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ラグビー コラム 2023年6月16日

【RWC2023出場国紹介:フランス】 悲願の初優勝を目指すホスト国 世界最高のSHアントワンヌ・デユポンが軸

ラグビーW杯2023出場国紹介 by 村上 晃一
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創造力あふれるプレースタイルは常に観客を楽しませてきた。ボールを持った選手の周辺に次々にサポートの選手が走り込んでくる様子は「シャンパンラグビー」と称される。2023年ラグビーワールドカップ(RWC)は、2度目の自国開催。フランスは南部の都市を中心にラグビー人気が高く、国中がRWC一色になるだろう。1987年、1999年、2011年とRWCでは3度の準優勝。悲願の初優勝への期待が高まっている。

イングランドで生まれたラグビーは1870年代にはフランスに伝わった。1900年のパリ・オリンピックで初めてラグビー競技が行われ、フランスが優勝している。ただし、強いチームが参加せず、このことが語られることは少ない。フランス代表最初の国代表同士の試合は1906年のニュージーランド戦で、ここでは6-38と完敗している。1908年からウェールズ、アイルランド、スコットランドと対戦し1910年までにイングランドも含む英4カ国と戦い、ファイブネーションズ(現在はイタリアが加入して、シックスネーションズ)の形が整った。フランスの最初の黄金時代は1950年代で、ニュージーランド、南アフリカらを次々に破って世界を驚かせた。

RWCでは1987年の第1回大会で決勝に進出。優勝候補の筆頭だったオーストラリアを破った準決勝の死闘は語り継がれている。ホスト国となった2007年大会では開幕戦でアルゼンチンに敗れ、最終的に3位決定戦でもアルゼンチンに敗れて4位に終わった。しかし、1999年の準決勝で優勝候補のニュージーランドを破り、2007年大会でも準々決勝でニュージーランドを破るなど数々の番狂わせを起こしてきた。下馬評が低くても、「フランスだけは分からない」と言われるのは観客を驚かせ、うならせるのが好きなフランス人気質なのかもしれない。

自由奔放なプレースタイルがフランス代表の魅力だが、2019年、元フランス代表SHのファビアン・ガルティエが就任し、若い選手を積極的に起用。フィットネスを高め、緻密なゲームプランで安定感ある戦いをしている。2022年のシックスネーションズでは5戦全勝で12年ぶりの優勝を果たした。2023年はアイルランドには、19-32で敗れたもののイングランドには快勝し最終戦でウェールズにも勝って2位となった。

アントワンヌ・デュポン

個々の能力は高く、FWはサイズが大きく、BKは伝統的に足の速い選手が揃っている。注目選手の名前をあげればキリがないが、大黒柱は世界最高のSHといわれるアントワンヌ・デュポン(26歳)だ。2021年、ワールドラグビーの世界最優秀選手に選出され、今年のシックスネーションズでも3度目の最優秀選手に輝いた。身長174cm、体重85kgと、サイズは大きくないが、タックルされても簡単に倒れず、自ら突破、素早いサポートでチャンスを広げ、ディフェンスも強い。戦術眼も卓越しておりパーフェクトなラグビー選手だ。デュポンとハーフ団を組むSOロマン・ンタマック(24歳)は2019年2月に19歳で代表デビュー。同年、ワールドラグビーの最終新人賞に輝いた。ランニングスキルが高く、正確なキック、パスで味方を走らせる。

ベテランのFLシャルル・オリヴォン(30歳)、決定力あるWTBダミアン・プノー(26歳)など好選手が揃うが、FWの注目は、LOティボー・フラマンだろう。身長203cm、体重110kgの25歳。今年のシックスネーションズで大活躍した。フランス生まれで18歳までベルギー育ち、イングランドの大学に通った。運動量豊富な選手で、献身的にタックルし相手選手にプレッシャーをかけ続ける。高校まではBKだったこともあり、好サポートからトライする器用な面もある。RWC2023でもFWの軸として働き続けるだろう。

RWC2023の開幕戦は、フランス対ニュージーランドという、いきなりのビッグゲームで始まる。フランスがどんなパフォーマンスを見せるのか。それは誰にも分からない。

文:村上 晃一
村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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