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【ハイライト動画あり】相模原ダイナボアーズ、ディビジョン1の実力示す完勝でシャトルズ愛知との初戦を制す。リーグワン入替戦第1戦レビュー
ラグビーレポート by 直江 光信
最上位カテゴリーのタフなシーズンを戦い抜き、印象に残る4つの白星を挙げた実力は、やはり本物だった。極限の重圧がのしかかる大一番で奪ったトライは実に9本。三菱重工相模原ダイナボアーズが59-21のビッグスコアで豊田自動織機シャトルズ愛知を圧倒し、2回戦制で行われる入替戦の初戦をものにした。
シャトルズのホストスタジアムであるパロマ瑞穂ラグビー場で14時30分にキックオフされたこの一戦。「シーズンを経ての決勝というメンタリティで臨む」というグレン・ディレーニーヘッドコーチの戦前の言葉通り、ダイナボアーズは気迫を前面に押し出した攻守で序盤からゲームを支配した。
まずは前半4分、FL坂本侑翼のビッグゲインを起点に敵陣でテンポよくフェーズを重ね、WTBタウモハパイホネティが先制のトライを刻む。さらに9分、スピーディーな連続攻撃で相手防御を崩しホネティがフィニッシュすると、12分にはFL鶴谷昌隆がラックの真上をピックアンドゴーで抜け出し左中間へ。その6分後にもオフロードに反応したキャプテンのSH岩村昂太がゴールラインを越え、開始20分で26-0と大きくリードを奪った。
防戦一方だったシャトルズがようやく反撃に転じたのは26分。猛烈なプッシュでスクラムをドミネートして敵陣ゴール前に居座ると、大外のスペースへSOジョシュ・マタヴェシがあざやかにカットパスを通し、WTB中野豪が左中間に押さえる。しかしダイナボアーズも続くキックオフでたたみかけてPR石井智亮がトライを返し、相手側に傾きかけた流れをすかさず寸断。33-7とさらに点差を拡大して、前半の40分を終えた。
シャトルズにとってはここが瀬戸際というスコア。ダイナボアーズにすればもう一本先に取ればほぼゲームを決められる状況だ。果たしてこの勝負どころでトライを奪ったのは、先行するダイナボアーズだった。
46分、ラインアウトモールで圧力をかけアドバンテージを得ると、SH岩村が判断良く右ショートサイドへパス。走り込んだLOウォルト・スティーンカンプが、フリーで右コーナーに飛び込む。さらにこのプレーで、反則の繰り返しによりシャトルズのLO中村大志にイエローカードが提示された。
ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1/2
【入替戦 第1節ハイライト】豊田自動織機シャトルズ愛知(D2 3位) vs. 三菱重工相模原ダイナボアーズ(D1 10位)|
それでもシャトルズは集中力を切らさず、50分にCTBジョー・カマナが相手防御を突き抜けてトライ。以降もスクラムでたびたび相手を押し込み、61分にはラインアウトから力強いドライビングモールでゴールラインを越える。このプレーはグラウンディング寸前でボールがこぼれたというTMO判定でトライにはならなかったが、主導権を握る時間帯を作った。
しかしダイナボアーズもここでふたたび底力を見せ、FL坂本の自陣でのビッグタックルを起点に大きく切り返して敵陣ゴール前まで前進。一連の流れでシャトルズディフェンスを揺さぶり、65分にWTB小泉怜史が右コーナーに押さえる。
NO8ジャクソン・ヘモポがシンビンで一時退場している間にラインアウトモールからシャトルズNO8タリフォロフォラ・タンギパにトライを許し、ふたたびスコアを詰められたものの、74分にはキックレシーブからのカウンターを仕留め切ってSH岩村がインゴールへ。39分にもきれいに防御を崩し切り、途中出場でWTBの位置に入った柴田凌光がダメ押しのトライを決める。培ってきた地力を証明する終盤の2トライで38点差までリードを広げ、第1戦のフルタイムを迎えた。
敵地で挑戦を受けるという難しいシチュエーションをものともせず、2連戦の大事な初戦に大勝したダイナボアーズ。まだディビジョン1残留が決まったわけではないが、これで38点ものアドバンテージを持って地元での第2戦(5月14日@海老名運動公園陸上競技場、14時30分キックオフ)に臨める圧倒的優位な状況となった。何より重圧の中で存分に持ち味を発揮できたこの日の内容は、チームに大きな自信と勢いをもたらすだろう。
シャトルズはゲームの導入の場面で受けに回り、相手に余裕を持ってコントロールできる展開を許したことが最大の敗因となった。八面六臂の活躍でチームを牽引してきたSO清水晶大がケガで戦列を離れたことに加え、2日前に発表された所属選手による不祥事の影響も絶対に小さくはなかったはずだ。大きなビハインドを背負う厳しい状況となったが、まだ戦いは終わってはいない。チームのこの1年の歩みの意義を示すチャンスは、まだ残されている。
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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