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ラグビー コラム 2022年11月28日

【ハイライト動画あり】東海大が圧勝で5連覇を達成。日本大は選手権出場ならず。ラグビー関東大学リーグ戦最終節レビュー

ラグビーレポート by 直江 光信
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5年連続12回目の関東大学リーグ戦優勝を遂げた東海大学

東海大は点差に関係なく勝てば自力で優勝を決められるという一戦。対する日本大は他会場の直前の試合結果により、大学選手権出場の道が絶たれた状況でキックオフを迎えた。そんな両チームの立ち位置が、このリーグ最終戦の攻防に色をつけたか。

意欲に満ちた青のジャージーは、80分を通して厳しく体を当てて前へ出続けた。終わってみれば9トライを挙げての圧勝。29季ぶりに1部に復帰した東洋大に初戦で敗れるというショッキングなスタートから見事に立ち直り、東海大が5年連続12回目の関東大学リーグ戦優勝を遂げた。

ナサニエル・トゥポウ(日本大学)

相手の出場辞退で第6節の大東文化大戦が中止になった東海大は、約1か月ぶりの公式戦ということもあって序盤の20分あまりは足踏みした。優勢にプレーを進めながらもつなぎの局面でミスが重なり、思うようにアタックを継続できない。3-0で迎えた14分には、攻め込んだところでのエラーから日本大WTBナサニエル・トゥポウにこぼれ球を拾われ、一発で約80メートルを切り返された。

しかし思わぬ苦戦からパニックに陥った東洋大戦の反省を胸に刻む選手たちは、ここから進歩のあとを示す。フラストレーションがたまる展開にも動じず、強みであるコンタクトエリアの推進力を押し出して接点で圧力をかけると、26分にゴール前のラインアウトからモールを押し切ってペナルティトライを奪取。さらにこのプレーで日本大LO太田寿一郎にイエローカードが提示された。

続く31分には敵陣レッドゾーンでの連続攻撃でゴールラインに迫り、SH清水麻貴がラックサイドを割ってグラウンディング。これで流れを決定づけると、36分には中盤の右展開からFB谷口宜顕があざやかにラインブレイクし、内でリターンパスを受けたSH清水がふたたびインゴールへ飛び込む。24-5とリードを拡大して、前半を折り返した。

武藤ゆらぎ(東海大学)

迎えた後半。東海大はゲームがなかったこの1か月の鍛錬の成果を示すように、さらに攻勢を強めてたたみかける。
まず44分にPGで3点を加えると、50分には中盤での相手ラインアウトのターンオーバーから、SO武藤ゆらぎが防御のギャップを切り裂いて約50メートルを駆け抜ける圧巻のランを見せる。取り方、点差と相手にダメージを与えるこのトライで、ゲームの天秤は大きく傾いた。

ラグビー 関東大学リーグ戦2022

【ハイライト動画】東海大学 vs. 日本大学

52分、中盤でラックを乗り越えてボールを奪うと、キャプテンのCTB伊藤峻祐がすかさず裏のスペースへキック。勤勉にチェイスしたルーキーのFL薄田周希が、弾むボールを右中間に押さえる。60分には相手陣ゴール前でのターンオーバーのターンオーバーからセオリー通りに外のスペースへ球を運び、CTB近藤翔耶がゴールラインを越えた。

東海大の攻める意志は最後まで衰えず、67分に自陣から一気に切り返して縦横にパスをつなぎ、FLレキマ・ナサミラが豪快にフィニッシュ。なおも73分に途中出場のSH辻時羽、79分にはLOワイサケ・ララトゥブアがトライを加える。最終的には67-5までスコアを伸ばし、リーグ最終戦を締めくくった。

「やるべきことをやらなかった結果が、あの開幕戦の敗戦でした。自分たちの中に隙や油断があったと気づくことができたし、立ち返るところをあらためて理解することもできた。あの敗戦があったから、今、正しいプロセスを踏めていると思います」
東海大の木村季由監督の試合後のコメントだ。リーグ4連覇中のディフェンディングチャンピオンが、前年度2部のチームに敗れるという衝撃的な幕開け。選手たちに動揺がなかったといえば嘘になるだろう。しかしそこで現実と真摯に向き合い、小手先のごまかしではなく根幹の姿勢から見つめ直すことで、本来の歩む道へと戻ってきた。苦難を乗り越えたからこそ得られるたくましさは、この一戦でもさまざまな局面に立ち上った。

「通常(の試合間隔)ならできないこともやったし、体力的にかなり追い込んだ状態で臨んだ」(木村監督)という1か月ぶりのゲームで、シーズンベストといえるパフォーマンスを発揮できたことは、チームに大きな自信をもたらすだろう。いざ、悲願の日本一へ。12月25日の準々決勝(12時10分キックオフ@ヨドコウ桜スタジアム)から登場する大学選手権が楽しみになる戦いぶりだった。

一方の日本大。立ち上がりの20分は気迫を感じさせる攻守で見せ場を作ったが、セットピースやブレイクダウンなどボール争奪戦での劣勢から主導権を握られ、中盤以降は沈黙を強いられた。この敗戦により、最終結果は3勝4敗で勝ち点15の4位に。優勝に肉薄した前年度のメンバーが多く残っていただけに、無念のシーズンとなった。

「去年はFWのパワープレーを中心にしたラグビーで、今年はもっとボールを動かすことにチャレンジしたが、完成に至らなかった」。中野克己監督は悔しさを噛み締めるように今秋の戦いを総括し、「来年は本来の強みであるセットプレーなどをもう一度強化して、今季取り組んだことに上積みしていきたい」と新シーズンへの意気込みを口にした。

文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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