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大学ラグビーはいよいよクライマックスへ。関西3位に滑り込んだ同志社大に、九州1位の福岡工業大が挑む。大学選手権3回戦プレビュー
ラグビーレポート by 直江 光信同志社大学
12月の第1週で関東および関西の各リーグも全日程を終了し、大学選手権の出場校が出そろった。2022年度の大学ラグビーシーズンも残り1か月。1月8日に国立競技場で行われる決勝へ向け、ここからは負ければ終わりの決戦が続くことになる。
上位リーグ勢が登場する12月11日の3回戦、大阪・花園ラグビー場での第1試合(11時45分キックオフ)に登場するのは、関西大学Aリーグ3位の同志社大と九州学生リーグ1位の福岡工業大だ。
同志社大は負ければ入替戦に回る可能性もあった12月3日の天理大との最終戦で見事な集中力を発揮して47-19で快勝し、関西3位に滑り込んで選手権出場を果たした。ビッグパフォーマンスから中7日での連戦となるだけに、心身両面で難しさはあるはずだが、チームのムードという点では最高の状態で臨めるだろう。
一方の福岡工業大は九州学生リーグAで2季ぶりの優勝を果たし、11月19日の選手権1回戦で北海道・東北地区代表の八戸学院大に57-0と快勝。2回戦では初出場のIPU環太平洋大との激戦をラスト10分の連続トライで制し(最終スコアは31-25)、3回戦へ勝ち上がった。今週はプレー強度、スピードとも格段にレベルアップする戦いとなるが、中2週でさまざまな準備ができる間隔でのゲームだけに、果敢なチャレンジが期待される。
北海道・東北地区代表と東海・北陸・中国・四国地区代表、九州リーグ1位が1~2回戦を戦う現在のトーナメント方式が導入されたのは、2016年度の第53回大会からだ。以後これまでの6大会で、関東大学対抗戦、関東大学リーグ戦、関西大学リーグを勝ち上がったチームが出場してくる3回戦の結果を振り返ると、地方リーグ勢は6戦全敗。もっともスコアが接近していたのは2019年度第56回大会の関西学院大対朝日大(38-19)で、ほとんどが30点差以上の大差決着に終わっている。
ただ内容的には見応えあるゲームも多く、実際に福岡工業大は4年前の第55回大会で流通経済大から4トライを奪うなど奮闘している。ラグビーファンにとってはそうした地方チームの渾身のファイトや隠れた逸材の躍動を目撃する貴重な機会でもあり、見どころの多い一戦といえそうだ。
同志社大としては受ける格好になるのは仕方のない面があるだけに、いかにテーマを明確にしてキックオフを迎えられるかが、この試合のポイントになるだろう。持てる力を存分に発揮すればどの相手にも脅威の存在となることは、前週の天理大戦で証明した。前回大会で24-76と大敗を喫した帝京大が待ち構える準々決勝(12月25日@秩父宮ラグビー場)へ、ようやくつかんだ上昇気流を維持したまま向かうためにも、いい内容でここを突破したいという気持ちは強いはずだ。
キックオフ48時間前に発表された登録メンバーを見ていくと、同志社大は天理大戦の先発から変更はHO長島幸汰のひとりだけ。両PRは左に山本敦輝、右に李優河で、LO陣は寺北亘佑と鈴木康生のコンビ。FW第3列はキャプテンのFL梁本旺義にFL小島雅登 、NO8林慶音というお馴染みの並びだ。
一方福岡工業大も、2週前の2回戦のスターティングメンバーからの変更はLO新村魁士のひとり。フロントローはPR今村彰吾、HO牧俊佑、PR鍋島秀源の3人で、小杉龍海が新村と両LOを組む。バックローは山田晋、平井喬士の両FLにNO8ハラホロ・トコラヒという構成だ。
ゲームをコントロールするのはSH福山浩太郎とSO山口翔永のHB団。両CTBは時任凛空と米村龍雅のコンビで、WTBは早田優生、右に讃井良太が入った。最後尾のFBは矢次竜介が務める。
底知れない成長力を秘めた学生チームは、短期間で見違えるほどの進歩を遂げるケースが珍しくない。また発展途上であるがゆえに、わずかな気持ちの揺らぎが試合展開を大きく左右することもままある。敗退イコールシーズン終了を意味する重圧の中で、真価を見せるのはどちらのチームか。しびれるようなクライマックスの戦いが、いよいよ始まる。
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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