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【ハイライト動画あり】弾丸ランナー、コロインベテがスーパートライ! 埼玉ワイルドナイツ、トヨタヴェルブリッツとのフィジカルバトルを制して4連勝
村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一マリカ・コロインベテ(埼玉ワイルドナイツ)
一瞬たりとも目の離せない戦いだった。第3節を終えたリーグワンで唯一全勝の埼玉ワイルドナイツ(埼玉WK)と、惜敗続きで勝利に飢えるトヨタヴェルブリッツ(トヨタV)の一戦は、1月15日、埼玉県の熊谷ラグビー場で行われた。午後2時30分、トヨタVのSOティアーン・ファルコンのキックオフで激闘の幕が上がった。
姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)
立ち上がりから激しいコンタクト合戦となり、開始早々に埼玉WKのFLベン・ガンターが脳しんとうの疑いで一時退場。怪我からの復帰戦ながらフィジカル自慢のガンターがふらつくほどの激しい肉弾戦はこの後も続いた。先制したのはトヨタVだった。埼玉WKゴール前5mのラインアウトを得ると、今季初登場のCTBチャーリー・ローレンスが縦突破、ゴールライン直前のラックからFL姫野和樹が右サイドを突いてトライを奪う。ファルコンのゴールも決まって0-7とトヨタVがリード。カンターの正式交替が決まった直後の前半13分、トヨタV陣深く攻め込んだ埼玉WKは、ゴールライン直前でパワフルなFW陣が波状攻撃をしかけ、FL大西樹がトライ。7-7の同点となる。
前半22分、骨のきしむ音が聞こえるフィジカルバトルの中で、トヨタVの姫野が右足のふくらはぎを痛めて負傷退場。姫野と共同キャプテンのFL古川聖人が出場する。直後に流れをつかんだの埼玉WKだった。トヨタV陣22mライン左中間のスクラムから、CTBヴィンス・アソが縦に突破し、最後は今季の新戦力であるリアム・ミッチェル、ルード・デヤハーのLOコンビがパスをつなぎ、南アフリカ代表65キャップのデヤハーがリーグワン初トライをあげる。SO山沢拓也がゴールを決めて、14-7とリードすると、26分にビッグプレーが生まれる。
埼玉WKのFB野口竜司が自陣の10mライン付近でハイパントを蹴り上げ、トヨタV陣の10mライン付近でジャンプすると、落下してきたボールを左方向へタップ。「本当はキャッチしたかったのですが、相手が競り合いに来ていたのでキャッチにいかないほうが良いと判断しました。タッチライン方向にサポートが来ているのは分かっていたので、そちら側にはたきました」(野口)。このボールがトップスピードで走り込んできたWTBマリカ・コロインベテの胸に入る。そのまま約40mを走り抜け、最後はタックラーを振り切りつつ、左コーナーにダイブしてトライをあげた。山沢がPGを決めて、21-7。ミッドフィールドでは互角の攻防が繰り広げられたが、埼玉WKの決定力が際立つ連続トライだった。
ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1
【第4節ハイライト動画】埼玉ワイルドナイツ vs. トヨタヴェルブリッツ
堀江翔太(埼玉ワイルドナイツ)
その後、トヨタVもラインアウトのモールを押し込んでHO彦坂圭克がトライしたが、埼玉WKも山沢が2PGを加え、27-14で前半を折り返した。互いに相手ボールを奪うと瞬時に攻撃に移り、奪われた側もすぐに反応して失点を許さない。あっという間の40分だった。後半に入っても白熱の攻防が続いたが、8分、埼玉WKはPRクレイグ・ミラー、ヴァル アサエリ愛、HO堀江翔太という経験豊富なFW第一列を投入し、スクラムで優位に立つ。トヨタVも、LO秋山大地のタックル、交代出場のPR加藤竜聖のジャッカルでチャンスの芽を摘むなど、粘り強いディフェンスで対抗した。
埼玉WKの勝利を決定づけたのは、後半31分、コロインベテのトライだった。トヨタV陣中盤のラインアウトから連続攻撃を仕掛けると、交代出場のSO松田力也、アソらがゴールに迫り、最後はコロインベテがタックルされながらも身体を反転させトライをあげる。スコアは34-14。その後、トヨタVも秋山がトライを返したが届かなかった。プレーヤー・オブ・ザ・マッチは、コロインベテ。10回のボールキャリーで108mをゲインし、2トライをあげたほか、ピンチを救うタックルでも勝利に貢献した。
世界トップレベルのFWプレーを披露したのは、2019年のラグビーワールドカップ日本大会で頂点に立った南アフリカ代表FWの選手2人だ。埼玉WKのLOルード・デヤハーは、身長206cm、体重127kgという巨漢ながら、チーム1位の11キャリー(ボールを持って突進)、18タックルと攻守に働き、ラインアウトでも軸になった。そのデヤハーと何度もぶつかりあったトヨタVのピーターステフ・デュトイも13キャリー、14タックルと高い数値を残した。このほか、トヨタVのフェツアニ ラウタイミの23回というボールキャリーも特筆すべきもの。キックオフリターン、ゴール前のアタックで、思い切りよく縦突進。これを80分間通して繰り返した。埼玉WKの坂手淳史キャプテンが、「明日、身体が痛いだろうと思うような試合でした」と語ったが、大きな要因はラウタイミだろう。
埼玉WKのロビー・ディーンズ監督は選手を称えた。「フィジカルでタフなゲームでした。相手のチャレンジに対して、自分たちがやるべきことに集中してくれました。ディフェンス、スクラムも良く、後半出てきた選手も良かった。負傷者が出てしまいましたが、他の選手にチャンスを与えることができる。それも楽しみです」。局面を切り取れば互角の好勝負も、トライを獲りきる時のミスの少なさ、選手間のコミュニケーション能力の高さは埼玉WKの最大の勝因だ。スキの無いチームをいったい誰が倒すのか。あるいはすべて跳ね返すのか。次節以降も目が離せない戦いになる。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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