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コベルコ神戸スティーラーズ vs. 埼玉ワイルドナイツ
リーグワン2022-2023のレギュラーシーズンは、全16節の折り返し地点。2月25日(土)、26日(日)の第9節より後半戦に入る。首位を走る王者・埼玉ワイルドナイツ(埼玉WK)は、26日、神戸総合運動公園ユニバー記念競技場にて、6位のコベルコ神戸スティーラーズ(神戸S)と対戦する。
埼玉WKは、前節、ベテランのHO堀江翔太がキャプテンを務め、花園近鉄ライナーズに41-6で快勝した。SOで山沢拓也が先発し、巧みなステップワークでトライをあげるなど、個人技の高さを見せつけてプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出されている。また、PR稲垣啓太はリーグ通算100試合出場を達成したが、「ひとつの節目ですが、もう一度気を引き締めて、課題に取り組んでいきたい」とあくなき向上心を語った。鉄壁のディフェンスでトライを与えず、相手のミスをチャンスに結びつけるプレースタイルはますます磨きがかかっている。
主力選手を休ませながら常にコンディションのよい選手が出てくる埼玉WKに死角はないように見える。いまだリーグワンで負け知らずの埼玉WKを最初に倒すのは誰なのか。今節、その歴史的勝利に挑戦するのが神戸Sだ。前節は、ノーサイド直前にSO李承信が決勝PGを決め、32-29で静岡ブルーレヴズに勝利した。リーグ序盤は苦しんだものの、2連勝で戦績を4勝4敗とし、プレーオフ進出枠のトップ4入りに望みをつないでいる。
王者との対戦を前にベテランFB山中亮平は言った。「みんなパナソニックが勝つと思っているでしょう。我々に失うものは何もありません。いい準備もできました。予想を覆すチャンスだと思っています」。勝つためのキーポイントとしてあげたのが「自分たちのプランをやり切ること」と、「ディフェンスの意思統一」だ。相手のミスから一気にトライする埼玉WKに対してイージーなミスは禁物。ディフェンス面でも簡単に穴を作ることなく、選手同士が密にコミュニケーションをとってつながり、圧力をかけ続けたい。
コベルコ神戸スティーラーズ スターティングメンバー
神戸Sは前節から先発15人で3名の変更がある。LO張硯煥に代わってジェラード・カウリートゥイオティ、WTB山下楽平に代わって井関信介、CTBはマイケル・リトルからリチャード・バックマンに代わる。張、山下、リトルはリザーブへ。そして、日本代表PR具智元が長いリハビリ期間が明けて今季初めてメンバー入りした。リザーブ席からのスタートながらファンにとって嬉しいことだろう。「小さな怪我でストレスをためることもありましたが、この試合で復帰することをターゲットに、あせらずにリハビリしていました。稲垣さんや、ミラーさんなどパナソニックの日本代表選手と戦うのは楽しみです」。
埼玉ワイルドナイツスターティングメンバー
埼玉WKは前節から先発で8名の変更があり、ポジションチェンジも多い。HOは堀江翔太がリザーブに下がり、坂手淳史キャプテンが先発。PR藤井大喜、LOリアム・ミッチェル、NO8ジャック・コーネルセン、SH内田啓介、SO松田力也、CTBダミアン・デアレンデ、ディラン・ライリーが先発する。デアレンデは夫人の出産で帰国していたこともあり、第3節以来の先発復帰。パワフルなプレーで攻守の軸になる。前節が今季初出場になった丹治辰碩は14番から11番へ移動して引き続き出場。山沢拓也はSOからFBに移動し、松田とのダブル司令塔でゲームを操る。4試合連続で先発していたCTB長田智希はリザーブに回る。これだけの変更があっても、戦力がさらにアップしたように感じるのは選手層の分厚い埼玉WKならではだ。
両者は長年の好敵手だが、実はリーグワンの前身トップリーグが開幕した2003年シーズンに神戸Sが勝って以降、一度も勝っていない(引き分けはあり)。今季の統計数値を見ると、トライ数と得点については、神戸S(37トライ、273点)が、埼玉WK(34トライ、256点)と上回っているが、失点は、神戸Sの269点に対して、埼玉WKは99点と圧倒的に差がある。キーポイントは山中亮平の言葉通り。神戸Sが観客を喜ばせる攻撃を繰り出し、埼玉WKの底力を引き出すような質の高い接戦を期待したい。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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