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マタリキ・チャニングス(東洋大学)
快勝ムードから一転、終盤は相手の猛反撃に土俵際まで追い詰められた。最終スコアは26-22。やはり1部の戦いに楽な試合などひとつもない。そして、だからこそ、その楽ではないゲームを勝ち切ってつかんだ4つ目の白星には大きな価値があった。今季の関東大学リーグ戦で旋風を巻き起こしている東洋大が法政大との接戦を制し、悲願の大学選手権初出場にいよいよ王手をかけた。
キックオフ直後からお互い果敢にボールを動かして仕掛け合う中、最初のスコアが生まれたのは前半5分だった。法政大のノータッチキックから東洋大がカウンターで切り返し、一気に敵陣へ攻め込む。いったんはボールを失うもすぐに取り返すと、SO土橋郁矢が左大外のスペースへロングパス。フリーになったWTB杉本海斗が悠々と左コーナーへ滑り込んだ。
これで勢いに乗った東洋大はその後も敵陣で試合を進め、18分にゴール前ラインアウトからアタックを継続。パワフルな縦突進でたたみかけ、最後は密集脇に走り込んだLOマタリキ・チャニングスが豪快に突き抜ける。WTB杉本のコンバージョンも決まり、12-0と先行した。
なかなかいいポジションで攻撃機会をつかめなかった法政大も27分、得意のスピーディーな連続展開でゴールラインに迫り、SO熊田経道がタックルを受けながら左中間にグラウンディング。5点を返したことで、それまでの流れが変わるかに思われた。
しかしキックの蹴り合いで優位に立つ東洋大はここであわてず、丁寧に陣地を取って主導権を掌握。37分にFKからの速攻でふたたびLOチャニングスがトライを挙げ、リードを14点に広げる。一方の法政大もロスタイムにSO熊田が約50メートルのロングPGを成功させ、19-8で前半を折り返した。
迎えた後半。開始からしばらくは拮抗した時間が続いたが、またも先に得点を刻んだのは東洋大だった。55分、ゴールラインドロップアウトのレシーブを起点にフェーズを重ねて敵陣レッドゾーンへ攻め込み、LOチャニングスが強烈なハンドオフで相手タックラーを弾いてこの日3本目のトライをマーク。WTB杉本のゴール成功で、スコアは26-8まで拡大した。
ラグビー 関東大学リーグ戦2022
【ハイライト動画】東洋大学 vs. 法政大学
残り20分あまりで18点差。東洋大がもう1本取ればほぼ試合が決まるという状況だったが、5シーズンぶりの大学選手権出場へ望みをつなぎたい法政大も、ここから意地を見せる。
石岡玲英(法政大学)
まずは63分、自陣ゴール前の相手ラックに圧力をかけてターンオーバーに成功すると、すかさず左へ大きく振ってラインブレイク。スピードに乗ったFB石岡玲英が相手ディフェンダーを振り切り、7点を返す。77分には敵陣ゴール前のスクラムからBK展開で前進し、ラックサイドのピックアンドゴーでLO竹部力がゴールラインを越えて4点差まで詰め寄った。
残り時間は4分ほど。波に乗る法政大はなおも看板の出足鋭いディフェンスで圧力をかけ、相手陣22メートル線内でマイボールラインアウトのチャンスをつかむ。トライを取れば逆転というシーンだったが、東洋大は狙いすましたスチールで2度続けてボールを奪い、この危機を脱出。最後は辛抱強く体を当て続けて敵陣で時間を進め、食い下がる法政大を振り切った。
これで東洋大は勝点を18まで積み上げ、単独3位に浮上。立正大との最終戦(11月27日11時30分キックオフ@江戸川)に勝利するか引き分ければ、自力での大学選手権出場が決まるという状況になった。1部昇格初年度での初出場の快挙が目前に迫り、チームのムードはここからより一層ヒートアップしていくはずだ。
残り1節時点でのリーグ全体の様子をチェックすると、勝点26の東海大と同21の流通経済大までは選手権出場が確定。以下東洋大(勝点18、カッコ内は同)、立正大(15)、日本大(15)、法政大(14)、大東文化大(6)、関東学院大(1)の順で、最終戦の結果次第では、東洋大と立正大、日本大、法政大が勝点19で並ぶ可能性もある。まれに見る大混戦で最後のひと枠を勝ち取るのは、どの大学なのか。2週後の最終節は、すべての試合が注目の大一番となる。
直江 光信
1975年生まれ、熊本県出身。県立熊本高校を経て、早稲田大学商学部卒業。熊本高でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。早大時代はGWラグビークラブ所属。現役時代のポジションはCTB。著書に『早稲田ラグビー 進化への闘争』(講談社)。ラグビーを中心にフリーランスの記者として長く活動し、2024年2月からラグビーマガジンの編集長。
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