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ラグビー コラム 2023年5月22日

【ハイライト動画あり】残り20分まで1点差。東洋大の奮闘に苦しめられるも、早稲田大が終盤に振り切る。関東大学春季大会レビュー

ラグビーレポート by 直江 光信
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岡崎 颯馬(早稲田大学)

開始早々の先制トライに、この一戦にかける東洋大の意気込みは立ち上った。キックオフ直後から力強く近場を前に出てペナルティを獲得すると、迷わずタッチに蹴り出して相手陣ゴール前へ。ラインアウトからさらにFWが気迫みなぎるボールキャリーで前進し、開始3分46秒にLOマタリキ・チャニングスがラックサイドをねじ込んでゴールラインを越える。

帝京大との開幕戦は14-92、東海大との2戦目は21-113と、2試合連続の大敗を経て迎えた関東大学春季大会3戦目の早稲田大戦。ここでまたなすすべもなく敗れれば、チームは底の底まで沈みかねない。何としても悪い流れを断ち切り、浮上のきっかけをつかむという切実な思いが伝わってくるような滑り出しだった。

同じくこれが今季3戦目、東海大に33-19で勝利し、明治大には24-45で敗れてここまで1勝1敗の早稲田大も、もちろんそのまま引き下がりはしない。10分、持ち前のスピーディーな連続攻撃からWTB矢崎由高が左スミに押さえると、18分にもテンポよくボールを動かして左オープンサイドを攻略し、矢崎がフィニッシュ。途中出場の前節に続き入学後初先発となった期待のルーキーの連続トライで、12-7と逆転する。

矢崎由高(早稲田大学)

その後も試合は拮抗した流れで進み、28分に東洋大キャプテンのFLヴェア タニエラがディフェンスラインを突き抜けてひっくり返せば、早稲田大も直後の30分にFB京山秀勇のキックカウンターからWTB細矢聖樹がインゴールを陥れてふたたび前に出る。36分には小刻みにラックを重ねてディフェンスを揺さぶり、FL田中勇成が右中間へ。早稲田大が22-14とスコアを広げて、前半の40分を終えた。

迎えた後半。先行する早稲田大は47分、自陣22メートル線内のスクラムを起点に80メートル余りを切り返し、WTB矢崎がこの日3本目となるトライをマーク。いい流れでリードを拡大し、そのまま引き離すかと思われた。

【ハイライト】早稲田大学 vs. 東洋大学|ラグビー関東大学春季交流大会2023 Aグループ

しかし東洋大もここで気持ちを切ることなく反撃に転じ、51分に出足鋭いディフェンスから敵陣レッドゾーンで相手の不用意なパスをWTB杉本海斗がカットしてトライ。直後の53分にも早稲田大のエラーに乗じてこぼれ球を拾ったCTBモリース・マークスが50メートル近くを独走し、中央に飛び込む。杉本のコンバージョン成功で26-27と1点差まで詰め寄った。

この日もっとも緊迫した状況で迎える、残り20分の勝負どころ。追い上げる東洋大が勢いに乗るかに思われた場面だったが、消耗で足が止まり始めるこの時間帯に底力を発揮したのは、ホストチームの早稲田大だった。

ターニングポイントとなるプレーが生まれたのは60分だ。敵陣30メートル付近でマイボールスクラムを得ると、左オープン展開でテンポよく巡目にラックを続けて22メートル線内へ前進。振り戻しのアタックからLO栗田文介が力強く防御網を突き破り、左中間になだれ込む。

これでようやくペースを握った早稲田大は、69分にラインアウトモールを押し切ってHO佐藤健次が左中間にグラウンディング。2トライ2ゴールでも届かない15点差までリードを広げて勝負を決めると、ロスタイムにも辛抱強くアタックを継続してHO安恒直人がチーム8本目のトライを奪う。最終的にはスコアを48-26まで伸ばして、フルタイムを迎えた。

東洋大の果敢なチャレンジにあおられながらも、終盤に突き放し意地を見せた早稲田大。ただ大一番となった前週の明治大戦の反動からか試合を通してタックルミスやイージーなエラーが目立ち、最後までリズムに乗り切れない内容だった。残る春季大会は2試合で、6月25日の最終戦では昨季大学選手権決勝で大敗を喫した帝京大に対峙する(@熊谷ラグビー場、13時30分キックオフ)。この経験を糧に、春シーズンの集大成となる戦いに向けどのようにチームを仕上げてくるかが注目される。

一方の東洋大は3連敗となったものの、ビッグスコアで完敗を喫した前2戦から大幅に良化したことを感じさせた。個々のひたむきなタックルで再三早稲田大を後退させ、真っ向勝負を挑んで4本のトライを奪ったことは、大幅にレギュラーが入れ替わったチームにとって確かな自信になるはずだ。この一戦で見せたチャレンジスピリットと一体感ある攻守は、今季も大学シーンを盛り上げる存在になり得ることを示すものだった。

文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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