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ラグビー コラム 2022年12月19日

【ハイライト動画あり】ラスボス堀江翔太登場で即逆転。 後半に強い王者・埼玉ワイルドナイツ、白星発進

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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堀江 翔太(埼玉ワイルドナイツ)

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-2023は、12月17日(土)に開幕。埼玉県の熊谷ラグビー場は10,557人の観衆が集った。気温6度という冷え込みの中、王者・埼玉パナソニックワイルドナイツ(埼玉WK)と、昨季4位の東芝ブレイブルーパス東京(BL東京)が熱戦を繰り広げ、22-19で埼玉WKが接戦を制した。

午後2時40分、埼玉WKのSO松田力也のキックオフで試合は始まった。立ち上がりは、BL東京が攻勢に出る。前半4分、相手陣22mライン左側のラインアウトからモールを押し込み、反則を誘ってSOトム・テイラーがPGを決める。チームスピリットで掲げる「接点無双、猛攻猛守の紳士なり」という言葉通り、BL東京はコンタクト局面でガツガツと前に出た。前半11分、埼玉WK陣に少し入った右側のラインアウトから、HO原田衛がタッチライン際を抜け出して連続攻撃。WTBジョネ・ナイカブラが爆発的なスピードでゴールラインに迫り、次々にボールキャリアーが縦突進。最後はNO8リーチ マイケルが右中間にトライした。5分後にもテイラーがPGを決めて、スコアは、0-13となる。

BL東京の個々のあたりの強さ、ブレイクダウン(ボール争奪局面)での激しいファイトで圧力を受けていた埼玉WKがトライを奪ったのは前半20分だった。BL東京陣22mライン右のラインアウトから仕掛け、最後は密集サイドのディフェンスが立ち遅れたのをSH小山大輝が見逃さずに突破し、内側にサポートしたFL布巻峻介につないでインゴールに駆け込む。松田のゴールも決まって、7-13。しかし、その後も埼玉WKは反則、ハンドリングエラーなどで波に乗れなかった。

前半27分にBL東京のテイラーがPGを追加後はスコアが動かなかったが、36分、BL東京のLOジェイコブ・ピアスが埼玉WKのチャンスのブレイクダウンで、攻撃をスローダウンする反則を犯し、シンビン(10分間の一時退場)になる。一人少ない戦いとなったBL東京は、防戦一方となり、ゴール前のスクラムは7人で耐える苦しい展開になった。しかし、PR木村星南(23歳)、HO原田衛(23歳)、PR小鍛治悠太(24歳)、LOワーナー・ディアンズ(20歳)、ピアスに代わってFLからLOに入った伊藤鐘平(25歳)の若いタイトファイブが結束したスクラムで逆に圧力をかける。しかし、ターンオーバーには至らず。埼玉WKはゴール前で攻め続け、最後はPKから小山が速攻を仕掛け、左タッチライン際にいたHO坂田淳史キャプテンにスピードのあるロングパスを送ってトライ。12-16として前半を終えた。

ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1

【第1節ハイライト動画】埼玉ワイルドナイツ vs. 東芝ブレイブルーパス東京

山沢拓也(埼玉ワイルドナイツ)

後半は一進一退の攻防になるが、11分、ラスボス堀江翔太、PRクレイグ・ミラーが、坂手、稲垣啓太に代わって登場する。ここで会場の空気が変わった。昨季も質の高いリザーブ陣の投入で勝利を引き寄せるシーンを何度も見てきたサポーターの期待感からだろう。そして、15分、BL東京陣中盤のラインアウトからの攻撃で松田が抜け出して逆転トライ。松田が自らゴールも決めて、19-16とリードした。BL東京もPGを返し、19-19と緊迫した時間が続いたが、後半31分、松田に代わって登場した山沢拓也が決勝PGを決め、22-19で埼玉WKが競り勝った。堀江は試合を締めくくるラインアウトのスローも正確に決めて見せた。今季、ラスボスの存在感はさらに高まりそうだ。

ホームで初陣を飾った埼玉WKのロビー・ディーンズ監督は、「きょうの試合で、リーグワンがどれだけタフな戦いかを感じていただけたのではないでしょうか」と両チームの激闘を高く評価した。坂手淳史キャプテンは「自分たちがやりたいことができませんでしたが、勝って終われたことをポジティブにとらえたいです。反則が多くなったのは、東芝のプレッシャーによるものです」とコメント。今年は日本代表キャプテンとしても先頭に立ち、欧州遠征から帰国後、わずかな時間でチームをまとめあげてきた。僅差勝負をものにしてほっとした表情だった。次節(12月25日)は、ヤマハスタジアムで静岡ブルーレヴズと対戦する。

惜しくも勝利を逃したBL東京の小川高廣キャプテンは反則で流れを悪くしてしまったことについて、こう答えた。「パナソニックは規律の良いチームで、(大事な局面で)コントロールできるかできないかの差が出てしまいました」。ただし、リーチは「悔しいけど、嬉しさも半分あります。チームに昨季の勢いが継続してあり、王者と良いゲームができました」と手ごたえを口にした。若いタイトファイブの奮闘についても、トッド・ブラックアダーヘッドコーチは称賛。「素晴らしい活躍でした。チーム内に良い競争があります。きょうの選手たちは起用に応え、合格しましたね」。若い選手たちの活躍は、今後のBL東京に期待を抱かせる。次節(12月24日)は、味の素スタジアムでリコーブラックラムズ東京との対戦だ。

文:村上 晃一
村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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