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【ハイライト動画あり】「勝つ自信はなかったのですが、選手を信じていました」 埼玉ワイルドナイツ、懐の深い逆転勝利で開幕6連勝
村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一埼玉ワイルドナイツ vs. 横浜キヤノンイーグルス
相手の技を受けておいて最後に勝つ。懐の深さを感じる埼玉パナソニックワイルドナイツ(埼玉WK)の勝利だった。1月28日(土)、埼玉県の熊谷ラグビー場には、厳しい寒さのなか7,815人の観客が集った。5戦全勝で首位を走る埼玉WKと、3勝1敗1分けで4位につける横浜キヤノンイーグルス(横浜E)。注目の一戦は埼玉WKのロビー・ディーンズヘッドコーチが予想した通りの接戦となった。
竹山晃暉(埼玉ワイルドナイツ)
キックオフ前のトスで勝った埼玉WKの坂手淳史キャプテンは風上の陣地を選択した。午後2時30分、横浜EのSO小倉順平のキックオフで試合は始まる。前半4分、自陣深くに押し込まれた横浜EのFBエスピー・マレーがタッチキック。これが風の影響もあって伸びず、埼玉WKがカウンターアタックを仕掛ける。FB山沢拓也からパスを受けたWTB竹山晃暉は右タッチライン際を駆け上がるとディフェンダーの頭を越えるキックをインゴールに蹴り込む。このボールがデッドボールライン近くで手前に跳ね、走り込んだ竹山が押さえて先制トライ。SO松田力也のゴールも決まって、7-0とリードする。
前半10分、埼玉WKのゴールラインに迫った横浜Eは、ゴール前のラックからSHファフ・デクラークがトライ。ゴールは決まらず、7-5とする。その後は一進一退の攻防となるが、フィジカル面は互角の戦いで、ディフェンス面でも横浜Eの成長を感じさせる時間が続いた。前半はこのスコアのまま終了する。
しかし、埼玉WKは相手のミスを逃さない。後半開始早々、横浜Eが自陣22mライン付近でノックオン。ここで得たスクラムから、右ショートサイドを攻め、竹山がゴールライン近くにショートパントを上げる。マレーがこれを追って、インゴールで先に押さえようとしたが、ボールはまたしても手前方向に大きく跳ね、竹山がボールを確保してトライ。松田がゴールを決めて、14-5とする。苦しい試合展開のなかで竹山のトライの嗅覚が光る。それは、相手のミスを逃さず得点する埼玉WKの真骨頂でもあった。
ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1
【第6節ハイライト動画】埼玉ワイルドナイツ vs. 横浜キヤノンイーグルス
横浜Eが「この試合のために用意した」(沢木敬介監督)というトリックプレーを披露したのは後半7分のことだ。埼玉WKのゴールライン直前の左中間でPKを得ると、LOコーバス・ファンダイクが右方向に突進すると見せかけてボールを地面に置く。一瞬、埼玉WKのディフェンダーの動きが止まったところで左方向にマレーが走り込み、デクラークからのパスを受けてトライ。マレーがゴールを決めて、14-12としたのだ。「ああいうの、面白いじゃないですか。ラグビーを楽しむことも大切にしているので」と沢木監督。こうしたスタンスも横浜Eの魅力のひとつだろう。
シオネ・ハラシリ(横浜キヤノンイーグルス)
その後も緊張感ある攻防が続いたが、後半34分、観客の度肝を抜くトライが生まれた。負傷退場のNO8アマナキ・レレイ・マフィに代わったシオネ・ハラシリが22mライン付近のラックから突進し、埼玉WKのHO堀江翔太を弾き飛ばし、そのまま次々にタックラーを振り切って豪快な逆転トライを決めたのだ。スコアは、14-19。残り時間は5分ほど。
勝利に手が届くところに来た横浜Eだが、次のキックオフで集中力の高さを示したのは埼玉WKだった。深めに蹴り込んだボールに竹山がチェイスしてタックル。マレーを一発で倒すと、3人でボールを乗り越えで反則を誘う。ここで得たラインアウトモールはいったん止められてボールを奪われたが、横浜Eのタッチキックで得た22mライン付近のラインアウトから連続攻撃。サポーターの熱い応援を背に大事にボールをキープしながら攻撃を継続し、最後はPRヴァル アサエリ愛が、19-19とする同点トライ。プレッシャーのかかるゴールキックを松田が慎重に決めて、21-19。ノーサイド直前の劇的勝利となった。
ロビー・ディーンズヘッドコーチは静かに語った。「選手たちが勝利への道筋を自分たちで見つけてくれたことを嬉しく思います」。逆転されたあとのキックオフのとき、勝利を信じていたかどうか、報道陣から問われると、チームの絆を感じさせる言葉を発した。「勝つ自信はなかったのですが、選手を信じていました」。坂手淳史キャプテンは「逆転されても、選手たちは淡々と落ち着いてプレーしていました。結果を見ることなく、ワイルドナイツとしての仕事を100%やり切る。それが勝利につながったと思います」と話した。一喜一憂せず、やるべきことをする。それが集約されたのが最後のキックオフだったのだろう。
惜しくも勝利を逃した沢木敬介監督は潔かった。「これも強くなっていくための試練なのかなと思います。常にトップ4に行くチームとの差は少しです。それを探しながら埋めていくしかない。ハードワークを続けて、チーム一丸となって成長していきます」。負けず嫌いの性格が垣間見えたのは、会見場を後にするときだ。「いやー、勝てたなぁ」。記者が思わず笑顔になる明るいトーンだった。横浜Eの今後の成長が一段と楽しみになった。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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