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ラグビー コラム 2023年4月3日

ネルソン・マンデラ大統領が応援した1995年大会は必見。1999年は日本代表NO8ジェイミー・ジョセフもプレー

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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1995年南アフリカ大会 決勝 南アフリカ vs. ニュージーランド

2023年はラグビーワールドカップ(RWC)イヤー。9月8日開幕のフランス大会は第10回目の世界一決定戦だ。「ラグビーワールドカップ100選」では過去のRWCの名勝負、印象的な試合をピックアップしている。これまで9度開催された大会のなかで、歴史的に特筆すべきRWCといえば、1995年の南アフリア大会だろう。南アフリカはニュージーランドと並ぶラグビー強国でありながら、反アパルトヘイト(人種隔離政策)の国際制裁でスポーツ交流を禁じられていた時期があった。

1991年にアパルトヘイトは撤廃され、その後、ラグビーの南アフリカ代表スプリングボクスも国際舞台へ復帰。ホスト国となった1995年大会は初参加で初優勝を目指した。1994年に全人種が参加した初の総選挙で当選した初の黒人大統領ネルソン・マンデラは、この大会で人種融和政策を推し進め、生まれ変わった南アフリカを世界にアピールしようとする。前政権下で27年間も牢獄に閉じ込められながら、白人に復讐せず、国をひとつにしようとしたのだ。

狙い通り決勝に進出したスプリングボクスとニュージーランド代表オールブラックスの決勝戦はRWC史上初の延長戦にもつれ込む。ニュージーランドの怪物WTBジョナ・ロムーの突進を、SHユースト・ファンデルヴェストハイゼンを軸に止めるスプリングボクス。死闘の末、スプリングボクスが頂点に立つ。マンデラ大統領は白人のスポーツだったラグビーの代表であるスプリングボクスのジャージーをまとって表彰式に登場し、フランソワ・ピナールキャプテンにエリスカップを手渡す。「南アフリカのためにやってくれて、感謝しているよ」(マンデラ大統領)。「あなたがこの国のために成し遂げてくれたことには及びもしません」(ピナールキャプテン)。「大会のスローガン「ONE TEAM,ONE COUNTRY」が完結した歴史的瞬間は必見だ。

1995年大会からこの他3試合をピックアップ。プール戦屈指の好勝負となったフランス代表対スコットランド代表。フランスが南アフリカを追い詰め、ジョナ・ロムーがイングランド代表を蹴散らした準決勝2試合も今一度振り返りたい戦いだ。1995年大会は5月、6月に開催されたが、この年の9月、ラグビーのアマチュア規定が撤廃され、プレーに対する報酬が認められる。現在につながるプロ・アマ混合のオープン化時代の始まりだ。南半球のスーパーラグビー、フランス、イングランドのプロリーグがオープン化の先頭を走る。

1999年ウェールズ大会 ウェールズ vs. 日本

そして、1999年10月、第4回ウェールズ大会が開幕した。日本代表は平尾誠二監督が率い、アンドリュー・マコーミックが海外出身選手として初めて日本代表キャプテンとなる。当時、福岡県のサニックスでプレーしていたジェイミー・ジョセフ、グレアム・バショップという元オールブラックスも日本代表入り。チームをけん引する。現在の日本代表ヘッドコーチ、ジェイミー・ジョセフはNO8として3試合すべてに出場した。

ホスト国のウェールズ代表戦では、バショップのパスを受けた快足WTB大畑大介がタッチライン際を快走してトライをあげる。アルゼンチン代表戦は、現在、京都産業大学ラグビー部の監督として手腕を発揮するSO廣瀬佳司と、この大会の得点王となるゴンツァロ・ケサダのPG合戦となる。ともに、約7万人収容のミレニアム・スタジアムでの開催だ。

決勝トーナメントからは4試合をピックアップ。準々決勝の南アフリカ代表対イングランド代表では、南アフリカ代表SOヤニー・デビアーがドロップゴールを5本決める驚異的パフォーマンス。キャプテンは、今は亡き大型SHユースト・ファンデルヴェストハイゼン。準決勝のオーストラリア代表対南アフリカ代表は延長となる。オーストラリアのHB団は、日本でもおなじみの2人、サントリーでプレーしたジョージ・グレーガンと、リコーでプレーしたスティーブン・ラーカム。100分の攻防は手に汗にぎる展開だ。

1999年ウェールズ大会 準決勝 フランス vs. ニュージーランド

もう一つの準決勝は世界に衝撃を与えた。優勝候補だったオールブラックスをフランス代表が破ったのだ。ジョナ・ロムーのパワーに蹴散らされて2トライを奪われた時点では、誰もフランス代表が勝つと思わないだろう。しかし、後半に入ってフランス代表は後半33点を奪うのだ。身長173cmのWTBドミニシ、俊足WTBベルナサルのトライは観客を熱狂させる。

決勝戦は、勢いに乗るフランス代表の攻撃を、オーストラリア代表が抑え込む。鉄壁のディフェンスで決勝までの6試合で奪われたトライはたった1つ。一糸乱れぬディフェンスは憎らしいほどの完成品だ。2度目の優勝はこの時点では史上初の快挙。1991年、1999年、両方で中心になったLOジョン・イールズキャプテンがエリスカップを掲げる。同じく2度目の優勝となったCTBティム・ホランは大会のMVPに。その完成度の高いラグビーをじっくり見ておきたい。

文:村上 晃一
村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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