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イノケ・ブルア(横浜キヤノンイーグルス)
横浜キヤノンイーグルス(横浜E)が地力アップを証明する戦いだった。2月4日(土)、ニッパツ三ツ沢球技場には6,264人が集い、接戦が期待された戦いを見守った。晴れ、微風の好コンディション。序盤にペースを握ったのは、横浜Eだった。
前半7分、リコーブラックラムズ東京(BR東京)陣深く、左タッチラインでラインアウトを得ると、モールを押し、SHファフ・デクラークがボールを持ちだす。デクラークから最初にボールを受けたのは、CTB梶村祐介、その隣にNO8シオネ・ハラシリが走り込む。ハラシリの背後で梶村からSO小倉順平がパスを受け、CTBジェシー・クリエル、FBエスピー・マレー、WTBイノケ・ブルアとパスが回って先制トライ。デザインされた通りにトライを奪った。
この試合、多くの選手が手首のテーピングに「NAKI」と書いていた。前節、負傷退場で入院中のアマナキ・レレイマフィを思ってのことだ。その気持ちが序盤の勢いにつながったのかもしれない。先制トライ直後のキックオフを受けた横浜Eは自陣から攻撃を仕掛ける。まずは、右タッチライン際をブルアがタックルを弾き飛ばして突進。一気に相手陣深く攻め込むと、ラックの右ショートサイドをついて、マレーが右コーナーに飛び込む。小倉が2本目のゴールも決めて、14-0とした。
メイン平(ブラックラムズ東京)
「タフな試合が続いたダメージがあったのか、試合の入りが悪かった」とは、BR東京のピーター・ヒューワットヘッドコーチ。パフォーマンスに波がある課題が改善されず、序盤戦で受けてしまったが、徐々に盛り返す。前半25分には、横浜E陣中盤のスクラムから展開して、WTBネタニ・ヴァカヤリアがタックルを受けながら片手のオフロードパスを決め、最後はWTBメイン平がタックラーをハンドオフでかわしながら右コーナーに押さえる。FBマット・マッガーンがゴールを決めて、14-7と差を詰めた。
前半27分、横浜Eの勢いを引き出していたデクラークが頭を打って交代するアクシデントがあったが、その後は荒井康植が安定感あるプレーを見せた。小倉とマッガーンがPGを決めあい、17-13で前半が終了。ボールを持って進んだ距離(キャリーメーター)は前半を終えて、横浜Eが232m、BR東京が236mと大差なく、このまま拮抗した試合になるかと思われたが、後半に入るとBR東京にはチャンスにミス、反則が続き、横浜Eが優位に立ち始める。
ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1
【第7節ハイライト動画】横浜キヤノンイーグルス vs. ブラックラムズ東京
後半7分、小倉のPGで20-13とすると、ディフェンスでも横浜Eが圧力をかけた。佐々木隆道アシスタントコーチに仕込まれたというダブルタックルを連続して決めたのだ。特に、HO三好優作、FLシオエリ・ヴァカラヒのダブルタックルは、両選手がしっかり肩を当て相手選手を押し倒すお手本のようだった。後半12分、BR東京のPR柴田和宏が危険なプレーでシンビン(10分間の一時退場)になると、横浜Eはラインアウトからのモールを押し込んで、FL嶋田直人がトライ。小倉がゴールを決めて、27-13と突き放した。BR東京もディフェンスでよく粘ったが、21分、横浜Eのミッチェル・ブラウンがトライをあげて勝負を決めた。スコアは、34-13。
観客がもっとも沸いたのは後半30分の攻防だ。小倉に代わって登場したSO田村優が正確なキックパスでマレーを走らせたが、マレーがBR東京陣に蹴り込んだボールを、ヴァカヤリアが切り返して、一気に横浜E陣へ走る。そのままゴールラインに向かっていたが、これをブルアが素早く戻ってタックル。ピンチを救った。フィールドを大きく使った攻防に、この日から声出し応援がOKになった観客も大興奮だった。これによって、3トライ差のまま試合が終わり、横浜Eがボーナス点を獲得できたことを考えれば価値あるタックルで、試合後、ブルアはプレーヤーオブザマッチの表彰を受けた。
ただし、ブルアは、後半35分、ダメ押しのトライをするはずが、片手でボールを持っていたためダウンボールの際にノックオン。試合直後、沢木敬介監督にグラウンドでトライの練習を課される課題もあった。3トライ差がついていたからこそ笑顔で終われた凡ミスで、沢木監督も「ブルアには来週はトライの練習をやってもらいますよ」と愛ある表情でブルアを叱った。
横浜Eの梶村祐介キャプテンは、前節、埼玉ワイルドナイツに惜敗した試合を踏まえた次のように語った。「トップ4との差を練習から埋めていこうと取り組んできました。満足できる出来ではありませんが、結果的にボーナス点を含めて勝ち点5を獲れたのはチームの成長を感じます。前節も(逆転した後の)キックオフレシーブをしっかりやれば結果は違いました。相手が勝負をかけてくるところでの、ディテールを詰めることが大切です」。田村優、怪我から復帰のHO庭井祐輔ら日本代表経験者に加え、WTB竹澤正祥ら交代選手がエネルギッシュにプレー。トップ4に相応しいチームとして、一歩一歩階段を上がっていることを実感する勝利だった。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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