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天理大にとってはわずかに可能性が残るリーグ優勝へ望みをつなぐ一戦だ。現時点での勝ち点は25で、前節直接対決で敗れた首位京都産業大(勝ち点28)との差は「3」。12月3日の花園第1グラウンドでの最終節、11時45分キックオフのこのゲームに勝利すればいったんは上回ることになり、その後に同会場で近畿大と対戦する京都産業大にプレッシャーをかけられる。
一方の同志社大は現在、2勝4敗の勝ち点11で5位。この天理大戦でボーナスポイント付きの勝利を挙げ、勝ち点5を積み上げれば大学選手権出場(3位以内)への道がかろうじてつながるかもしれない半面、敗れると他会場の結果次第で入替戦に回るケースも考えられる。文字通り命運をかけた大一番だ。
両校のここまでの戦いぶりを振り返ると、天理大は快勝といえる試合こそ少なかったものの確かな地力を感じさせる内容で危なげなく白星を積み上げてきた。全勝対決となった第6節の京都産業大戦は序盤に見事な集中力で主導権を握り、互角の勝負を展開。最後は22-29で競り負けたが、ここにきてチーム力が研ぎ澄まされつつあることを印象づけた。
対する同志社大は初戦で立命館大に15-19、第4節で関西学院大に34-38と、前半戦で接戦を2つ落としたことが痛恨だった。11月6日の第5節では京都産業大に26-31と肉薄し、上昇のきっかけをつかんだかに思われたが、続く20日の近畿大戦はほとんど持ち味を発揮できないまま0-34で完敗。前に出る意欲で圧倒された前節から、この2週間でプレー、メンタルの両面をどこまで立て直してきたかが問われるゲームとなる。
それぞれのスタッツを見ると、天理大はこれまでの6試合の平均得点が34.5、平均失点が13.2であるのに対し、同志社大は平均得点21、同失点は26.5。平均失点を比較すれば天理大は京都産業大(20.3)、近畿大(16.7)を凌駕するリーグ最少の数字を残しており、安定感あるディフェンスをベースにしたチームであることがうかがえる。
同志社大で特徴的なのは、接戦の多さだ。6試合中5点差以内の決着が4つあり、そのうち3つが敗戦。僅差の戦いを勝ち切れないことが、現在の厳しい状況の要因となっている。大学選手権出場のためには、堅守を誇る天理大から3トライ差以上の勝利を挙げることが条件。どのようなゲームプランでこの試合に臨んでくるかが、ひとつの焦点となる。
谷口永遠(天理大学)
発表された15人のスターティングメンバーを紹介すると、天理大のFWは第1列が今季初先発のPR中村駿介にHO谷口永遠、PR金山忠次という3人。LO陣は2戦連続でナイバルワガ・セタと韮沢陽斗のコンビで、バックローは6番に鄭兆毅、7番キャプテンの照井悠一郎、NO8にパトリック・ヴァカタという第2節からの不動の布陣だ。
HBはSH北條拓郎とSO福本優斗の3年生ペア。両CTBは堀田恒司と上野颯汰の鉄壁の2人で、前節FBの津野来真が11番に回り、右WTBナイバルワガトマシ、今季初出場のFB本田飛翔とバックスリーを形成する。
林慶音(同志社大学)
一方の同志社大は、FWは前節とまったく同じ布陣を敷いてきた。フロントローは左からPR山本敦輝、HO大山卓真、PR李優河の並びで、LOは寺北亘佑と鈴木康生の2人。キャプテンの梁本旺義が左FLに入り、7番には小島雅登、ルーキーのNO8林慶音はこれで全試合先発出場となる。
SH新和田錬とSO大島泰真は第4節から続くコンビで、大島も1年生にして全戦先発となった。中盤の引き締め役となるCTBでは西村海音と市川亮太がペアを組む。バックスリーは前節FBの大森広太郎が左WTBにシフトし、右WTBに芦塚仁、FBには村岡麟太郎が入った。
過去5年の対戦成績は天理大の5戦全勝で、2018年から2020年にかけての3シーズンは50得点以上を奪うなど優勢が続いている。ただし今回と同じ最終節で激突した昨シーズンは、同志社大が25-27と善戦。どちらにとっても重要な意味を持つリーグ戦のラストゲームだけに、気迫のこもった熱闘になることを期待したい。
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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