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ラグビー コラム 2022年12月5日

【ハイライト動画あり】ひたむきな両チームの激闘。 京産大、2年連続6回目のリーグ制覇

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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12月3日(土)、東大阪市花園ラグビー場には関西大学Aリーグの全8チームが集った。この最終節まで一つも順位が決まっていないという異例の展開のなかで4試合が行われた。第1グラウンドの第1試合は、負ければ入替戦の可能性もあった同大が2位の天理大から7トライを奪い、47-19で勝利する。この結果、同大は勝ち点16として、この時点で大学選手権出場枠の3位に浮上した。天理大は勝ち点を加算できず、2位が確定。京産大のリーグ連覇が決まる。そして、第2グラウンドでは3位争いをしていた関西学大摂南大に敗れ、選手権出場枠争いから脱落する。

この結果、第1グラウンドの第2試合は、優勝が決まった京産大と勝ち点15の近大が選手権枠の3位をかけて対戦することになった。近大は直接対決で同大に勝っているため、7点差以内の負けに与えられるボーナス点「1」を獲得すれば出場権を得る。しかし、中村健志キャプテンは7点差を意識せず、「勝てば全国」という意識でチームを引っ張った。

午後2時5分キックオフ。近大はHO平沼泰成(3年)のジャッカルで京産大の反則を誘うと、SO半田裕己(3年)が先制PGを決める。京産大も7分、SO西仲隼(4年)がPGを返したが、ブレイクダウン(ボール争奪局面)では近大がプレッシャーをかけ続けた。京産大は試合直前に今季全試合に先発してきた右PR渡辺龍(4年)がアップ中に負傷し、急きょ川口新太(2年)が先発するアクシデント。しかし、川口は起用に応え、185cm、127kgというサイズを武器にスクラムで前に出る。25分、京産大はラインアウトのモールからゴールラインに迫り、最後は、堤田京太郎(4年)がトライ。8-3とリードした。

前半32分、京産大は先発FL松永壮太朗(2年)が負傷し、三木皓正(3年)が出場。昨季の大学選手権ベスト4の立役者である三木は春に膝を痛め、前節、交代出場で復帰したばかり。その三木は持ち前の激しいタックルで流れを引き寄せる。34分に近大FL岩本圭伸(2年)にトライされ、8-15とされたが、36分、CTB家村健太(4年)がインゴールに蹴り込んだボールをWTB西浩斗(2年)が押さえて同点とし、西仲が難しいゴールを決めて15-13と逆転する。

ラグビー 関西大学リーグ2022

【ハイライト動画】近畿大学 vs. 京都産業大学

アサエリ・ラウシー(京都産業大学)

「前半は受けてしまった。後半は京産大らしく、ダイレクトなプレーで前に出ようと話しました」(京産大FL福西隼杜キャプテン)。その言葉通り、後半になると京産大の勢いが変わった。開始1分、相手キックを待ち受けていたLOアサエリ・ラウシー(4年)の前でバウンドが変わったが、味方の確保してくれたボールに躊躇せず走り込んでトライし、20-13。11分には自陣からのハイパントのボール処理を近大がもたつく間にWTBシオネ・ポルテレ(1年)がトライ。全員が迷いなく前に出る京産大に楕円球の転がりも味方し始めたようだった。

シオネ・ポルテレ(京都産業大学)

圧巻のトライは後半36分だ。京産大はSO西仲が自陣インゴールに立つピンチから仕掛け、ゴールライン付近でボールを受けたポルテレが地響きのするような突進で次々にタックルをかわし、一気に相手陣に入ると最後は近大のディフェンダーの間をCTB高井良成(3年)がスキーのスラロームのように駆け抜けたのだ。これでスコアは、37-13。近大の望みを打ち砕くトライだった。

勝負は決まった。しかし、両チームが結束の強さを見せたのは、その後だ。選手権出場が絶望的になった近大だが、最後まで攻め続けて交代出場のSH福山太陽(3年)がトライをあげる。蹴れば試合が終わるゴールを、SO半田が左コーナーの難しい位置から慎重に狙う。そのゴールに対して、京産大はゴールラインから全員がチャージに走った。事前に連覇が確定していた試合で全員が手を抜かずに走り続ける。ひたむきに戦うことを信条とする京産大の魂がそこにあった。

敗れた近大のキャプテン中村健志は言った。「後輩につなげられるゲームができたと思います。この悔しさを来年につなげてほしいです」。花園ラグビー場にもっとも近い英田中学でラグビーを始め、地元の近大でプレーすることを夢見たキャプテンは気丈に話した。互いにノーサイドの瞬間まで全力を尽くす、立派な戦いだった。

文:村上 晃一
村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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