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ラグビー コラム 2023年5月12日

盤石の足取りでシーズン2戦目を迎える王者・帝京大に、フレッシュな陣容の流通経済大が挑む。関東大学春季大会Aグループプレビュー

ラグビーレポート by 直江 光信
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王者の足取りは、今年も盤石だ。

4月23日に行われた関東大学春季交流大会の初戦。前年度大学選手権優勝の帝京大は、昨季大学ラグビーシーンに旋風を巻き起こした東洋大を92-14と圧倒して新シーズンの第一歩を踏み出した。パワフルなコンタクトと精度の高いスキル、的確な判断をベースに、14トライを奪っての大勝。影すら踏ませないようなパフォーマンスは、今季も覇権争いの中心となることを確信させるものだった。

もとより戦力は充実している。早稲田大を73-20で破り連覇を果たした昨季選手権決勝の先発15人のうち、残ったメンバーは10人。とりわけ新主将に就任したHO江良颯、副将のFL奥井章仁、さらにLO本橋拓馬やFL青木恵斗、NO8延原秀飛らビッグネームが並ぶFWの破壊力は学生随一だ。同じく優勝メンバーのひとり、スクラムとモールで推進力を発揮する右PR上杉太郎の存在も大きい。

BKでは下級生時からゲームメイクを担ってきたSO高本幹也を筆頭に、前キャプテンの松山千大、二村莞司の両CTBとフロントスリーの3人が卒業したが、その後継を狙う候補にも多士済々の顔ぶれがそろう。司令塔争いの本命は、昨季までWTBとして卓越した能力を披露し、相馬朋和監督が「どのポジションがベストかわからないほどのポテンシャルある」と評する小村真也か。アウトサイドではWTB高本とむがさらにスケールアップした決定力を誇示しており、谷中樹平の負傷を受け昨季決勝で15番を背負ったFB山口泰輝にも躍進の気配が漂う。

4月23日の東洋大戦ではHO江良、SH李錦寿の主軸が欠場したが、代わって先発したHO當眞蓮、SH上村樹輝がともに2トライを挙げるなど、相変わらずの重厚な選手層を誇示した。またこの試合ではPR森山飛翔(京都成章卒)、WTB青柳潤之介(國學院栃木卒)と、将来を嘱望されるルーキー2人もさっそく公式戦デビューを飾っている。今後試合を重ねることでどこまでチーム力を伸ばしていくのか、多くの大学ラグビーファンが戦いぶりに関心を寄せていることだろう。

そのトップランナーに今節チャレンジするのは、昨季関東大学リーグ戦で2位と復活を遂げた流通経済大だ。こちらは慶應義塾大に5-45で敗れた前年度選手権3回戦のスターターから9人が卒業し、メンバーは大幅に入れ替わった。コーチングスタッフも内山達二前監督から池英基新監督(前ヘッドコーチ)へと体制が引き継がれ、フレッシュな陣容でチームとして新たな一歩を踏み出すシーズンになる。

この春季大会はすでに2試合を戦っており、4月30日の初戦は東海大に21-40、5月7日の第2戦は明治大に12-58と、いずれも黒星を喫した。東海大戦は昨年度の公式戦を経験しているPR玉永仁一郎、HO作田駿介、PR吉村一将のフロントローを軸にスクラムで優位に立ち、セットプレーを起点に3トライを挙げるなどFWが健闘したが、明治大戦ではそのFW戦で劣勢を強いられ完敗。猛烈な支配力を誇る帝京大のFWパックに接近戦でどこまで対抗できるかが、この試合の重要なテーマになるだろう。

帝京大学スターティングメンバー

登録メンバーを帝京大から見ていくと、フロントローは平井半次郎と上杉太郎の両PRで、HOには前節欠場したキャプテンの江良颯が入った。LO陣は本橋拓馬と尹礼温のコンビ。バックローはFL青木恵斗、FL奥井章仁、NO8延原秀飛というおなじみの強烈な顔ぶれだ。

HB団は今季初登場のSH李錦寿が、4年生のSO井上陽公とペアを組む。TB陣は11番から高本とむ、12番久木野太一、13番上田倭士、14番青柳潤之介という並びで、上田と青柳の1年生2人はこれが初先発。FBには小村真也が前節の10番からシフトした。3週前の東洋大戦からスターター7人を入れ替えた布陣だ。

対する流通経済大の前節明治大戦からの先発変更は6人。第1列では右PRが中根輝に替わり、PR玉永仁一郎、HO作田駿介とトリオを組む。LO陣はブレンドン・ネルとシンクル蓮の190センチオーバーの2人。第3列は辻隼成、原田季弥のFL陣にNO8上田健太という並びだ。

BKではSH武井陽昌、SO佐々木開のHBが3戦連続でゲームメイクを司る。両CTBは杉崎晴人と前節FBのステファーナス・ドゥトイという組み合わせに。バックスリーは11番にラトゥ・アポロサ・クトカラ・デレナラギ、14番に齋藤凌、最後尾のFBに谷惇平という構成となった。

ゲームの見どころとしては、コンタクト局面で帝京大が厳しくプレッシャーをかけてくる中、流通経済大がいかに精度高くプレーを遂行できるかが最大の焦点になるだろう。特に立ち上がりの20分はお互い活力十分の状態で主導権を握るべく臨んでくる。この時間帯でのゲインラインを巡るバトルが、試合の流れを左右しそうだ。

春シーズンのゲームだけに、新戦力の台頭にも興味はふくらむ。底知れない成長力を秘めた若者は、たった1試合のわずかなプレータイムで驚くほどの躍進を遂げるケースも珍しくない。胸高鳴るようなシーンが数多く見られることを期待したい。

文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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