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12月17日(土)、NTTジャパンラグビー リーグワン2022-2023が開幕する。2023年はラグビーワールドカップ(RWC)イヤー。2年目の日本最高峰リーグは最後の選手選考の場でもある。個々の選手のモチベーションも高く、さらに白熱した戦いが繰り広げられそうだ。
初代王者の埼玉パナソニックワイルドナイツ(埼玉WK)は、ホームの熊谷ラグビー場で東芝ブレイブルーパス東京(BL東京)を迎え撃つ。発表された試合登録メンバーを見て驚いた人は多かっただろう。11月に行われた日本代表の欧州遠征に参加したメンバーがずらり顔を揃えていたからだ。今季、RWCに向かう日本代表選手は試合時間を調整しながらプレーすることになるが、開幕戦には両チーム、惜しげもなく日本代表選手を並べてきた。両チームとも、日本代表選手のコンディションが良く、出場の意欲を示していることが大きいようだ。
埼玉ワイルドナイツスターティングメンバー
埼玉WKは、日本代表キャプテンのHO坂手淳史はじめ、PR稲垣啓太、NO8ジャック・コーネルセン、CTBディラン・ライリーという日本代表の主力選手に加え、爆発的スピードを誇るWTBマリカ・コロインベテ(オーストラリア代表)、パワーとスピード、高いスキルを備える世界屈指のCTBダミアン・デアレンデ(南アフリカ代表)が先発。怪我で今年の日本代表活動から離脱していたSO松田力也も待望の復帰だ。
そして、「ラスボス」と呼ばれるHO堀江翔太はいつもの通りリザーブ席からのスタート。リーグワン初代MVPの堀江が後半に登場して、昨季同様、試合の流れを埼玉WKに持ってくるのか。堀江は日本代表活動から離れて体を作り直し、レベルアップを図ってきた。どんな姿を見せてくれるのか楽しみだ。
東芝ブレイブルーパス東京スターティングメンバー
対するBL東京は、日本代表FWの軸に成長したワーナー・ディアンズは4番、夏の日本代表戦から好調を維持するリーチ マイケルは8番、そして、日本代表SO争いに加わっている中尾隼太はインサイドCTBで先発する。リーチは本来、6番でプレーしたい選手だが、その6番を背負うのは伊藤鐘平だ。190cm、105kgのサイズでラインアウトでも高いスキルを発揮する伊藤は、今後の日本代表入りを期待される選手の一人。ベテランFL徳永祥尭は25歳の伊藤をこう評した。「接点の強さはもちろん、足も速く、プレシーズンを通してオフロードパスにも取り組んでいる。もともと才能があるところにスキルが加わったという感じで、僕も安心していられないと毎週感じさせてくれる選手です」。
BL東京のチームスピリットは「猛勇狼士 我ら、接点無双、猛攻猛守の紳士なり。」である。フィールドではボールを持った選手が力強く前に出て、タックルでも相手を押し戻す。接点で圧倒するラグビーだ。一方、埼玉WKは「堅守速攻」が持ち味。埼玉WKの堅守をBL東京が突破できるのかどうか。徳永は「キーポイントはブレイクダウン(ボール争奪局面)」だと言う。激しく圧力をかけ、埼玉WKのディフェンスをブレイクダウン周辺に集めることができれば、外側にスペースができる。どちらが接点の攻防で勝るのか興味深い。
埼玉WKのロビー・ディーンズ監督は「東芝は伝統的にフィジカルで、月曜日(試合の翌日)に身体が痛くなるようなチームです」と、タフな試合になると話した。BL東京のトッド・ブラックアダーヘッドコーチも同じく口をそろえたのが、セットピースのバトル、ディシプリンの大切だ。スクラム、ラインアウトでいかに良いボールを出せるかどうか、反則の数が試合の流れに大きく影響するということだ。
キープレーヤーについては、ブラックアダーHCは9番(小川高廣)、10番(トム・テイラー)、ディーンズ監督は怪我から復帰した松田力也をあげた。チームの頭脳ともいえるポジションの選手だ。もう一人、ディーンズ監督があげたのがダミアン・デアレンデ。「彼は2年前もパナソニックにいましたが、そのあとアイルランドでプレーしていました。日本の方が天気は良いということで日本に帰って来たようです」とジョークを交えて世界的CTBを紹介した。開幕節屈指の好カードは、どこをどう切り取っても見どころ満載の試合なのである。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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