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日本代表 vs. イタリア代表
女子日本代表(サクラフィフティーン)にとって、これが最後になるのか、それともまだ戦いは続くのか、大切な試合が10月23日(日本時間8:45)にキックオフされる。ニュージーランドで開催中の女子ラグビーワールドカップは、今週末、プール戦最終節を迎え、各プールの順位が確定する。史上初のベスト8を目標に掲げていたサクラフィフティーンは、カナダ代表、アメリカ代表に敗れ、いまだ勝ち点がない状態だ。第3戦の相手は世界ランキング5位のイタリア代表。負ければプール戦での敗退が決まるが、4トライ以上のボーナス点を含む勝ち点5を獲得すれば、ベスト8への可能性は残されている。
イタリア代表にボーナス点を与えないことが条件なので、3トライ以内に抑え、しかも8点以上の差をつけなくてはいけない。その上で他チームの結果次第だが、まずはイタリア代表に全力で勝ちに行くことが求められる。レスリー・マッケンジーヘッドコーチは言う。「イタリア戦はエンターテイニングな試合になるでしょう。プレースタイル、キャラクターが日本と似ているからです。イタリアはシックスネーションズで戦っていますが、その中では比較的体が小さく、選手層も少ない。チームの方向性は似ていて、運動量豊富に情熱を持って戦ってきます」。お互いにスピーディーな展開を得意とし、80分間、ボールが動き続ける試合になるのではないかという予想だ。
イタリアは素早くボールを動かしてアメリカに勝利し、カナダとも接戦を繰り広げた。プールBは、カナダが連勝で1位(勝ち点10)、イタリアとアメリカが勝ち点5で並んでいる。イタリアとしては日本から勝ち点5を確実に獲得して、2位での決勝トーナメントを決めたい。立ち上がりからアグレッシブに仕掛けてくるだろう。サクラフィフティーンとしてはイタリアの立ち上がりの勢いを止め、まずは拮抗した展開に持ち込みたい。
日本代表スターティングメンバー
サクラフィフティーンの先発メンバーは、第2戦(対アメリカ代表)と同じで、細川恭子、長田いろはの背番号が6番、7番で入れ替わった以外はポジションの変更もない。リザーブで今大会初のメンバー入りをしたのは、LO川村雅未と、19歳のFL向來桜子だ。これまで試合に出ているメンバーを支えてきた選手の出場はチームの結束を強くするだろう。レスリー・マッケンジーヘッドコーチは、「先週もそうでしたが、今回もベストチームを選びました。集団での力、選手の経験、モーメンタム(勢い)を持ち合わせたメンバーです。ベンチメンバーで弾みをつけることができると考えています」と説明した。
フロントローはスクラムの要でもある南早紀キャプテン、谷口琴美、加藤幸子。両LOはタックルにブレイクダウンに体を張る佐藤優奈、高野眞希のコンビ。第三列は野性味ある動きが光る細川恭子、器用な長田いろは、トライゲッターの齊藤聖奈という機動力ある3人が並ぶ。スピーディーな展開を引き出すSH阿部恵、判断のいいパス、キックの光るSO大塚朱紗のHB団は勝利のカギを握る存在。大塚とともにゲームを作る山本実、好タックルを連発している古田真菜の両CTBはBKラインの要だ。前節、大塚のロングパスを受けてトライを決めたWTB名倉ひなの、カウンターアタックからの独走トライで終盤に一矢報いたWTB今釘小町、力強いボールキャリーで奮闘するFB松田凛日のバックスリーにはフィニッシャーとしての期待がかかる。
山本実は「前節のアメリカ戦は数字で見ると、テリトリーもポゼッション(ボール保持率)も有利なのに負けて悔しかったです。でも、私たちのワールドカップは終わっていません。ベスト8の可能性はあるし、アメリカ戦の2日後には気持ちを切り替えることができました」と話す。そう、サクラフィフティーンの挑戦は終わっていない。山本はチャンスを作りながらトライが獲り切れないことを踏まえて次のように話した。「夏のテストマッチではゴール前に行けばFWでトライを獲りきれたのですが、相手も対策をしてくるし、そこで獲りきれていない。BKでボールを動かして、またFWに頑張ってもらってというように、これまでとは違う動かし方でトライを獲りたいです」。
南早紀キャプテンは「後悔しないように戦いたい」と言った。前大会(2017年)で世界の強さを痛感し、そこで勝つためにハードワークを重ねてきた。オーストラリア代表、アイルランド代表といった強豪国も倒した。その戦いで得てきたものを出し切りたいということだ。サクラフィフティーンが笑顔でノーサイドを迎えられることを祈りたい。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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