデンティティとして持っていると思っている」。
「私にとっては、それが日本のラグビーであり、それを継続していきたい。当然だが、毎週、違う相手と対戦する。だから技術的には少し調整することになるだろうが、日本人のこれまでのプレーの仕方はとてもユニークで、今後も継続したい」と話した。
ワールドカップの目標を聞かれて、ジョセフHCは「ワールドカップに出場する他のチームと同じように、我々も優勝するという目標を持っている。そして前回ベスト8に進出し、世界を驚かせた。今回もゴールは全く同じだが、違うチャレンジだ」。
「ワールドカップは(準々決勝以降は)トーナメントであり、準々決勝まで勝ち進むことができれば、何が起こるかわからない。だから、まずはベスト8に入ることが大事で、そこからが重要になる」と、まずは予選プール突破を強調した。
ワールドカップスコッドに選ばれた30名は8月16日から18日まで都内で合宿し、その後に渡欧。イタリア代表戦を経て、ワールドカップ本番に備える。9月10日のワールドカップの予選プール1試合目のチリ代表戦まで1ヶ月を切った。残り4週間、日本代表はチームを仕上げて、再びワールドカップで旋風を巻き起こしたい。
【日本代表メンバー】 ◆FW:15名 PR 稲垣啓太(埼玉パナソニックワイルドナイツ) PR クレイグ・ミラー(埼玉パナソニックワイルドナイツ) PR シオネ・ハラシリ(横浜キヤノンイーグルス) PR 具 智元(コベルコ神戸スティーラーズ) PR 垣永真之介(東京サントリーサンゴリアス) PR ヴァルアサエリ愛(埼玉パナソニックワイルドナイツ) HO 堀江翔太(埼玉パナソニックワイルドナイツ) HO 坂手淳史(埼玉パナソニックワイルドナイツ) HO 堀越康介(東京サントリーサンゴリアス) LO ジェームス・ムーア(浦安D-Rocks) LO/FL ジャック・コーネルセン(埼玉パナソニックワイルドナイツ) FL ベン・ガンター(埼玉パナソニックワイルドナイツ) FL 姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ) FL 福井翔大(埼玉パナソニックワイルドナイツ) FL リーチマイケル(東芝ブレイブルーパス東京)
◆BK:15名 SH 齋藤直人(東京サントリーサンゴリアス) SH 流 大 (東京サントリーサンゴリアス) SH 福田健太(トヨタヴェルブリッツ) FB/SO 小倉順平(横浜キヤノンイーグルス) SO 李 承信(コベルコ神戸スティーラーズ) SO 松田力也(埼玉パナソニックワイルドナイツ) CTB 長田智希(埼玉パナソニックワイルドナイツ) CTB 中野将伍(東京サントリーサンゴリアス) CTB 中村亮土(東京サントリーサンゴリアス) CTB ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ) WTB ジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス東京) WTB シオサイア・フィフィタ(トヨタヴェルブリッツ) WTB セミシ・マシレワ(花園近鉄ライナーズ) WTB レメキロマノラヴァ(NECグリーンロケッツ東葛) FB/WTB 松島幸太朗(東京サントリーサンゴリアス)
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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