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キック、パス、ラン、あらゆるスキルを駆使してボールがスピーディーに動き続ける激闘だった。スタジアムの外では強風が吹き荒れていたが、スタンドに囲まれたフィールド上は大きな影響は受けなかった。ナイター照明に輝く緑の芝生もコンディションがよく、選手の思い切りのよいランニング、スクラムの安定に一役買っていた。
午後6時、東芝ブレイブルーパス東京(BL東京)FB松永拓朗のキックオフで試合は始まった。立ち上がりから激しいコンタクトプレーが連発する。「ブレイクダウンでプレッシャーをかけようと準備してきた」と、静岡ブルーレヴズ(静岡BR)の堀川隆延監督が言う通り、静岡BRはBL東京のボールキャリアーに的確なタックルを決め、ボール争奪戦で徹底的にファイトした。
5位のBL東京は、プレーオフ進出枠の4位以内に滑り込むため、ボーナス点(3トライ以上差をつける)を獲得しての勝利を狙っていた。前半13分、まずは松永がPGを決めて先制。15分には、その松永が自陣からカウンターアタックを仕掛けて中央突破。静岡BR陣内に入ると、左にサポートしたLOワーナー・ディアンズにパスを送る。ワーナーはコースを右に変えながらディフェンダーを引き付け、右にサポートしたLOジェイコブ・ピアスにパスし、ピアスがポスト下にトライをあげる。FBのカウンターアタックを2m超の長身LOコンビがサポートする圧巻のトライだった。松永がゴールを決めて、スコアは、10-0となる。
ホストゲームの静岡BRも残る3試合で勝ち点を積み上げられなければ入替戦にまわる可能性がある。声援し続けてくれるホームのサポーターのためにも懸命に戦った。22分、自陣中盤のラックからトライが生まれる。SHブリン・ホールから、WTBアラパティ・レイウア、FLジョーンズ リチャード剛とボールが渡って前進。ジョーンズがサポートしたレイウアにパスを戻すと、ホール、レイウアとパスがつながって左中間にトライ。3月に正式に登録されたばかりの元サモア代表の挨拶代わりのトライだった。ホールがゴールを決め、10-7。28分にもホールがPGを追加し、スコアは10-10の同点となる。
ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1
【第14節ハイライト動画】静岡ブルーレヴズ vs. 東芝ブレイブルーパス東京
以降はシーソーゲームとなった。スクラムは押したり押されたりの攻防。30分にBL東京が相手ボールのスクラムをプッシュしてボールを奪い、CTBニコラス・マクカランが左コーナーにトライをあげる。15-10とBL東京がリードすると、静岡BRもスクラムをプッシュして反則を誘うと、ラインアウトからのモールでHO日野剛志がトライ。15-17と逆転する。直後にBL東京もゴール前のラインアウトからモールを押すが、ここは静岡BRを食い止めた。それでもBL東京は松永のPGで再び18-17と逆転してハーフタイムを迎えた。
白熱の攻防は後半も続いた。後半5分、静岡BRが攻め込むが、そのミスボールをBL東京のFL佐々木剛が拾って独走。ゴールまで走り切る。トライ、ゴールで25-17の8点差。静岡BRにとって痛恨の出来事は10分後に起きる。BL東京のワーナーがラックサイドに立っていたところ、その膝に対して静岡BRのPR河田和大が肩をヒットさせてしまう。ボール争奪戦で足を狙うのは怪我のリスクが高いので反則だが、ここは悪質とみなされてレッドカード(退場処分)が出た。
14人となった静岡BRは、WTB槇瑛人を下げ、PR植木悠治を投入。BKラインを一人少なくして戦う。「14人になっても、あきらめることなく、情熱を持ってプレーしました」(大戸裕矢キャプテン)。各選手が2人分の仕事をすることで数的不利をカバーし、21分には、WTBレイウアが左タッチライン際を綱渡りのように走ってつないで日野がトライ。25-22と3点差に迫る差を詰める。しかし、これ以上差を詰めることはできなかった。
BL東京はスピーディーなアタックから、後半29分、松永、36分、交代出場のWTB濱田将暉がトライ。37-22とした。3トライ以上の差をつけるボーナス点獲得のため、もう1トライを目指したが、自陣からのアタックでスローフォワードがありチャンスを逸した。逆に静岡BRは「ゴー!ゴー!レヴズ」の大声援を受けて、終了間際のスクラムを猛プッシュ。交代出場のSH田上稔がトライをあげて声援に応えた。最終スコアは、37-29。両者の勝利への執念を感じる濃密な80分だった。
「前半のラインアウトで準備したプレーが出せなかったのがターニングポイントになった」と堀川監督。ラインアウトは長身ぞろいのBL東京のFWにプレッシャーを受け続けた。ラインアウトのリーダーでもある大戸キャプテンは「くやしいです」と声を詰まらせた。追い上げながら7点差以内の負けに与えられるボーナス点も獲得できなかった。試合後に打ち上げられた美しい花火とは対照的に選手たちの表情は複雑だった。
一方、勝ったBL東京もボーナス点を奪えず、会心の笑顔とはいかなかった。それでも小川高廣キャプテンは前向きに言葉を発した。「自分たちの反則でシーソーゲームになってしまいました。あと2試合、ディシプリンをしっかりすれば点も取れるし、勝つ自信はあります」。BL東京は次節、三菱重工相模原ダイナボアーズと対戦(4月14日、秩父宮ラグビー場)。静岡BRは、4月15日、熊谷ラグビー場で首位の埼玉ワイルドナイツに挑む。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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