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日本代表 vs. アメリカ代表
ニュージーランドで開催中の女子ラグビーワールドカップは、10月8日に開幕し、優勝候補筆頭のイングランド、地元ニュージーランドが順当なスタートを切っている。女子日本代表(サクラフィフティーン)は9日の初戦でカナダ代表に5-41で敗れ、10月15日に行われるアメリカ代表戦に必勝を期して準備中だ。
現在、世界ランキング6位のアメリカ代表は初戦でイタリア代表に10-22で敗れた。イタリア代表のスピーディーなアタックを止めきれずに失点していたが、PRホープ・ロジャース(168cm、88kg)、チャーリー・ジャコビー(180cm、102kg)ほか、パワフルな選手も多く、体格で劣るサクラフィフティーンにとっては難しい相手だ。
サクラフィフティーンの目標は史上初のベスト8進出である。目標を達成するためにはプールBの4チームの中で2位以上か、3位でも他の2プールの3位との勝ち点争いで2番目以上にならなくてはいけない。アメリカ代表から勝ち点をあげられないと、ベスト8に入るのは難しくなる。アメリカ代表も連敗は許されない。互いに負けられず、精神的にもタフな戦いになる。
日本代表 スターティングメンバー
10月13日、サクラフィフティーンは試合登録23名のメンバーを発表した。10月9日のカナダ代表戦からは先発で3名の変更。ラインアウトが課題になったこともあって、HOは永田虹歩から谷口琴美に代わり、永田は控えに回る。レスリー・マッケンジーヘッドコーチは「ラインアウトの獲得率が50%ほどだったということは、何かを変える必要があります」と話したが、永田は21歳と若く、彼女のプレッシャーを軽減させる狙いもあるという。
FL(7番)では細川恭子が先発し、7番だった長田いろはは6番を背負う。そして、6番だった齋藤聖奈がNO8へ。運動豊富なFW第三列になった。NO8だった永井彩乃はリザーブになるが、持ち前の突破力で後半のインパクトプレーヤーとして期待がかかる。カナダ代表戦で負傷退場したCTB中山潮音は欠場し、SO、CTB両方で起用されている山本実が先発する。マッケンジーHCは、山本の起用について、「SO大塚朱紗とCTB山本は面白い組み合わせだと思っています。山本は賢い選手です。アタックをマネージメントしてくれるでしょう」と説明した。山本自身はこう話す。「カナダ代表戦は身体の大きくない選手がコンタクトに行ってしまっていた。自分たちがボールを動かして、相手のいないところに勝負に行ってテンポが速くなるようにしたいです」
マッケンジーHCは「アメリカ代表はフィジカルで押さえ込もうとしてくるでしょう」と予想する。サクラフィフティーンとしては、パワフルな選手の突進を的確なタックルで止め、攻めては素早くボールを動かすことで大きなアメリカ代表の選手たちを翻弄したい。ラックからの素早いボール出しが生命線になる。この点についてマッケンジーHCは「ラックのサポートのタイミングを調節しながら対応したい」と語った。また、LO佐藤優奈は、「これまでやってきたブレイクダウンの質を落とさないように一回一回いいボールが出せるようにサポートしたいです」と意気込みを語った。
課題のラインアウトは、アメリカ代表を分析し、狙いやすい場所でキャッチできるように準備したようだ。「シンプルに自分たちが取れるところで取る」(南早紀キャプテン)。FWの平均の身長差は約8cmあり、苦しめられそうだが、相手ボールのラインアウトを少なくする近道は反則を減らすことだ。ルイース・ダルグリーシュアシスタントコーチは「ディテールを大事にしたい」と言った。「アメリカのディフェンスのコネクションが外れがちな弱点を狙って、ボールを動かし続ける。ハンドリングは正確に、コンタクトもより強く、速いテンポで戦いたい」。やるべきことは分かっている。試合での遂行力が問われる。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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